史上最高値更新が続くS&P500!株式分割やIPOが相次ぐ中、個人投資家の動きは!?

直近3カ月間のS&P500指数の推移(9月1日まで)

出所:楽天証券ウェブサイト

 8月の米国株式市場は引き続き堅調に推移しました。S&P500指数はコロナショック前の高値を超えてからも、史上最高値を更新する展開となりました。マクロでは堅調な経済指標や、FRB(米連邦準備制度理事会)の雇用を支えるスタンスが好感されました。個別銘柄の話題も豊富で、IPOでは電気自動車のシャオペン(XPEV)や不動産ローンサービスのロケット・カンパニーズ(RKT)など多数の企業が続々と新規上場しました。さらに、アップル(AAPL)テスラ(TSLA)が株式分割を発表したことも好材料となりました。

2020年8月米国株式買付者数ランキング

順位 ティッカー 前月順位 銘柄名 関連するテーマ
1 AAPL 5 アップル スマートフォン、ウエアラブル、クラウド
2 SPYD 1 SPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式ETF ETF、高配当株式
3 QQQ 4 インベスコQQQ 信託シリーズ1 ナスダック100
4 MSFT 3 マイクロソフト ソフトウエア、クラウド
5 TSLA 7 テスラ 電気自動車
6 VOO 11 バンガード・S&P500ETF ETF、S&P500
7 FB 55 フェイスブック SNS、オンラインショッピング
8 PLUG 86 プラグパワー 燃料電池
9 VYM 8 バンガード・米国高配当株式ETF ETF、高配当株式
10 RKT - ロケット・カンパニーズ IPO、住宅ローン
注:楽天証券内買付者数ベース
期間:2020年8月1日~8月31日(国内約定日ベース)

 8月の楽天証券内米国株式の取引において、最も買付者数の多かった銘柄は、株式分割を発表したアップル(AAPL)となりました。テスラ(TSLA)も前月から順位を上げています。引き続きSPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式ETF(SPYD)などの高配当系ETF(上場投資信託)も人気ですが、前月に55位だったフェイスブック(FB)がオンラインショッピング機能に対する期待を背景に積極的に買われ、86位だった燃料電池のプラグパワー(PLUG)も順位が急上昇するなど、大きな成長ストーリーが描けそうな銘柄を探す流れが強まっています。

2020年8月米国株式買付者数ランキング上位分析

テスラ(TSLA)

出所:楽天証券ウェブサイト(9月2日まで)

 8月に1対5の株式分割を発表したテスラ。業績面でも4四半期連続の黒字を達成するなど注目されてきましたが、株価水準に対して手が届きやすくなったことで、同社では9月に入っても積極的に買う動きが見られます。今後は、S&P500指数採用への期待や、ピックアップトラック型の「サイバートラック」の生産が話題になりそうです。また、クリーンエネルギー政策を進めるジョー・バイデン氏が11月の大統領選で勝利した場合も、同社にとって追い風になりそうです。一方、直近では大株主が保有を減らすという動きもありましたので、短期間で急騰した反動や、株価が調整される可能性も低くはないとみられます。

フェイスブック(FB)

出所:楽天証券ウェブサイト(9月2日まで)

 フェイスブックは、フェイスブックで利用できるオンラインショッピングサービス「Facebook Shops」の本格導入を始めました。「コロナ・ショックの影響などを鑑み、今年はこのサービスによる売上フィーを徴収しない」としており、今年中に多くの販売業者が加入する可能性があります。また、インスタグラムでもオンラインショッピング上での決済機能の本格導入を図るなど、オンラインショッピングの本格的なプラットフォームになる道を進み始めました。

プラグ・パワー(PLUG)

出所:楽天証券ウェブサイト(9月2日まで)

 プラグ・パワーは燃料電池メーカーで、“第2のテスラ”を探そうとする動きが高まるなか物色された面があります。皆さんご存じのように、電気自動車のテスラは長い間財務バランスなどを批判されつつも、直近では黒字を維持できるレベルになってきました。この点、プラグ・パワーは赤字企業ですが、売上自体は増収傾向にあり、同社の燃料電池を搭載したフォークリフトがアマゾンやウォルマートに導入された実績があることから注目されています。

ロケット・カンパニーズ(RKT)

出所:楽天証券ウェブサイト(9月2日まで)

 ロケット・カンパニーズは、8月に上場した米国の住宅ローン融資会社です。「ロケット・モーゲージ」というブランド名で住宅ローンを提供していますが、ネット経由でサービスを提供しており、申し込みから設定までスピーディーであることが強みとなっています。住宅ローンは伝統的な銀行などが提供するサービスですが、そのシェアを奪うフィンテック企業として期待されているようです。

シャオペン(XPEV)

出所:楽天証券ウェブサイト(9月2日まで)

 シャオペンは、8月27日に上場した中国の電気自動車メーカーで、アリババやシャオミが支援しています。シャオペンは赤字の企業ですが、中国で自社工場稼働の承認を獲得するなど、明るい話題もあったため注目されました。