今年もあと4カ月。ふるさと納税がまだの方はそろそろ検討する時期です。実は株の売却益があるとふるさと納税の限度額が増えることは、ご存知でしたか?
ふるさと納税とは
「ふるさと納税」、言葉は聞いたことがあるけれど、まだやったことがない…という方のために、まずは、ふるさと納税の基本をお伝えします。
ふるさと納税とは寄付金控除の1つであり、地方自治体に寄付をすると、その一部が所得控除もしくは税額控除の対象となり、寄付額の実質負担が小さく抑えられるというものです。
ふるさと納税では実質2,000円の負担で寄付ができる限度額が、所得額に応じて決まってきます。この限度額の範囲内であれば、いくらふるさと納税による寄付をおこなっても、自身の負担額は2,000円で収まるのです。
そして、ふるさと納税では返礼品を受け取ることができますから、2,000円の負担額で返礼品を楽しむ、というのがふるさと納税がここまで人気になった理由です。
不動産や株の売却による利益があるとふるさと納税の限度額が増える
ふるさと納税の限度額は、所得金額が増加すれば大きくなります。この所得金額は、給与所得に限られるわけではなく、事業所得や不動産所得も含まれます。
さらには、不動産を売却したことによる売却益や、株式の売却益により生じる譲渡所得も含まれることになります。
例えば楽天ふるさと納税のシミュレーターで計算すると、
各種所得控除後の所得金額が300万円の場合:限度額77,197円
これに加え株式の売却益が500万円ある場合:限度額139,861円
各種所得控除後の所得金額が1,500万円の場合:限度額534,793円
これに加え株式の売却益が500万円ある場合:限度額623,592円
となります。
確かに、株式の売却益があることにより、ふるさと納税の限度額が増えていることが分かります。
この楽天ふるさと納税のシミュレーターは、不動産や株式の譲渡所得がある場合の限度額の試算もでき、かなりのすぐれものです。
筆者もいろいろなシミュレーターを見てきましたが、楽天のものが最も詳細に試算できるのではないかと思います。
一般口座・特定口座・NISA口座での違いは
株式の売却益が生じたときの取り扱いは、一般口座、特定口座、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座とで異なります。
一般口座、および源泉徴収なしの特定口座にて生じた株式の売却益は、原則として確定申告が必要となります(20万円以内の場合など所得税の申告が不要なケースもあり)。そのため株式の売却益が生じたら、その分だけふるさと納税の限度額も増加することになります。
一方、源泉徴収ありの特定口座の場合は少し事情が異なってきます。確定申告は原則不要ですが、確定申告してもよいことになっているからです。
もし、確定申告をすることにより、ふるさと納税の限度額を増額させたいのであれば、確定申告を行えばよいのですが注意点も。
それは、確定申告をすることにより、基礎控除や配偶者控除、扶養控除、住宅ローン控除、国民健康保険料などに影響が生じる可能性があるからです。
なお、NISA口座はもともと売却益が非課税ですから、これをあえて確定申告してふるさと納税の枠を増やす、ということはできません。
確定申告した方がよいかどうかは事前のシミュレーションで確認
ふるさと納税の限度額を増やすために確定申告をした結果、他の負担額の増加の方が大きかったら本末転倒です。
事前にシミュレーションを行い、トータルでみてプラスになるような選択肢を取るようにしましょう。
また、今年のふるさと納税の限度額は、「今年の所得」に応じて決まってきます。したがって、株式の売却益などを含め、今年の所得がどれくらいになるかを推測したうえで、今年中にふるさと納税を行うことになります。推測が誤っていると、限度額の計算もずれることになるため、ふるさと納税により思わぬ負担をしてしまいかねません。十分に注意が必要です。
なお、繰り返しになりますが株式の売却益を確定申告するかどうか選択できるのは源泉徴収ありの特定口座のみです。一般口座や源泉徴収なしの特定口座で得た売却益は確定申告をすることが原則ですから気を付けてください。
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