複数の新型モデル投入と需要期到来で下期も売れ行き好調持続へ

現地コード 銘柄名
02333

長城汽車

(グレートウォール・モーター)

株価 情報種類

9.48HKD
(9/8現在)

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    長城汽車の8月の自動車販売台数は前年同月比27.4%増、前月比14.2%増の8万9,442台と、BOCIの予想を上回る水準に達した。すべてのサブブランドが前月から販売台数を伸ばした。BOCIは複数の新型モデルの投入や需要ピーク期の到来を理由に、この先12月まで前月比での販売台数の伸びが続くと予想。20-22年の販売見通しをそれぞれ105万台、125万台、136万台に引き上げるとともに、予想純利益を8-17%増額修正し、新たに47億元、62億元、75億元に設定した。また、同社の「ピックアップトラック+オフロード車」戦略がさらなる採算性の改善を後押しするとの見方。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

    8月の販売台数をブランド別に見ると、「哈弗(Haval)」が前年同月比11.7%増、前月比18.1%増の5万6,128台。「哈弗H6」「M6」「F6」の販売台数がそろって1万台を超え、前月比の販売台数上乗せに大きく寄与した。中でも好調だったのが「H6」。8月前半に第2世代のモデルチェンジを行った効果だけでなく、第3世代の前倒しの在庫補充を受けた販売分が推定約6,000-7,000台分に上ったという。「哈弗」以外では、「Wey」ブランドの販売台数が前年同月比7.1%増の7,504台と、年初からの減少局面を脱した。また、ピックアップトラックは引き続き好調で、Pシリーズの8月の販売台数は1万1,000台。ピックアップ市場での同社シェアは50%弱と、首位の座を維持した。このほか、「欧拉(ORA)」ブランドの販売台数は4,794台。ニューモデル「白猫」「黒猫」の貢献や前年同月実績の低さを背景に、前年同月比300%弱の伸びを記録している。

    同社はアーバンSUVに加え、相対的に競争環境が緩やかなオフロードSUVに力を入れる方針。この分野ではすでに、アーバンSUVでありながらもオフロード利用が可能な「大狗(Big Dog)」の予約販売を開始しており、これが10-12月期の販売増に寄与する見通しとなった。さらにオフロード色の強い「Wey」ブランドの「Tank300」も、年末までに発売する計画。「欧拉」ブランドでは、10-12月に「好猫(Good Cat)」を投入する予定という。なお、同社は21年に、新型モデル10種を発売する計画を明らかにしており、既存の主力モデルすべてがアップグレードの対象となる可能性が高い。

    BOCIは予想販売台数の引き上げに加え、ピックアップトラックの利幅改善やコストの低減見通しを反映させ、20-22年の予想純利益を8-17%増額修正した。今後投入する新型モデル「大狗」や「Tank300」はいずれもニッチ市場向けのため競争環境が比較的緩やかで、高い採算性が見込めるという。また、「ピックアップトラック+オフロード車」戦略は、アーバンSUV市場での過当競争を避ける点で有効であり、これも採算性の改善要因になり得るとの見方。今後の業績回復を見込み、21年予想PER(株価収益率)15倍をあてはめた上で、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。