今週の予想

日経平均2万3,000円を守れるか?

 日経平均株価は先週2万3,000円台を回復し、6月以降続いていた2万2,000~2万3,000円のボックス相場を抜けたことで、今週はさらなる上昇を期待したいところです。しかし、その上には2019年11月から2020年2月まで2万3,000~2万4,000円のもみ合いの中で、2万3,200~2万3,600円までのレンジが多く、一気に上抜けるには海外要因である米株式の上昇や、さらなる円安が期待されることになります。

 先週末の14日に一巡した今回の決算が予想よりも悪かったにもかかわらず、日経平均は8月になってから上昇。これは米株の上昇と、為替が1ドル=104円水準から一気に107円水準まで円安となったことがあります。

 企業決算の状況から見ると、発表前までは4-6月期収益を底とする見方が多かったものの、この見方も後退。国内の新型コロナウイルス感染拡大がこのまま続くようだと景気回復の遅れが懸念され、目先、上値を試すのは難しくなるかもしれません。そうなれば2万3,000円を守れないかもしれません。ただ、日本株式は米国株式に連動する動きとなっていますので、米国株高、ドル高傾向が続けば、まずは2万3,000円台を固めて2万4,000円に向かうことも想定されます。

 その米国は、トランプ米大統領が追加経済対策を大統領令で署名したものの、民主党、共和党の合意ができず、9月に延期されているため、目先の米株は一服の可能性があります。

 また、先週の週末の14日(金)のミニオプションの8月のSQ(特別清算指数)値は2万3,350円で、その後の日経平均の高値は2万3,338円。一度もSQ値にタッチせず「幻のSQ」となって、この2万3,350円が目先のフシになる可能性もあります。

今週の指標:日経平均株価

 先週の日経平均は、前週に続いて大幅上昇となり、2週間で約1,500円の上昇。6月から続いていた2万2,000~2万3,000円のレンジを上に抜けました。しかし、このまま上昇するのは厳しいと思われます。一つは、2019年11月から2020年2月までの2万3,200~2万3,600円までのもみ合いがあり、2万3,600円を超えれば2万4,000円水準が見えてきます。国内では新型コロナウイルスの感染拡大が続き、経済回復の後退懸念から2万3,000円が守れなくなることもあり得ます。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週は、2万8,000ドル水準を上値にもみ合う展開となりそうです。2万8,000ドルを超えていくには、追加救済策が期待されていますが、トランプ大統領が一方的に大統領令で署名した救済策は共和党、民主党の溝が埋まらず、9月以降に持ち越される可能性が高まりました。

 新型コロナウイルスも感染の収束は見られず、経済回復の後退が懸念されます。ただし、FRB(米連邦準備制度理事会)は当面大規模な金融緩和を継続する見通しですので、相場の下支え要因になります。

 米中対立の激化懸念は、先週に入ってこれまでにない量の米農産物を購入した中国には、さらなる対立を激化させる意図はないとの見方が出ています。

今週の指標:ドル/円

 今週のドル/円は、伸び悩むことになりそうです。

 米国の追加経済対策の規模を巡る民主党と共和党の間の溝は深く、交渉は難航。実行は9月以降に延ばされました。このため、ドルの買い戻しが一服となりそうです。

先週の結果

先週の日経平均は、米株高、為替の107円水準の円安を受け4連騰で2万3,000円台回復

 先週の予測は、今回はお盆を挟んでいるため、2万2,500円水準を中心に一進一退の動きを想定しました。米国株式と為替の動きが日経平均の戻りの限界に影響を与えることになるとしました。

 結果的には、米株式は堅調な動きとなり、さらに為替が1ドル=106円水準から107円水準への円安基調となったことで、連休明けの3日間で合計919円の上昇となり、2万3,000円台を回復し週末の14日(金)は2万3,338円の戻り高値をつけました。株価は一進一退としましたが、為替が予想より1円近い円安となったことで、主力輸出関連株が買い戻されると同時に出遅れのバリュー株が買われ、TOPIX(東証株価指数)が上昇しました。

3連休明けの8月11日(火):追加経済対策への期待から、前日のNYダウが+357ドルと大幅高となったことや、円安・ドル高も加わったことで+175円の2万2,505円で寄り付き、一時+430円の2万2,760円まで上昇。終値は+420円の2万2,750円と4日ぶりの大幅反発となりました。

12日(水):前日の米国市場では主要3指標そろって反落となったものの、朝方は弱含んで始まった後は、時間外での米株先物高を受けて、一時+124円の2万2,874円まで買われ、前引けは+38円の2万2,789円と小幅続伸でした。しかし後場になるとジリ高歩調となり、後場の大引けにかけては2万2,800円台半ばで推移し、+93円の2万2,843円と続伸しました。ハイテク株の上値が重くなり、出遅れていたバリュー株に買いが集まり、TOPIXが+19ポイントと上伸しました。

13日(木):前日の米国市場では、主要3指標そろって上昇し、S&P500種株価指数は最高値に迫る動きとなったことで、日経平均は+279円の2万3,123円で寄り付き、一時+449円の2万3,293円まで上昇。2月のコロナ・ショック前の水準に戻り、投資家心理を好転させました。後場も高値圏での動きとなり、一時+472円の2万3,316円まで上昇し、やや円高へ動いたものの+405円の2万3,249円と3日続伸となりました。

14日(金):前日の米国市場は、マチマチの動きでしたが、ナスダック総合株価指数が続伸したことで、日経平均はハイテク株が買われ、+74円の2万3,323円で寄り付き、+89円の2万3,338円まで買われました。しかし、3日連騰の後だけに利益確定売りで下げに転じる場面もありましたが、下値は限定的で+39円の2万3,289円で引けました。この日のミニオプション8月SQ値は、2万3,350円となりましたが、日経平均は+89円の2万3,338円がこの日のピーク。その後、8月SQ値の2万3,350円に一度もタッチすることなく終値は2万3,289円で、幻のSQ値となりました。このような場合は、SQ値を上に残した形ですので、フシ目として意識されやすいことになります。ただし、今回はお盆を含んでいたため出来高が細く、上値抵抗線としてはインパクトがあるとは言い難いので、米株式が高く、為替が円安基調になれば上に抜けるのは難しくないと言えます。ただし、2019年11月から2020年2月まで2万3,000円台でのもみ合いが長いので、この水準を突破するには何か材料が欲しいところです。

 日本市場の引け後の14日(金)の米国市場は、経済指標は好悪マチマチの動きで追加経済対策を巡る与野党の交渉が行き詰まりとなったことで、上値の重い展開に。NYダウは+34ドル、ナスダックは▲23ポイント、S&Pは▲0.5ポイントとほぼ変わらずの動きでした。シカゴ日経先物は▲140円の2万3,140円でした。