先週は、下は18,900円水準、上は19,250円とする大きな上下動

先週の予測では、円高と日米政治リスクで不安定な相場になるとしました。週前半は、3月期決算企業の権利・配当取り最終日で物色される可能性はあるものの、機関投資家は期末要因で動きづらく、需給関係としてはよくないともしました。結果的に想定通り不安定な動きとなりました。

週始めは3日ぶりの大幅反落の19,000円割れで始まり、火曜日は3月期末の権利・配当取りの最終日で△217円の19,202円となり、水曜日は配当落ち分の約132円を埋めて△14円の19,217円となりました。しかし、その後の30日(木)は、▼154円の19,063円、31日(金)は▼153円と2日連続の大幅安となり、18,909円と19,000円を切って引けました。

27日(月)は、円高と日米の政治問題の重し、さらに3月期末を控えて▼276円の18,985円と3日ぶりの大幅反落となりました。しかし28日(火)は外部環境が落ち着いた中、3月期末配当の権利付き最終売買日にあたり、配当取りの動きや国内機関投資家による配当再投資に伴う先物買い期待から△217円の19,202円と大幅反発しました。29日(水)は、配当落ち分の約132円を埋めて始まるものの、材料が何もなかったことでほとんど動きのない展開が続き、△14円の19,217円と小幅続伸でした。配当落ち分が132円ですので実質では146円高ということになります。30日(木)になると特別悪材料もない中、配当確定後の手仕舞い売り優勢となり、▼154円の19,063円となりました。週末の31日(金)は、前日のアメリカ市場で10-12月期GDPが予想を上回ったことでアメリカ株高となり、為替も1ドル=112円台の円安となったことで前場は△125円の19,188円と反発するものの、後場になると上げ幅を縮小し、その後マイナスに転じて▼153円の18,909円と大幅続落しました。週の終値で1カ月ぶりの19,000円割れとなります。年度末要因から機関投資家によるポジション調整の戻り売りが出たとの見方があります。先週の動きは、上値が重く直近のもみあいを下放れしましたので、円安の流れがでない限り本格調整の可能性も想定しておくところです。

31日(金)のアメリカ市場では、金利引き上げについて、いくつかの連銀総裁から年3回の利上げをそれ以上でもよいのではないかというコメントがでていましたが、ダンドリーNY連銀総裁などからは現状では年3回(あと2回)で十分であるとの発言が相次ぎ、金融株が売られてNYダウは▼65ドルの20,663ドルと反落しました。シカゴの日経先物は△50円の18,960円でした。

 

調整入りも1つのシナリオに入れて、今週のもみあいを考える

今週は、名実ともに新年度相場入りですが、日米の政治リスクが上値を重くしています。特にアメリカではトランプ政権の経済政策の実現性を疑問視する声が高まっていますので、この疑念をぬぐうためにも保護主義政策が強まる可能性が高いと思われます。トランプ大統領の就任以来の動きは、7カ国に対す入国制限の大統領令の効力が裁判所に「無効」とされ、2回目の入国制限は大統領令が実行される前に停止されました。さらにオバマケア修正法案は議会で採決前に「法案を引っ込める」という大失態を犯しました。2つの選挙公約が失敗に終わったことで、トランプ政権に対する実行能力が懸念されてきています。ここでトランプ大統領が信用を取り戻そうとしますので、アメリカが他国に奪われている富を取り戻すという名目で「保護主義政策」をとることになります。2国間協議による貿易不均衡是正のための経済対話が、4月6日(木)~7日(金)の「米中首脳会談」の中で行われ、続いて4月中旬には第一回の「日米経済対話」が行われます。貿易赤字は1位が中国、2位が日本ですので2回続けて公約の実現に失敗していることで、この2国にとっては貿易赤字の不均衡是正はかなり厳しいものになるかもしれません。もしそうなると日本の輸出企業にとっては大打撃ですので、日本株式も大きな調整が強いられることになると思われます。

現時点では、日本株式の上昇は為替次第となっており、アメリカ経済が好調でもドル高・円安という動きになっていませんので、注意が必要となってきます。

今年になってからのチャートを見てみると、1月18日(水)の18,650円を安値とし、3月2日(木)の19,668円を高値とするレンジの中で、1月5日(木)の19,615円、3月2日(目)の19,668円で2点天井(柴田罫線ではほぼダブル天井)となって、その後徐々にレンジの下限に向かって上値を切り下げてきています。形としては、1月18日(水)の18,650円に対する2点底(ダブル底)の動きも想定されますが、ここを切ると本格調整という展開になってきます。日柄調整をみてみますと、昨年の12月8日(木)に18,614円の安値をつけたあと、12月9日(金)の終値18,996円からは、18,650~19,668円のレンジの中で4カ月近いもみあいとなっていますので、日柄調整は十分といえます。日柄調整が終了すれば上放れか、下放れすることになりますが、現在の日本株式を取り巻く相場環境をみると、下放れの可能性が高いように思われます。もちろん、急速な円安・ドル高となって19,668円をぬければ上放れとなりますが、その可能性は今のところ考えにくいところです。

