20年上期の赤字決算も最悪期を脱却、7-9月に全面的に回復見通し

 中国の石油メジャー3社の20年6月中間決算と4-6月期決算は、想定外の減損損失に関する部分を除けば、ほぼBOCIの予想通りの内容だった。4-6月期には原油実勢価格の下落を受けて川上の探査・生産部門の採算性が悪化し、ダメージを軽減するためのコスト削減を余儀なくされたが、その半面、石油精製などの川下部門は相対的に堅調。需要回復を背景に販売量が伸び、利益率も改善した。一方、BOCIは原油相場の回復や川上事業の持ち直しなどから、続く7-9月期の業績改善を予想。セクター全体に対する強気見通しを継続した。ただ、原油相場が短期的に、高値となる可能性は低いとの見方。個別銘柄に対する評価の順位を入れ替え、シノペック(00386)をトップピックに選定。次にCNOOC(00883)を有望視している。

 メジャー3社の20年中間決算はペトロチャイナ(00857)とシノペックがそれぞれ300億元、217億元の純損失に転落。CNOOCが前年同期比66%の減益だった。4-6月期はペトロチャイナが138億元の赤字、シノペックも26億元の赤字(CNOOCは未発表)。うち川上事業の比重が大きいペトロチャイナの場合、1-3月と比較した4-6月期の赤字縮小幅がシノペックより小さかった。原油安が痛手となり、川上の探査・生産部門は両社ともに、1-3月の黒字から赤字に転落している。ただ、逆風の中、メジャー3社はそろってコスト削減に尽力し、上期のコストは前年同期比で9-14%縮小した。

 一方、川下の石油精製部門は利幅縮小と在庫損失の計上で1-3月に打撃を受けたが、4月後半の原油相場の底入れを受け、4-6月には業績が改善。原油安以前に高値で輸入原油を調達した悪影響が消えたことや、新型コロナ後の国内石油製品需要の回復により、6月には黒字化を達成した。また、石油化学部門も精製部門とほぼ同様の傾向を示し、1-3月に比べた4-6月期の業績回復傾向が鮮明だった。

 石油メジャー3社は前回の原油安サイクルが収束した16年以降、積極的な配当方針を取っている。20年上期はCNOOCの配当性向が77.6%と中間期ではここ4年で最も高い水準。赤字転落を余儀なくされたペトロチャイナとシノペックもパイプラインと関連資産の売却益の一部を振り向け、配当を実施する方針を発表した。配当発表日の終値に基づく3社の中間配当利回りを見ると、ペトロチャイナが3.7%と最も高い水準にある。

 BOCIは石油セクターがすでに最悪期を脱したとし、7-9月期には川上から川下まで全事業部門の利益が前期比で回復するとみている。うち探査・生産部門にとっては原油相場の回復が追い風。ブレント原油の平均価格は4-6月の1バレル=33米ドルから7-9月には44米ドルまで上向いた。また、6月に黒字化した精製部門は7-9月にほぼ全面的に正常化する見込み。一方、国家石油天然気管網集団へのパイプライン関連資産の譲渡に伴う多額の一回性利益に関しては、10-12月期の計上を予想している。