20年6月中間決算、利ざや縮小も利益成長確保へ

    銀行セクターでは20年4-6月期も規模の拡大が続いたが、純金利マージン(NIM)の縮小幅は前四半期より小幅にとどまった可能性が高い。BOCIは主要銀行銘柄について、NIMが前年同期比で拡大した可能性すら指摘している。また、国内工業セクターのインタレスト・カバレッジ・レシオ(企業の借入金利息の支払い能力を測る指標)が4-6月期に回復したのに伴い、法人向け融資の貸し倒れ圧力が和らいだとの見方。4-6月期の利益成長率は1-3月比で減速しつつも予想を上回るとみて、セクター全体の先行きに対して強気見通しを継続している。

    中国政府の景気刺激策を背景に、銀行の資産は20年4-6月に2桁の伸びを達成した。6月末時点で、商業銀行の資産、負債はそれぞれ前年同期比11.0%増、10.8%増と、3月末の伸び率から0.2ポイント、0.4ポイント加速。貸し出しと預金の伸びもそろって加速し、両者の格差は縮小した。BOCIは規模の拡大が引き続き、商業銀行の4-6月期の利益成長を支えるとみている。

    工業部門のインタレスト・カバレッジ・レシオは20年1-2月に3.45倍まで下げた後、1-6月には5.64倍まで回復した。依然思わしくない状況にあるとはいえ、銀行法人部門の資産の劣化圧力が多少なりとも和らいだ形。また、小口のリテール資産に関しても、4-6月には貸し倒れ圧力が軽減されたとみる。ただ、大手行と中小行との格差は残る見込み。一部の農村商業銀行が貸し倒れ圧力の拡大に直面する半面、優良顧客を抱え、融資基準の厳格な大手行の不良債権比率は制御可能な範囲にとどまる見通しという。

    一方、貸出金利の下落トレンドを背景に、商業銀行の平均NIMは4-6月期も縮小する見込み。ただ、BOCIは銀行各行の積極的なデュレーション(回収期間)管理や負債コストの低減を受け、1-3月期との比較ではNIMの縮小圧力が和らぐとみている。

    役務取引等利益(純手数料収入)は経済活動の再開を受け、4-6月期に回復する見込み。「理財商品」(高利回りの投資商品)ビジネスの低迷を、好調の投資信託が補う可能性が高い。

    BOCIはカバー銘柄全体の4-6月期の純利益について、前年同期比4.09%の伸びを見込む。1-3月(同5.56%増)比での減速はNIMの縮小によるもの。引当前業務純益に関しては6.13%増(1-3月は7.05%増)を予想している。前期比での増益ペースの減速が見込まれるとはいえ、銀行セクターが引き続き利益成長を維持できる点に着目している。

    銀行銘柄の現在株価は20年予想PBR(株価純資産倍率)で0.53倍の水準。BOCIは6月中間決算の発表を受け、銀行銘柄のファンダメンタルズの堅調さが証明されるとの見方。個別では招商銀行(03968)をトップピックとしている。