調整入りはどこでみればいいのかというと、まずはレンジの下限である1月18日(水)の18,650円を終値で切ってきた場合です。この水準で止まってダブル底となり、レンジの上限を目指す場合もありますので、明確に18,650円を下回るのを確認する必要があります。その下は18,300円水準となります。

今週からは、上述したようなシナリオを頭に入れながら、相場を見ていくのが良いと思われます。需給関係としては、海外投資家の売り越しが続いており、3月24日(金)時点では、信用残高で買い方と売り方の評価損益率が約5カ月ぶりに売り方優勢になっています。一方でアメリカ経済は好調で強い経済指標が出ており、今週末の3月雇用統計も予想を上回る結果となれば年3回以上の利上げ観測(この場合は6月のFOMCでとなる)となって、日米金利差拡大期待から円安方向へふれて日経平均の上昇も考えられます。上値の重い展開の中で強気と弱気が拮抗し、レンジの下限でもみあいが続きそうです。今週は、基本的には18,900~19,200円の小幅のレンジを想定します。

4月3日(月)は、先週末の2日連続の大幅安からの自律反発狙いの買いが入り、△78円の18,988円で寄り付き、後場になると売りポジションを先行させていたヘッジファンドの買い戻しで一時△159円の19,068円まで上昇しました。その後は上げ幅を縮小し△73円の18,983円で引けました。材料が出たことによる上昇ではなく目先の需給で動いているようです。

 

(指標)日経平均

先週の予測では、3月期末で週前半は決算企業の権利・配当取り最終日で物色が強まる可能性があるものの、日米ともに政局不透明が重しとなり、上値の重い展開の中で18,850~19,300円のレンジの中を想定しました。

3月27日(月)は、アメリカ株安や1ドル=110円台の円高を嫌気し、▼276円の18,985円と19,000円割れとなりましたが、3月28日(火)は3月期末配当の権利付き最終日でやや盛り上がり△217円の19,202円と大幅反発し、3月29日(水)も19,251円まで上昇して△14円の19,217円でした。しかし、このあとは配当確定後の手仕舞い売り優勢となり、3月30日(木)は▼154円の19,063円、週末の3月31日(金)は▼153円の18,909円と大幅続落となりました。

今週は名実ともに新年度入りとなりますが、先週末の3月31日(金)の後場の下げにより、週足で3週連続の陰線で19,000円割れは気になるところです。引き続き為替の動きや日米の政治リスクが上値を重くし、19,000円をはさんだこう着状態となりそうです。

柴田罫線をみると18,787~19,604円のレンジ(ザラ場では18,650~19,668円)の中で、3月2日(木)の19,668円をピークに上値と下値を切り下げる形となっています。大きな反発ができないまま18,787円(さらには1月18日(水)の18,650円)を切ってくると、ボックスの下放れとなって本格調整となります。しばらくは、こう着状態からレンジの下限でのもみあいとなりそうですが、日柄調整も3カ月以上経過しており、上にも下にも動くのは十分ですので、このままですと下への確率が高まっていくことになりそうです。

4月3日(月)は、先週末の大幅安からの反動で△78円の18,988円で寄り付き、後場になると一時△159円の19,068円まで上昇しましたが、その後は上げ幅を縮小し△73円の18,983円で引けました。

日経平均

 

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、オバマケア代替法案のドタン場での取り下げから、トランプ政権の公約の実現性に懸念が生じ、大統領選挙後の大幅上昇であるトランプラリーの巻き戻しが継続するとしました。

結果的には、週始めの3月27日(月)に20,412ドルまで下落したあと、3月28日(火)は強い経済指標や原油高を受けて、△150ドルの20,701ドルと9日ぶりの大幅反発となりました。その後は20,700ドルをはさんだもみあいとなり、週末の3月31日(金)は▼65ドルの20,663ドルで引けました。

先週は、トランプ政権に対する不透明感からトランプラリーの巻き戻しが継続すると想定しましたが、原油価格の上昇や強い経済指標を受けて反発する形となりました。

今週は、反発のあとで再びトランプ政権の公約に対する実行力に目が向けられ、政策の内容や実現時期を慎重に見極めたいという思惑が広がることになりそうです。まずは、4月6日(木)~7日(金)の米中首脳会談で領土問題、貿易問題で何らかの実績を出せるか注目となります。

NYダウ

 

 

(指標)ドル/円

先週は、トランプ政権のオバマケアを始めとする公約が実現できず、ドルが売られて心理的節目の1ドル=110円を試す可能性があるとしました。

結果的には、3月利上げで目先のドルの買い材料がなくなり、トランプ政権の不透明さからドルが売られて一時1ドル=110.11円まで下落するものの、その後は消費者信頼感指数やGDPが予想を上回ったことで、ドルが1ドル=112.20円まで買い戻されました。終値では1ドル=111.38円の円高で引けています。

今週も引き続きトランプ政権の公約実現性には不透明さがあるため、ドル売り懸念の一方でいくつかの連銀総裁から年3回以上の利上げが必要との意見もでています。週末の3月雇用統計の結果によっては6月利上げ観測がでてくる可能性があり、その場合はドルが買われ円安へふれることになります。しかしチャート上は、目先は下放れしている形であり、ドルの上値は限定的と思われます。1ドル=110~113円のレンジを想定。

ドル/円