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『ESG投資』は、財務面だけでなく、環境(E)、社会(S)、企業統治(G)の課題に積極的に取り組む企業に資金を投じる投資手法で、近年、その投資額が世界的に拡大しています。ESGに優れた企業は社会の発展に貢献し、将来も持続的に成長するとの考え方が普及してきたことが背景です。『ESG投資』は日本においても投資額が拡大しており、足元では、個人向けの投資信託の残高も伸びています。

【ポイント1】『ESG投資』は世界の資産運用の主要テーマに

『ESG投資』は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)といった非財務面の要素も考慮した投資です。環境や社会に配慮した経営を行い、企業統治に優れた、持続的成長が期待できる企業を選別することによって、潜在的なリスクを排除し、長期的な収益確保を目指します。

『ESG投資』は、国連が責任投資原則(PRI)を提唱した2006年以降、欧米の機関投資家を中心に拡大し、今や世界の資産運用の主要テーマになっています。日本においても年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名した2015年以降、拡大してきました。

【ポイント2】日本でも拡大する『ESG投資』

 米国の金融商品の調査会社であるEPFRグローバルによると、ESG株式ファンドへは2019年以降資金流入が加速しており、2017年末からの累計額は2020年7月29日時点で1,500億ドル(約16兆円)を超えています。

 日本のESG株式ファンドに対する資金流入額も足元で急増しています。関連する投資信託が新たに設定されるなど、『ESG投資』は機関投資家だけでなく、個人にも広がってきました。

【今後の展開】コロナショックで注目される『ESG投資』

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、新たな生活様式が求められるなか、環境や社会に配慮しながら持続的に成長できる企業へ投資する 『ESG投資』が改めて注目されます。欧州を中心にコロナショック後の経済対策において、景気の回復を環境重視で進める「グリーン・リカバリー」の動きが出ていることや、在宅勤務の推進など社員の感染防止に優れ、働きやすい企業は、人材を確保し長期的な成長が期待できることなどが背景です。欧米に比べやや出遅れていた日本でも『ESG投資』は一段と拡大しそうです。