新型コロナで20年上期に減益見通し、新奥能源のみ増益達成へ

    中国のガス供給(都市ガス)銘柄の20年6月中間決算発表がまもなく幕を開けるが、BOCIは新型コロナウイルスに起因するガス管接続業務の縮小やガス販売量の低迷を受け、大半が減益決算になるとみている。一部銘柄に関しては利幅の改善が見込まれるとしながらも、大勢に影響はないとの見方。唯一の例外は新奥能源(02688)で、新規プロジェクトの増加や統合エネルギー(天然ガス以外のエネルギー)事業の高成長による増益決算が期待できるとした。一方、新型コロナ後の中国経済の復調を理由に、ガス需要はこの先回復に向かうと予想。ガス供給セクターの先行きに対し、強気見通しを継続している。

    国家発展改革委員会(NDRC)によると、中国国内の天然ガスの見掛け消費量は上期に前年同期比4%増。19年の前年比9.4%増から大きく減速した。ただ、これは新型コロナの感染拡大による都市封鎖や経済活動の停止が響いたため。1-3月(同1.6%増)を底に、すでに回復局面に入った。一方、BOCIは都市ガスセクターのカバー銘柄の大半について、20年上期の販売量が前年同期実績を下回ったとの見方。新規プロジェクトによる貢献の欠如をその理由に挙げている。また、感染拡大による旧正月休暇の延長で、3月後半まで作業の中断を余儀なくされたことから、多くの銘柄の新規ガス管接続業務が縮小したとみている。

    一方、上期の利益率は前年同期比で改善した可能性が高い。NDRCが川上の天然ガスサプライヤーに対し、2月22日から需要ピーク期の割増料金の上乗せを取り止めるよう指示したことが理由だ。例年より1カ月ほど早いタイミングで割増料金が消え、この措置は4-6月も続いた。1年前の19年上期には、都市ガス銘柄の多くが利益率の低下に直面したが、これは19年の閑散期に行われた都市ガスゲート価格(長距離ガスパイプラインの出口価格。川下の都市ガス各社にとっては仕入れ価格)の引き上げの後、コスト転嫁が遅れたことが原因だった。このほか、20年上期には人民元の対香港ドルレートが4.5%下落した影響で、香港ドル建てで決算発表を行っているガス銘柄に関しては、業績が実態以上に悪化する可能性があるという。

    BOCIは個別では、新奥能源について前年同期比7%の増収と、同じく7%の増益を見込む。新規プロジェクトの貢献によるガス販売量の5%の伸びや、1立方メートル当たり利益の改善(0.58元→0.61元)などが理由。半面、華潤燃気(01193)、昆侖能源(00135)、北京控股(00392)、タウンガス(01083)の4銘柄に関しては、順に同10.3%、10.8%、15.5%、19.8%の減益見通しを示した。また、華潤燃気の株価の先行きに対して中立見通しを示す半面、中国燃気(00384:決算期3月)を含む他5銘柄に対しては、いずれも強気見通しを付与している。