今週の予想

今週も2万3,000円水準を挟んだもみ合いへ

 今週も先週と同じように2万3,000円水準を挟んだもみ合いが想定されます。上を試す場合は、為替の円安への振れや米国株式の上昇にツレ高することになります。しかし、その米国株式もアップルなど巨大IT企業や、テスラなどEV(電気自動車)が中心で、ナスダック総合株価指数やS&P500種株価指数は史上最高値を更新中ですが、NYダウは動きが鈍い(追加経済対策の遅れ)というように、日米ともに方向感がつかみにくい状況となっています。

 一方、国内的には新型コロナウイルスの感染者数が減少しないので、経済回復の視点からは上値が重くなっています。しかし、需給から見ると、コロナで金融政策が続いていることはプラス材料であり、日経平均の日足チャートは、8月19日には75日線が200日線を上に抜けるゴールデンクロスとなっています。ただし、出来高が薄い中での状況ですので信頼性には欠けるところです。

 今週の注目点は、27日に行われるFRB(米連邦準備制度理事会)パウエル議長の議会証言です。ここで今後の金融政策に変更があるのかどうか、内容によっては、一時的に円高にブレと、日経平均も調整色が出る可能性があります。

 また、米国の追加経済政策で民主党と共和党間の決着が9月のどこかでつけば、NYダウが上昇し、日経平均もツレ高することになります。米国市場の見方は2月以来の「強さ」が戻り、強気ムードになっているということです。

 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらずチグハグな感じがしますが、世界中が過剰流動性になっていることの結果と言えます。しかし、全体が強気になった時に、大きな下げが起こるということは歴史が示していますので、何かキッカケがあれば大きな調整の可能性があることは頭の隅に入れておくべきです。特に米大統領選の前は要注意かもしれません。

今週の指標:日経平均株価

 今週は、先週と同じように米株式のIT関連銘柄の好調さに支えられるため、日経平均も2万3,000円を割っても下値が堅く、とはいえ上値も2万3,300円からは重く、2万3,000円水準でもみ合いながら、上か下かへのキッカケを待つ展開となります。国内では相変わらず感染拡大が落ち着く状況ではないため、海外要因である米株式と為替の動き次第というところ。これを動かす要因である27日のパウエルFRB議長の講演で、金融政策の変更の示唆があるかどうかが注目となります。

今週の指標:NYダウ平均株価

 ナスダック、S&P500が史上最高値を更新していることに見られるように、投資家心理が2月以来の「強気」に転じており、米株式市場はさらに一段高が期待できるとしています。現実に米郊外のモールやアウトレットには客足は2月水準まで戻し、2009年以来最高に達していると言われています。しかし、基本的には過剰流動性(金余り)による上昇であり、全体が強気になればなるほど、その後の大幅下落の可能性が高まってくることになります。9月には再び追加経済政策があり、規模は別にして合意できれば、相場の押し上げ要因となります。

 いつ相場が転換するのかは分かりませんが、キッカケ待ちとなります。それは新型コロナウイルス第2波、米中貿易戦争、大統領選挙になるかもしれません。日本市場は米国に追随ですので米国が上昇している限り下げても下値は限定的ですが、リスクを考えた投資が必要となります。

今週の指標:ドル/円

 民主党と共和党の間で、追加経済政策の規模の問題で交渉が難航していますが、米国経済は新型コロナウイルスの感染拡大から景気の回復が後退しつつあります。また、FRBはいずれ追加の金融緩和を検討するとの見方は根強いため、長期間にわたって緩和策は堅持される可能性が高く、27日のパウエルFRB議長講演が注目されます。

 また、27日予定の4-6月期GDP(国内総生産)改定値が上方修正されれば、ドル買い材料となり、今週のドルは底堅い展開が想定されます。1ドル=105~107円が基本レンジと想定しています。

