3月末に本決算を迎える「好配当利回り株」への注目が高くなっています。3月26日(木)までに投資すると、3月期末の配当金を受け取る権利が得られるからです。投資してすぐ配当金を受け取る権利が得られるのは「お得」と感じる投資家がたくさんいます。

ただ現実には、3月の配当を取るために、3月の権利付き売買最終日(3月26日)ぎりぎりに買うのが、得にならない場合もあります。今日は、それを説明します。

(1)26日(木)までに買えば、配当金を受け取る権利が確定する

 

3月期決算銘柄の権利付き売買最終日と権利落ち日

約定日 受渡日 配当を受け取る権利
3月26日(権利付き売買最終日) 3月31日 得られる
3月27日(権利落ち日) 4月1日 得られない

3月決算銘柄の期末配当を受け取る権利を得るには、3月26日(木)までに買わなければなりません。3月26日に買えば受渡日(株主になれる日)は3月31日です。3月末の株主に対して支払われる配当金を受け取る権利が確定します。ところが、3月27日に買うと、受渡日は4月1日になるので、3月期末の配当を受け取る権利は得られません。

3月26日(木)を権利付き売買最終日、27日(金)を権利落ち日といいます。

(2)好配当利回り株を、26日終値で買うのと、27日初値で買うのはどちらが「お得」か?

26日終値が出てから27日初値が出るまでに、株価を動かす新しいニュースはいろいろ出ます。ここでは、その間、株価を動かす新しいニュースはいっさい出ないことを前提とします。この場合、27日の初値は、権利落ち分だけ下がります。

たとえば、26日終値1,000円で買えば、予想配当金30円(3%)を受け取る権利が得られる株があったとします。その株の27日の初値(理論株価)は、970円になります

 

権利落ち前後の理論株価

  株価 予想配当金30円を受け取る権利
26日の終値 1,000円 あり
27日の初値 970円(理論株価) なし

26日終値1,000円で買うと、30円の配当金が得られますが、27日の初値(970円)で、30円の含み損を抱えることになります。一方、27日の初値で買えば、配当金は得られませんが、含み損を抱えることもありません。理論的には、どちらで買っても同じです。

(3)配当落ち後に、株価が大きく下がる銘柄に注意

好配当利回り株の中には、権利付き売買の最終日に向けて株価が大きく上昇し、権利落ち日に株価が大きく下落するものがあるので、要注意です。

(注:上記はあくまでもイメージです。楽天証券経済研究所が作成)

上記イメージ図で1,060円のところで投資すると、すぐに3月末の配当金30円を受け取る権利が確定しますが、配当落ち日に株価は1,010円まで下がってしまいます。30円の配当金を受け取る権利を確保すると同時に、50円の含み損を抱えますので、トータルでは20円損したことになります。

このように、配当取りの買いで、権利付き最終売買日に向けて株価が上昇している株は、あえて配当金をとらずに、配当落ち後に買った方が有利な場合があります。

(4)3月決算の予想配当利回りが高い銘柄で、実際の値動きを検証

それでは、今日以降、実際に存在する以下の5銘柄で、配当落ち前後の株価の動きを検証します。明日以降のレポートで継続的にフォローします。

 

 

3月決算で予想配当利回りが比較的高い銘柄

コード 銘柄名 24日株価:円 予想配当利回り
9759 NSD 1,832.0 4.3%
8031 三井物産 1,695.0 3.8%
7518 ネットワンシステムズ 842.0 3.6%
6932 遠藤照明 1,466.0 3.4%
8304 あおぞら銀行 444.0 3.3%

なお、この5銘柄は、配当取りのために今買うことを推奨しているものではありません。私は、このような配当利回りが高い株を、配当落ち直前に買うのは得策でないと考えています。私の考えが正しいかどうか、26日の終値と27日初値を比較して、検証します。