注文方法は「指値注文」「成行注文」だけではなかった

 前回のコラムで、「指値注文」と「成行注文」の2つの注文方法の内容と効果的な使い方をご説明しました。

 実は、これ他にも注文方法があるのをご存知でしょうか? 今回はその中でも最もポピュラーで利用価値が高い「逆指値(ぎゃくさしね)注文」をご紹介します。

「逆指値注文」っていったい何?

 逆指値注文とは、その言葉から想像すると「指値注文の逆バージョン?」と感じますが、いったいどんな注文なのでしょうか。

 通常の指値注文は、例えば「株価300円の指値で買い注文」を出せば、株価が300円以下であれば注文が成立します。「株価500円の指値で売り注文」であれば、株価が500円以上のとき注文が成立します。

 しかし、逆指値注文の場合、「株価300円の逆指値で買い注文」なら株価が300円以上にならないと注文が市場に発注されません。同様に、「株価500円の逆指値で売り注文」であれば株価が500円以下にならなければ売り注文が市場に発注されないのです。

 買い注文の場合は逆指値「以上」にならなければ成立することはなく、売り注文の場合は逆指値「以下」でなければ注文が成立しません。この点が通常の指値注文とは「逆」になっているから「逆指値注文」なのです。

逆指値注文には「指値注文」と「成行注文」がある?

 逆指値注文には「指値注文」と「成行注文」があります。こう書くと、「あれ? 逆指値注文は指値注文の一種ではないの?」と不思議に思われる方も多いでしょう。

 実は逆指値注文の「逆指値」とは、「証券会社が注文を市場に発注する価格」なのです。逆指値のことを「トリガー」と呼んだりもしますが、逆指値に株価が到達するまでは証券会社は注文を預って株価を監視しており、株価が逆指値に到達したときにはじめて注文を市場に発注するのです。

 逆指値それ自体は、「その価格になったら注文が市場に発注される」という意味しか持ちません。そのため、どのような条件で注文を出すかを逆指値とは別に決めなければならないのです。その際の条件とは通常の注文と同様、「指値注文」なのか「成行注文」なのか、そして指値注文なら指値をいくらにするかです。

逆指値注文の具体的な注文例は?

 つまり、逆指値注文の場合は、「逆指値(注文を市場に発注する価格)」と、「指値注文もしくは成行注文の別および指値注文の場合は価格」を決定する必要があるのです。

 例えば、「(1)300円の逆指値買い注文で、指値300円」なら、株価が300円に到達したら、300円の指値買い注文を市場に発注するという意味になります。「(2)300円の逆指値買い注文で、指値280円」なら、株価が300円に到達したら、280円の指値買い注文を市場に発注するということです。

 したがって、例えば現在の株価が250円の場合に(2)の逆指値注文を出したとすると、この注文が成立するためには株価がいったん300円以上になり、その後280円以下に下落する必要があるのです。

逆指値注文でも確実に取引を成立させたいなら成行注文を

 一般の指値注文も同じですが、逆指値注文においても指値注文を出した場合には、必ずしも買えるとは限りません。今は株価の値動きが非常に早くなっていますから、「300円の逆指値買い注文で指値300円」はもちろんのこと、「300円の逆指値買い注文で指値302円」という注文でも買えないかもしれません。

 そこで、株価が300円以上に上昇したら確実に買いたいという場合は、「300円の逆指値買い注文で成行」という注文を出すようにしてください。そうすれば、株価が300円まで上昇したら成行の買い注文が発注されることになるため、確実に買うことができます。同様に、売り注文のときも確実に売りたいならば成行注文を用いましょう。

 次回はこの逆指値注文を具体的にどのように実践に生かしていくのか、その方法をご説明いたします。

正確にいえば、株価が300円になったときに300円の指値買い注文は成立するかもしれませんし、しないかもしれません。なぜなら、自分より早く300円の買い注文が出ていれば、そちらの注文が優先されるからです。この場合、株価が299円まで下落すれば、300円の買い注文の全てがさばけたことを意味しますので、300円の買い注文は成立します。

指値売り注文の場合も同様で、自らの指値より1円でも高い株価がつけば、その指値売り注文は成立しますが、指値と同じ株価になっただけでは必ずしも指値売り注文が成立するとは限りません。