最近個人投資家の方とお話ししていると「どうも自分の株式投資がうまく行っていない」という相談が非常に多いです。そんな中、うまく行かない人の銘柄選びと売買の特徴が見えてきたので、ここでお伝えしたいと思います。

 

「90%の個人投資家は株式投資で成功できていない」は本当か?

 「個人投資家の90%は株式投資で成功できていない」と昔から言われます。何をもって「成功」とするのかの基準があいまいなこともあり、この数字に明確な根拠はありません。

 しかし、数多くの個人投資家とお会いしてきた筆者の感覚からすると、多くの個人投資家が満足のいく成果を出せていないと感じます。

 筆者はここ最近、積極的に個人投資家の方にヒアリングをし、失敗してしまう投資家の特徴を定型化しました。すると、失敗しやすいある特徴を見出すことができました。

 

特徴1:「旬な銘柄」を選んでしまっている

 特徴の1つ目は銘柄の選び方です。個人投資家の皆さんは、「旬な銘柄」を選ぶ傾向にあります。

 旬な銘柄のことを「材料株」と呼んだりします。これは、その時々で株式市場において注目されているテーマに関連した銘柄です。

 こうした銘柄は、「将来業績が大きく伸びるのではないか」という期待感から株価が上昇します。そこに値動きに注目した短期売買の投資家も参戦することで、ときには株価が5倍、10倍にも跳ね上がることもあります。

 しかし、そこまで発展するのはほんの一握りで、多くは多少(とはいっても30~50%程度は上昇するものが多いですが)の株価上昇で天井をつけ、もとの株価水準に戻ってしまいます。

 個人投資家がこうした銘柄に手を出すのは、当然ながらすでに株価が上昇して市場の注目を集めているときです。

 しかし、そのタイミングで買ってしまうと、多くの場合そこから株価は伸びず、やがては下落に転じてしまいます。つまり「高値づかみ」となってしまうのです。

 

特徴2:事後処理がうまくできていない

 筆者個人的には、25日移動平均線から何十%も上方にかい離しているなど、よほどひどいタイミングでなければ、旬な銘柄を選んで投資しても良いと思っています。

 ただし、その後の事後処理をしっかり行えば、という前提です。

 材料株を買った後、株価が上昇すればもちろん良いですが、株価が下落したとき、ほとんどの個人投資家はそれを放置してしまいます。

 その結果、株価は元の水準まで下落し、多額の含み損を抱えて身動きがとれなくなってしまうのです。

 

個人投資家はどのように改善すればよい?

 こうした2つの特徴を踏まえて、個人投資家が改善できるような点はないでしょうか。

 第1の改善点は、買った株の損切りです。大きく負けないようにするためには、やはり損失が小さいうちに損切りをして、損失がそれ以上膨らまないようにしなければなりません。 
 買った時の25日移動平均線からのかい離が大きくなければ、25日移動平均線割れで売却すればよいですし、かい離が大きいタイミングで買ってしまった場合は、買値から10%下がったら損切り、とルールを決めておくべきです。

 第2の改善点は、そもそも「材料株」に飛びつかないことです。
「材料株」に個人投資家が手を出すときには、すでに株価が買われて割高になっている可能性が高いです。

 さらには株価の上昇の主要因は「期待感」であり、業績の裏付けを伴って上昇したわけではありません。

 そのため、買いの手が引っ込むと、たちまち株価が大きく値下がりしてしまいます。

 もちろん、材料株に投資して成功することもあるでしょう。でも、同じことを繰り返した結果、株式投資で満足のいく成果が出せない個人投資家が大勢いるのが実態です。
ということは、すでに割高となっている可能性の高い材料株への投資は、あまり得策ではないのです。

 

材料株ではなく成長株へ投資するという選択肢

 では、どんな銘柄を投資対象にすればよいでしょうか。筆者はここ数年、主に成長株を投資対象にしています。
たとえば毎年増収増益を続けている銘柄であれば、単純に今後も増収増益が続く可能性が高いです。

 もちろん、増収増益が途切れ、業績が伸び悩んだり悪化したりすることも考えられます。その場合は、株価が下がり下降トレンドになりますから、その時点で売却すればよいのです。
また、そもそも増収増益銘柄であってもすでに下降トレンドの場合は、手を出さなければ問題ありません。

 筆者の周りで株式投資により多額の資産を築いている投資家は、ほぼ例外なく成長株に注目し、材料株には見向きもしていません。

 長い目でみれば、材料株よりもはるかに成果が出やすいのが、実際に足元の業績の裏付けもある成長株なのです。

 「材料株」でうまくいっていない、という方は、成長株への投資も試してみてはいかがでしょうか。