9月23日から楽天証券にて「信用貸株」サービスを開始

 9月23日から、楽天証券で「信用貸株」のサービスが開始されました。「信用貸株」という言葉、筆者もそうでしたが耳慣れない方も多いのではないかと思います。

 サービスの詳細は下記をご覧ください。

≫「信用貸株」について

 この「信用貸株」、いわゆる貸株サービスの一つですが、通常の貸株と異なるのが、信用取引の代用有価証券を貸株ができる点が特徴です。そして、貸株をすることにより、金利収入を得ることができます。

 ここで、代用有価証券についても、よく分からないという方に向け、簡単に説明しておきます。

 信用取引では、担保として現金を差し入れるのが原則ですが、この現金の代わりに、保有する株式などの有価証券を差し入れることができます。これを代用有価証券と呼んでいます。

これまでとの違いは?

 通常の貸株サービスは、信用口座を開設している方とそうでない方とで、扱いが少し異なっていました。

 信用口座を開設していない場合、特段の制約なく、貸株サービスを使うことができます。

 一方、信用口座を開設している場合は少し取り扱いが異なります。代用有価証券となっておらず、保護預かりになっている株式については貸株サービスを使うことができましたが、代用有価証券については貸株サービスの対象外でした。

 これが「信用貸株」サービスの開始により、代用有価証券についても貸株により金利が受け取れるようになったのが大きな違いです。

通常の貸株と「信用貸株」との違いは?

 通常の貸株と「信用貸株」との違いについても確認しておきましょう。

 まず、「信用貸株」は通常の貸株より金利が低くなっています。この理由を解説します。

「信用貸株」によりその株は貸し出されてしまうので、代用有価証券としての信用余力がその分、低下してしまいます。この低下を補うため、楽天証券が低下した信用余力分を穴埋めしてくれます。この穴埋めに必要な資金の調達金利が必要なので、その分だけ通常の貸株より金利が低くなるのです。

 また、通常の貸株については、同一の銘柄につき、一部だけ貸株に出すという選択ができます。一方、「信用貸株」は、同一の銘柄については全部を貸株に出すか、全く貸株をしないという二者択一に限られています。

「信用貸株」は使うべき?使うべきではない?

 では、新しいサービスである「信用貸株」は使うべきでしょうか?

「信用貸株」のメリットは、当然ながら金利収入を受けられることです。「信用貸株」を利用しなければ金利収入はないわけですから、おのずと利用した方が良いという判断になります。

 また、この「信用貸株」を利用した場合、その株の売却などに際して制約を受けるのではと考えるかもしれませんが、いつでも売却・現渡しが可能になっています。

 そして、配当金や株主優待の基準日になると自動的に貸株が返却されるので(一定の条件あり)、貸株により配当金や株主優待が受け取れない、という心配もほぼありません。

 一方、デメリットはあるのでしょうか。

 長期間の保有などにより株主優待の内容が優遇されるような銘柄の場合、貸株を行うことで優遇要件を満たさなくなってしまう可能性があります。そのため、事前に貸株を行うことで株主優待などへの悪影響がないかどうか、銘柄ごとに確認しておきましょう。

「信用貸株」で受け取った金利の税金は?

 株式投資にかかる税金として主なものは、株式の譲渡所得(売却益)に対してかかる税金と、配当金に対してかかる税金です。

 上場株式の場合、売却益は20.315%(所得税・住民税)の税率で課税され、配当金は20.315%(所得税・住民税)の税率で源泉徴収がされます。

 しかし、「信用貸株」で受け取った金利の税金は、これらとは扱いが異なります。具体的には雑所得として総合課税の対象となります。

 給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円以内に収まるなど一定の要件を満たす方以外は、総合課税として「信用貸株」の金利が所得に加わります。

 他の所得が少なければ低い税率で済みますが、他の所得が大きいと50%を超える税率となる場合もあります。

 また、株式の売却損と損益通算するようなこともできませんのでご注意ください。「信用貸株」の金利の税金は、株式の売却益や配当金とは全くの別物、と考えていた方が良いですね。