※モトリーフール米国本社、2020年9月7日投稿記事より

 2020年は恐らく、米国株式市場の歴史において最も大きく変動した年の1つとして後世に語り継がれることでしょう。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)をきっかけに、S&P500指数は一時、年初来で34%安まで急落しましたが、それから5カ月もしないうちに過去最高値を更新するまで急反発しました。

 その後も市場のボラティリティは続いており、9月3日には約126ポイント下落し、1日の下げ幅として過去8番目を記録しました。

 1日で3.5%の下落と考えれば大したことないように見えますが、これは、経済に対する不透明感が依然強く、株式市場が前触れもなく暴落する可能性があることを示す明確なメッセージと言えます。

 株式市場が暴落すると一時的に動揺するかもしれませんが、過去に起こった株式市場の調整局面は全て、その後の強気相場によって打ち消されており、手元資金のある長期投資家にとっては絶好の機会です。

 一時的に株価が落ち込んだ時に優良銘柄を買っておけば、長期的に大きなリターンを得られる可能性があります。

 9月上旬の下落を本格的な調整局面の始まりと断定するのは時期尚早ですが、以下の3銘柄は、市場が暴落した時に注目する価値があるかもしれません。

テラドック・ヘルス

 人は病気にかかる時期や持病が悪化するタイミングを選ぶことはできないため、株式市場が暴落しても医療関連企業への影響は相対的に小さく、キャッシュフローは安定しています。

 しかも、パンデミックを受けてテラドック・ヘルス(NYSE:TDOC)が提供するオンライン診療の需要は急拡大し、第2四半期の利用件数は前年同期比208%増の280万件となりました。

 利便性と個別化医療を求めるトレンドから、同社の売上高は2013年の2,000万ドルから2019年5億5,300万ドルと、新型コロナウイルスが流行するはるか以前から急成長しています。

 遠隔医療は、医師と患者の双方にとって診察にかかる時間的制約が軽減され、診察の柔軟性が増し、保険会社にとっては通院よりも保険金が安く済むという点で、個別化医療の未来において極めて重要な要素であり、将来的に大きな成長が見込まれます。

 同社はまた、膨大な患者データと人工知能を活用し、慢性疾患を抱える患者に生活習慣アドバイスを提供するリボンゴ・ヘルス(NASDAQ:LVGO)の買収手続き中です。

 リボンゴ・ヘルスは糖尿病患者に高い実績がありますが、米国の糖尿病市場においてはまだ1.2%のシェアにすぎず、両社が合併すれば個別化医療のリーダーとなる可能性があります。

AT&T

 食料や水、電気やガスと同様に、今や携帯電話は生活に欠かすことのできない必需品です。

 通信大手AT&T(NYSE:T)の契約制のビジネスモデルは、株式市場が暴落しても契約者数が大幅に減ることはあまり考えられません。

 また、5Gネットワークへの移行でデータのダウンロードスピードが上昇するのに伴って、複数年にわたる技術改良サイクルが生まれ、同社のワイヤレスセグメントの中でも利益率の高いデータ事業を後押しすると予想されます。

 衛星放送のディレクTVで契約者数が減少する一方で、経営陣は動画配信サービスのHBOおよびHBOマックスを合わせた契約者数で2025年までに現在の2倍となる約8,000万人の獲得を目指しています。

 さらに、AT&Tには7%という最高水準の配当利回りもあり、市場の変動に左右されない安全な投資先となり得ます。

ビザ

 パンデミックの影響で米国経済は11年ぶりの景気後退に直面しており、消費者の財布のひもは固くなると予想されます。

 決済サービス大手のビザ(NYSE:V)にとって、これは加盟店から入る手数料の減少を意味します。

 しかし、グレートリセッションの時、同社の総取扱高が前年実績を下回ったのは2009年だけで、その後2018年までの間に、米国のクレジットカード市場における同社のシェア(金額ベース)は9%ポイント以上上昇して53%となり、総取扱高は7,640億ドルから1兆9,600億ドルに2倍以上に増加しました。

 ビザは、世界最大にして消費主導型の経済国で最も選ばれている決済処理企業なのです。

 また、同業他社の中には貸出を行っている企業もありますが、ビザは貸出を行っていません。

 好景気の時には大きな収入源を逃したように見えるかもしれませんが、景気後退期には延滞のリスクと無縁であるため、貸倒引当金を確保する必要がなく、同社の利益率はほぼ一貫して50%以上を維持しています。

 その上、世界全体を見渡すと取引の多くは依然として現金で行われており、ビザには中東やアフリカといった地域で極めて長期にわたる成長機会が見込まれます。

転載元:モトリーフール

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