先週木曜日(5月22日)に急反発した日経平均ですが、その後も上昇基調が続き、5月29日の取引終了時点で6日続伸となりました。
日経平均の動きを一目均衡表(下の図1)で見ても、いわゆる「雲」と呼ばれるエリアを足元で上抜けることができました。この雲は、3月・4月にそれぞれ突破を試す場面があったものの、いずれも跳ね返され、抵抗帯として意識されてきた面がありますが、今のところは悪くない展開です。
(図1)日経平均(日足)の一目均衡表チャート
(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)
一目均衡表は、株価(ローソク足)と5本の線(基準線・転換線・遅行線・先行スパン1・先行スパン2)によって構成されていますが、それぞれの位置関係や組み合わせによって、トレンドや売買ポイントを探っていきます。その中で、強い買いシグナルとして知られる「三役好転」というのがあります。三役という言葉の通り、満たす条件が3つあります。
- 転換線が基準線を上抜ける(均衡の好転)
- 遅行線が株価を上抜ける(遅行の好転)
- 株価が雲を上抜ける(三役好転)
図1で説明した「日経平均が雲を突破した」というのはちょうど(3)に該当します。では(1)と(2)についてはどうなのかというと、5月29日の取引終了時点で、転換線と基準線がまったく同じ値段(14,354円)ですので、(1)の均衡の好転はまだ実現していません。また、(2)については、図が細かいため判りづらいのですが、5月21日の時点で達成しています。
では、転換線が基準線を上抜ける、つまり、(1)を達成すれば強い買いシグナルになるのかというと、そうとは限らないので注意が必要です。実は、(1)~(3)の順番で条件を達成することがポイントとされています。今回は(2)、(3)の順番で達成して(1)を待つという状況です。結果的に3つの条件が揃ったとしても、強い買いシグナルとして意識されにくい可能性があります。もっとも、順番が違うからといって、売りシグナルというわけではありません。
転換線は「(直近9日間の高値+安値)÷2」で、基準線は「(直近26日間の高値+安値)÷2」で計算されます。要は短期(9日間)と中期(26日間)の値幅の中心値段の推移をそれぞれ表したものになります。現在の株価が、短期的・中期的な値幅の中心線と比べてどのあたりに位置しているのかが、基本的な転換線と基準線の見方です。
ですので、株価が底を打って上昇に転じる場合は、まず株価が転換線を上抜け、そして転換線が基準線を上抜けるというのが自然な流れです。足元(現在)のトレンド転換を表したのが(1)の考え方です。
遅行線については、現在の株価を26日分過去にずらした線です。現在の株価を過去と比べて高いのか安いのかを見ていく線になります。(2)の達成は現在の株価が過去の株価を上回ったことを意味するため、過去を振り返ってみても買いサインが出たと考えられるわけです。
冒頭でも述べた雲は、先行スパン1と先行スパン2によって囲まれる部分を指します。先行スパン1は、基準線と転換線の中心値段を遅行線とは逆に26日分未来にずらして描きます。先行スパン2も直近52日間の高値と安値の中心値段を26日分未来にずらします。
いわば、これまでの株価の動きの範囲が雲となり、それを未来にずらすことで、「今後の株価形成にどういう影響を与えそうなのか、その参考にできるのでは?」という考え方です。雲が抵抗帯や支持帯として機能しやすいのは、過去の出来事などにある程度縛られやすい人の性が影響しているのかもしれません。(3)の達成は、大袈裟な表現ではありますが、過去のしがらみから解き放たれ、次に向かって進んでいく意思の表れと見ることができます。
そう考えると、(1)~(3)の順番がポイントになるのは何となく頷ける気がします。今回は明確な三役好転ではありませんが、今後の力強い上昇に期待したいところです。
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