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気候変動による自然災害や食糧問題が頻発していることから、地球温暖化問題への関心が高まり、エネルギーを取り巻く環境が急速に変化しています。石炭を中心とした化石燃料から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーへのシフトが進んでいますが、ここにきて究極のエネルギーである『水素』が注目されています。欧州は『水素』戦略を採択し、日本企業も『水素』の実用化を目指し実証試験を進めています。
【ポイント1】地球温暖化対策として『水素』に注目
近年、多発する自然災害などから、地球温暖化問題への関心が高まっています。今年は、温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定の本格運用初年度であり、新型コロナ禍からの復興と環境問題への取り組みを合わせた「グリーンリカバリー」も注目されていることから、脱炭素への動きが一層加速すると考えられます。
EU(欧州連合)の欧州委員会は今年7月、2050年に域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標に向け、エネルギーシステム統合戦略を打ち出しましたが、燃焼しても温暖化ガスを排出しない『水素』を戦略の重要な柱と位置づけ、注目を浴びています。欧州では再生可能エネルギーが普及していますが、電化が難しい素材産業や、発電・輸送燃料などでの『水素』の活用が期待されています。
【ポイント2】日系企業も各方面で取り組みが進む
日本においても、『水素』活用に対する取り組みが進んでいます。
千代田化工建設は、三菱商事、三井物産、日本郵船と共同で、国際間で『水素』サプライチェーンを構築する実証試験を始めています。実証試験では、ブルネイで天然ガス由来の『水素』をトルエンを使って液化し、それを船で輸送します。今年5月からは、国内で再分離した『水素』を火力発電所で燃料として燃やす、発電試験も開始しています。
東芝、東北電力、岩谷産業は、今年2月、再生可能エネルギーを利用した世界最大級となる『水素』製造設備を完成させ、クリーンで低コストな『水素』製造技術の確立を目指しています。
【今後の展開】日本のエネルギー政策においても『水素』の活用に期待
今年7月、梶山経済産業相は、二酸化炭素(CO2)を多く排出する低効率な石炭火力発電所の休廃止を進めると表明しました。日本も脱炭素に向けた取り組みがさらに強化されることとなります。
日本は電力自由化がなかなか進まず、再生可能エネルギーの活用が遅れてきましたが、足元、太陽光や風力の活用が進み始めています。一方、『水素』はこれからの技術であり、日系メーカーによる研究開発、実証試験も進んでいることから、今後、日本のエネルギー政策において重要な柱になることが期待されます。
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