インデックスファンドへの投資がどんどん拡大しています。個人も法人もETF(上場投資信託)を含め、インデックスファンドを選ぶ傾向が強まっています。では、アクティブファンドはなぜ避けられるのでしょうか? 今回は、長期投資の観点から考えてみたいと思います。
インデックスファンド、アクティブファンドって?
アクティブファンドについて書く前に、アクティブファンド、インデックスファンドについて、簡単にご説明します。
インデックスファンドとは、株価指数などに連動した値動きを目指す運用(『インデックス運用』)を行うファンドのこと。
例えば、『日経平均株価』という株価指数(=インデックス)があります。この指数に基準価額が連動することを目指すファンドが、日経平均株価のインデックスファンドです。指数に連動することを目指すので、ファンドの投資対象は、原則、日経平均株価の構成銘柄となり、配分比率も指数とほぼ同様となります。
ファンドマネージャーは、指数に近くなるように銘柄を選ぶため、個別銘柄の調査分析はしません。つまり、ファンドの運用に関わるコストは小さくなります。
インデックスファンドへの投資は、低コストで市場並みのリターンを得ることを目的とします。
アクティブファンドとは インデックスを上回るリターンを上げることを目指す運用(『アクティブ運用』と言います)を行うファンドです。
そのため、ファンドマネージャーは、必死になってインデックスより上がる銘柄、下がらない銘柄を探します。銘柄の選択と配分の決定が運用成績の成り行きを決しますので、その調査分析の対価として、ファンドの運用に関わるコストは大きくなります。
アクティブファンドへの投資は、高コストを支払い、市場を上回るリターンを得ることを目的とします。
アクティブファンドはインデックスになかなか勝てない
最近、インデックスファンドの人気が高まっている理由は、「アクティブファンドは、インデックスファンドに運用成績でなかなか勝てていない」ためです。米国での研究では、米国株式の代表的な株価指数であるS&P500指数に対し、アクティブファンドは大体8割ぐらいは負けています。さまざまな研究があり、計測期間により結果も異なりますが、概してアクティブファンドはインデックスファンドに勝てていません。
アクティブファンドが勝てない原因のひとつは、インデックスに勝つためにファンドマネージャーが一生懸命に銘柄を調査分析するために高くなってしまう運用に関わるコストです。勝つためにやっていることがコスト高になり、それでも負けてしまうというのは、皮肉な話です。コストは、ファンドの運用実績にとって確定したマイナスリターンであるからです。
でも絶対に勝てないわけではない
ただし世の中には、例外がいます。
例えば、米国の大投資家ウォーレン・バフェットです。彼は、バークシャー・ハサウェイという会社を投資会社として使い、厳選した少数銘柄への集中投資を行い、長期の運用を続けてきました。
今、ブルームバーグで、バークシャー・ハサウェイの株価を調べてみましたが、1988年1月末から2019年1月末までの31年間で、総リターン+10,180.53%、年率リターン+16.10%にもなります(米ドルベース)。同じ期間のS&P500指数は、総リターン+1,990.95%、年率リターン+10.29%でした。
これは、インデックスファンドを買うお金で、バークシャー・ハサウェイの株を買えば、31年間で何とインデックスの5倍以上のリターンが最終的に上がったことになります。
バークシャー・ハサウェイの株は、大人気銘柄ですから、株価は実際に同社が投資会社として保有している株式などの時価評価額の合計額より大きくなっています。しかし、その点を考慮しても、同社の持つポートフォリオがインデックスを大きく上回るリターンを上げてきたことは確かです。
このように、アクティブ運用でインデックスに勝つファンドマネージャーもいます。
どんなアクティブファンドがインデックスに勝てるのか?
アクティブファンドには、さまざまな運用スタイルがあるため、一概にこのような運用をすれば勝てるとは言えません。しかし、大まかにファンドマネージャーの運用姿勢を見ていけば、ほとんど勝つ見込みがないファンドと勝てる可能性があるファンドを区別することは、ある程度できると筆者は考えています。
筆者独自の考えですが、インデックスに勝てるアクティブファンドは、インデックスを意識し過ぎない、あるいは全く意識しない運用をするファンドです。バフェットは、もちろん、このタイプですし、優秀で伝説的なファンドマネージャーは、すべてこのタイプだと思います。
アクティブ運用でインデックスを意識すると、結局、ほぼインデックスに追随した運用になります。運用成績もあまり変わりません。そうすると、単純に運用コストが高い分だけ、インデックスに勝つことが難しくなります。短期的には勝てる期間があるかもしれませんが、長期間でならした運用成績を見れば、ほとんどインデックスに負けてしまいます。
筆者は、これまでの自身の知識経験から、「インデックスに勝とうと意識すれば、インデックスに負けてしまい、インデックスを無視すれば、インデックスに勝てる可能性が出てくる」というのが真理ではないかと考えています。
筆者自身の金融資産の運用でも、主体はインデックスファンドですが、アクティブファンドにも投資をしています。当然、そのファンドはインデックスをまったく意識しない運用をするファンドです。
最近では、インデックスファンドしか投資対象として眼中にないという方も少なくないと思いますが、投資をしなくてもアクティブファンドの運用姿勢を調べることは、資産運用の勉強になり、今後に役立ちます。機会があれば、月次レポートや運用報告書などで、アクティブファンドのポートフォリオを確認していただければと思います。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。