今日は、9月28日までの間、日経平均先物(12月限)を見る上で、注意すべき点を解説します。
日経平均先物の夜間取引は、翌日の日経平均を先取りすることもある
朝、東京証券取引所が開く前に、「CME(シカゴ)日経平均先物が(前日の日経平均株価終値と比べて)大幅安」というニュースを聞くと、ヒヤリとします。その日の日経平均が大幅に下がって始まることが多いからです。
逆に、「CME(シカゴ)日経平均先物が大幅高」と聞くと、期待が高まります。その日の日経平均が大幅に上昇して始まることが多いからです。
通常、日経平均先物(期近)の理論値は、日経平均とほぼ同値です。したがって、「CME日経平均先物が、(前日の日経平均終値より)155円安い」と聞くと、「今日の日経平均は155円くらい下がって始まる可能性がある」と解釈する人が増えます。普通は、その解釈で問題ありません。
例外として、9月11日(9月のSQ後)から9月28日(9月の権利つき最終売買日)の間に、日経平均先物(12月限)を見る場合だけ、見方が異なります。
9月28日まで、日経平均先物(12月限)は、日経平均より約155円低い水準で推移する
まず、参考まで、9月18日(金)の、日経平均と、日経平均先物(12月限)の動きを比較した、以下のチャートをご覧ください。
日経平均と日経平均先物(12月限)の日中足:2020年9月18日9:00~15:00、9月24日9:00~15:00
◆9月18日
◆9月24日
ご覧いただくと分かるように、日経平均先物(12月限)は、常に、約155円下で、値がついています。なぜならば、先物12月限の理論値は9月28日まで、日経平均より約155円低いからです。155円低いのは、理論値どおりに値がついているだけで、先安感を表すわけではありません。
これだけ覚えてください!2つのポイント
少し難しくて、分かりにくい話になっているかもしれません。難しい理屈はどうでもいいですが、とにかく、以下2つのポイントだけ、覚えてください。
以下2点だけ頭に入れていただければ、後半の説明はやや難解ですが、分からなくても問題ありません。
<ポイント1>日経平均先物12月限の理論値は、9月28日までは、日経平均の値を約155円下回る。その間、先物が日経平均より155円低い水準にあっても、それは、先安感を表しているのではない。理論値通りに値がついているだけである。
<ポイント2>日経平均先物12月限の理論値は、9月29日以降は、日経平均とほぼ同値となる。9月29日以降は、先物と日経平均は、ほぼ同じ価格で取引されることになる。
9月中間決算の配当金の権利落ち(予想額)は155円
9月28日まで、日経平均先物(12月限)は、日経平均よりも約155円価値が低いわけです。その理由は、9月中間決算での配当金にあります。
日経平均(現物)を保有していると、9月決算の配当金の権利落ち日(2020年は9月29日)に、配当金を受け取る権利が確定します。ところが、日経平均先物(12月限)を保有していても、9月配当金を受け取る権利は得られません。
9月末基準の配当金は、約155円と予想されています。したがって、日経平均先物(12月限)は、日経平均(現物)よりも、155円低い値段が付くのです。
ところが、9月29日以降は、日経平均と先物(12月限)は、ほぼ同値で売買されることになります。9月28日までに日経平均(現物)を買えば、9月末基準の配当金が得られますが、権利落ち日の9月29日以降に買っても、配当金は得られないからです。先物を持っていても、現物を持っていても、9月末基準の配当が得られないのは、同じです。
したがって、9月29日から12月10日(先物12月の最終売買日)まで、日経平均先物(12月限)を保有しても、日経平均を保有しても、どちらも9月配当金が得られないという点で、同じになります。したがって、9月29日以降は、両者はほぼ同値で推移することになります。
<参考>日経平均先物(12月限)の理論値の計算方法
詳しい説明は割愛します。概算値を出す計算式を掲載します。
(日経平均先物12月限理論値)=(日経平均の値)-(12月11日まで日経平均現物を保有することで得られる配当金予想額)+(日経平均現物を購入するのに必要な現金を12月11日まで短期金融市場で運用した時に得られる利息)
現在、短期金利はほぼゼロなので、金利要因は無視しても大丈夫です。配当落ちは、3月・9月が特に大きいです。6月や12月にもあります。
東京市場の取引時間中は、日経平均先物が理論値から大きくかい離することはありません。かい離すれば、裁定取引が入り、先物は常に理論値の近くに維持されます。ただし、東京市場の現物取引時間が終了すると(15時以降)、日経平均先物は理論値からかい離して動くようになります。裁定取引が入らないので、大引け後のニュースに反応して、日経平均の理論値から離れて動くわけです。
今日の説明は、やや分かりにくいかもしれません。途中に掲載した「これだけ覚えてください!2つのポイント」だけ、頭に入れていただければOKです。
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