頑張って働いても給料はなかなか増えない現実

 今、株式投資を始める人が増えています。

 筆者も個人投資家の方に話を聞く機会がありますので、「なんで始めたのですか?」と聞いてみたりします。すると、非常に多い答えが「老後に備えて資産を増やしておきたい」というものでした。

 実は、我が国では会社勤めをしている人の給料は、20年前と比べておよそ1割減っています。1997年に平均467万円だったものが、2015年には平均420万円にまで減少しているのです。ここに社会保険料の増額や消費税の増税などの影響を加味すると、実質的に使えるお金はさらに減っているというのが現実です。

 ちなみに、先進国の間で20年の間に会社勤めの人の給料が減っているのは日本だけです。

上場企業はかなり儲かっている

 会社勤めの人の給料が増えない理由が、会社が儲(もう)かっていないからだとすれば、それはそれで寂しいですが、あきらめもつくところです。ところが、実は会社、特に上場企業はかなり儲かっているのです。

 もちろん、今年は新型コロナウイルスの影響が大きいので利益を大きく減らしたり、赤字になってしまっている会社が多いですが、平成30年3月期の3月決算の上場企業1,312社の集計で、なんと30兆円超もの利益をたたきだしているのです。

 日本はバブル崩壊から30年が経ちました。ほとんどの人の感覚は、会社が今、ガンガン儲かるような好景気に沸いているなど思わないでしょう。逆に、生活が年々苦しくなっている、と答える人の方が多いのです。

 一方、上場企業が上げた利益の額は、バブル時すらも上回って過去最高を記録しました。全体的には景気があまりよくないように見えて、実際、上場企業はバブル期よりもさらに大きな利益を獲得している、それが紛れもない事実なのです。

投資をする人としない人とで格差が広がっている

 では、このように会社は儲かっている、だけど会社員の給料はなかなか増えないという状況で、何をすれば私たちも会社の儲けの恩恵を受けることができるのでしょうか?

 それはもちろん、会社の株主になることです。上場企業の株式を買って保有すれば、配当金を受け取ることができますし(インカムゲイン)、業績が伸びれば株価の上昇による値上がり益も期待できます(キャピタルゲイン)。

 2012年終わりから続いたいわゆる「アベノミクス相場」。安倍首相が退任し、菅義偉首相に交代しましたが、果たして今後「スガノミクス相場」が到来するのかに注目が集まっています。

 アベノミクス相場では、株式投資をしている人としていない人の格差がさらに広がりました。もともと株式投資をしている人の方が資産額は大きかったのですが、アベノミクス相場を経て、両者の差がさらに拡大しています。おそらく、この動きは今後も継続すると筆者は思っています。

 バブル崩壊前は、預金に対して数%の利息がつきましたから、無理にリスクを取って投資する必要はありませんでした。しかし、今は預金の利息はほぼゼロ。いくら貯蓄に励んだとしてもそこから新たなお金は生み出されません。一方、株価はアベノミクス相場で大きく上昇しました。

 今後も日本や世界で超低金利が続く限り、預金ではなく投資をしないとお金を増やすことができない、という世の中に変わりはないのではないか、と筆者は思っています。

まずは一歩を踏み出してみよう!

 では「まずは一歩を踏み出してみよう」とは言っても、株式投資は敷居が高いのも事実。しかし、まずは証券会社に口座を開かなければ何も始まりません。

 株式投資に興味はあると言いながらも、証券会社の口座開設すらしていない人はとても多いようです。でも、口座開設するだけなら何も怖くありませんから、まずは口座を開きましょう。

 何をするにも初めは怖いもの。そこで、最初は少額から始めることをお勧めします。

 また、株式投資の入門書を読んだりして勉強することも重要です。株式投資には、独特の用語が数多くありますし、どの銘柄を選ぶか決めるときに用いる指標も知っておきたいものです。

 とにかく、まずは5万円でも10万円でもよいのでやってみてください。すると、「ああ、株式投資って、難しくないね!」とすぐに慣れてくるはずです。

 くれぐれも、最初からスゴ腕投資家のまねをしようなんて思わないでくださいね。彼らは経験豊富で百戦錬磨のベテラン投資家ですから、初心者が同じようにできるわけがありません。

 まずは株式投資に慣れること、それができたら銘柄選びの方法や、売買のルール作りなど、具体的なところに進んでいくようにしましょう。