先週の結果

先週は、週前半は2万3,000円を守っていたが、週後半は2万3,000円割れで引ける

 先週の予測は、2万3,000円を守れるかどうかとしましたが、週後半はわずかに守ることができませんでした。

 先週は6月以降続いていた2万2,000~2万3,000円のボックス圏を上に抜けたことで市場はさらなる上値期待が出ていました。しかし、これは米株式の上昇と円安という外部要因にサポートされての上昇であり、国内では予想を下回る決算や新型コロナの感染拡大状況を考えれば、さらに上値を試すのは難しく、米国株式や為替次第では2万3,000円を守れないかもしれないとしました。そして、先週のSQ(特別清算指数)値が2万3,350円で、日経平均の現物の指数は2万3,338円が高値で「幻のSQ」となっており、ここが目先の上値のフシにかる可能性もあるとしました。

 結果的には、週始めの2万3,248円を高値に19日(水)までは2万3,000円台を守っていましたが、週後半は2万3,000円を挟んだもみ合いとなり、週末の終値は2万2,920円と2万3,000円を割って引けました。国内的には何の手掛かり材料もなく上にも下にも外部要因でのきっかけ待ちとなっています。

8月17日(月):前週末の米国市場は、ほぼ変わらずの動きだったものの、シカゴの日経先物は▲140円の2万3,140円となっており、さらに寄り前発表の4-6月期GDPが年率▲27.8%と戦後最悪となったことで▲99円の2万3,189円で寄り付き、一時▲220円の2万3,068円まで下落しました。その後も利益確定売りが続き、▲192円の2万3,096円と5日ぶりの反落となりました。 

18日(火):前日の米国市場は、ナスダックは史上最高値を更新するもNYダウは反落とマチマチの動きを受けて、+1円の2万3,097円で寄り付きました。その後、米国でのファーウェイの輸出禁止の強化で米中対立激化懸念が高まり、ドル安・円高を受けて一時▲147円の2万2,948円と2万3,000円を割り込む場面も。その後、日本銀行のETF(上場投資信託)買い観測が支えとなって下げ渋り、▲45円の2万3,051円と続落しました。 

19日(水):S&Pが2月以来半年ぶりに史上最高値を更新し、ナスダックも2日連続の最高値更新に。しかし、追加経済対策が不透明なため、NYダウは続落。そのため日経平均は▲53円の2万2,997円で寄り付きました。しかし、円高が一服するとプラスに浮上し、一時+98円の2万3,149円まで上昇し、+59円の2万3,110円と3日ぶりに反発しました。 

20日(木):前日の米国でFOMC(米連邦公開市場委員会)が年後半の見通しを引き下げたことや、さらなる財政支援の必要性に触れなかったことで、主要3指標そろって反落。これを受けて日経平均は▲107円の2万3,003円で寄り付き、2万3,000円を割り込む動きに。後場には▲258円の2万2,851円まで下落し、終値は▲229円の2万2,880円と大幅反落となりました。

21日(金):前日の米国市場は、主力ハイテク株中心に反落しましたが、日経平均は+142円の2万3,022円で寄り付き、一時+254円の2万3,135円まで上昇しました。しかし、その後、徐々に上げ幅を縮小し、後場は大引けにかけて縮小の流れが止まらず、安値引けとなって+39円の2万2,920円となりました。

 日本市場の引け後の21日(金)の米国市場は、NYダウは+190ドル、ナスダック、S&P500はともに史上最高値更新となりました。しかし、シカゴの日経先物は▲10円の2万2,890円と2万3,000円を回復しませんでした。その理由は、NYダウの+190ドルのうち、アップルの1銘柄でNYダウを+167ドル押し上げており、これがなければNYダウはほとんど上昇しておらず、NYダウに連動する日経平均は上がらなかったということです。アップルは8月28日に1:4の株式分割を予定しており、これを受けて5.15%上昇し、時価総額2兆1,270億円となりました。米株高の背景は、その他に新型コロナワクチン開発期待、7月中古住宅販売件数の上ブレがあります。