夏枯れ相場とは程遠いNYダウの出来高!個人投資家の動きは!?
7月の米株式市場は、新型コロナウイルスワクチンの開発への期待や経済活動の再開が好材料になり、4月から続く上昇トレンドを支える展開となりました。7月1~10日の間、NYダウ平均株価は方向感に欠け、2万5,637~2万6,287ドルのレンジでしたが、7月14日に米政府が中小企業向けに大規模な財政支援を継続的に行うと発表すると、前日比+557ドルとなりました。最終的に7月31日の終値は2万6,428ドルとなり、前月末比(6月30日終値比)+2.4%となりました。
このような状況の中、注目はNYダウの出来高です。夏場の株式市場では、7~9月の取引量がその他の期間に比べて減少しやすい「夏枯れ」とも呼ばれる期間が存在します。しかし、今年の7月の取引においては、減少するどころか、通常出来高が増え始める10~11月の水準まで上がってきています。ハイテク株が多いNASDAQの出来高に関しては、昨年7月と比べ84.8%増えています。
2020年7月米国株式買付者数ランキング
順位 | ティッカー | 前月 順位 |
銘柄名 | 関連するテーマ |
---|---|---|---|---|
1 | SPYD | 1 | SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF | ETF、高配当株式 |
2 | MRNA | 13 | モデルナ | バイオ医薬品、新型コロナワクチン |
3 | MSFT | 7 | マイクロソフト | PC、ソフトウエア、クラウド |
4 | QQQ | 8 | インベスコQQQ 信託シリーズ1 | ETF、NASDAQ100 |
5 | AAPL | 11 | アップル | PC、スマホ |
6 | KO | 2 | コカ・コーラ | 飲料、長期連続増配、ディフェンシブ |
7 | TSLA | 42 | テスラ | 電気自動車(EV) |
8 | VYM | 5 | バンガード・米国高配当株式ETF | ETF、高配当株式 |
9 | T | 4 | AT&T | 通信、長期連続増配 |
10 | BNTX | 25 | バイオエヌテック | バイオ医薬品、新型コロナワクチン |
注:楽天証券内買付者数ベース 期間:2020年7月1日~7月31日(国内約定日ベース) |
7月の当社内米国株式の取引において、最も買付者数の多かった銘柄は、引き続きSPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF(SPYD)となりました。6月はコカ・コーラ(KO)やAT&T(T)などの高配当銘柄が上位に上がってきていましたが、7月はハイテク銘柄や新型コロナウイルスワクチンの関連銘柄が上位を占めました。新型コロナワクチンを開発する企業への期待が高まったことや、好決算を発表したハイテク企業への注目が集まっていることが見てとれます。また、6月の買付者数ランキングにおいて42位だった電気自動車メーカー・テスラ(TSLA)が7位に上がったことも注目すべき点かと思います。
テスラ (TSLA)
7月23日に発表した2020年第2四半期(4-6月)の決算は、総売上高60億3,600万ドル(前期比1%減)、営業利益3億2,700万ドル(前期比16%増)で、4四半期連続の黒字になりました。コロナ禍の中でも中国での納車台数が好調だったことが増収の要因でした。また、走行距離160万キロメートルを可能とする長寿命バッテリーの発表が近付いているとの報道や、インド市場参入に向けた準備が順調に進んでいることが好材料となり、7月13日に1,794.99ドル(7月1日の終値比60.3%増)の過去最高値を記録しました。
多くの投資家から人気を集めているEV関連銘柄
ティッカー | 銘柄名 | 事業内容 |
---|---|---|
NIO | ニオ | 電気自動車・車両充電ソリューション |
NKLA | ニコラ | IPO、電気自動車・燃料電池メーカー |
LI | リー・オート | IPO、低価格の電気自動車 |
SOLO | エレクトラメカニカ・ビークルズ | 一人乗りの電気自動車 |
最近、EV(電気自動車)市場全体への注目度が上がってきています。
上記の4銘柄は、最近、特に人気を集めており、今後の値動きに注目したいと考えています。
ニオ (NIO)
中国で唯一バッテリー交換技術を搭載している電気自動車メーカー。「中国のテスラ」とも呼ばれている。中国政府からのEV化を追い風としており、納車台数を大幅に増やしています。8月11日の第2四半期決算では、納車台数が1万331台(前期比269%増)と発表し、過去最高値を更新しました。
ニコラ (NKLA)
ニコラはナスダック市場に上場していたVectoIQ社との合併により2020年6月に上場した中国の水素燃料電池トラックメーカーです。現時点ではまだ製造を開始していないにも関わらず、多くの投資家より高い支持を得ており、時価総額は7月9日時点で286億3,000万ドル(約3兆円)を記録し、一時フォードを超えていました。創業者のトレバー・ミルトン氏は、将来的に大型トラックだけでなく、さまざまなスペックの電気自動車の生産を視野に入れているとコメントしており、多くの投資家から高い関心を寄せられています。
リー・オート (LI)
リー・オートは2020年7月にNASDAQ市場に上場した中国の電気自動車メーカー。テスラやその他の電気自動車メーカーと差別化を図るため、EREV(エクステンデッド・レンジEV)と呼ばれるシステムを採用している。一般的な電気自動車に導入するバッテリー以外にも内燃エンジンを搭載し、バッテリーパックとエンジンの双方から電力を供給しています。そのため、競合ニオ(NIO)の最安モデル「ES8」より約20%安い価格での提供が可能となっています。2020年1~3月までの売り上げは1億2,000万ドルに急拡大しており、今後の売上動向が注目ポイントになるのではないかと思います。
エレクトラメカニカ・ビークルズ (SOLO)
ジェリー・クロール氏が率いるカナダの完全電気自動車メーカー。テスラやその他の競合と違い、一人乗り自動車「ソロ」の生産に力を入れています。エレクトラメカニカ・ビークルズの時価総額は約1億7,000万ドルに過ぎないですが、予約注文額は24億ドルに達しています。今後2年間でさらに7万台の「ソロ」が米西海岸向けに納車される見通しを発表しています。
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