深刻なコロナ感染拡大、緊急事態宣言時と同じ状況?

「時を戻そう」…今をときめく第七世代のお笑いコンビ「ぺこぱ」のキラーフレーズですが、個人投資家も「あの時」をイメージして物色動向を考える必要が出てきています。

「あの時」とは新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、政府が4月16日~5月6日、特別措置法に基づく緊急事態宣言を全都道府県に拡大した時のことです。当時はゴールデンウイークの連休を念頭に、感染拡大を防ぐため旅行・行楽による人の移動を制限することを主眼とし、また、医療体制ひっ迫に備えて緊急事態宣言が出されていました。

 サマーホリデーシーズンを目前にした今も、当時と状況はほぼ同じです。東京都の新規感染者は高水準で推移し、大阪府、愛知県の大都市を擁する府県も同様です。沖縄県は独自に緊急事態宣言を出して感染拡大の防止に対応しています(三重県、岐阜県も同様)。

 いわゆる「夜の街」における感染拡大が深刻視され、東京都では、8月3日~8月31日まで、酒類を提供する飲食店やカラオケ店に対し営業時間を午後10時までとする短縮要請がされています。ただ、大手居酒屋チェーンなどでは午後10時に店を閉めるところが多い半面、深夜営業を続ける店もあり対応は割れています。

 加藤厚生労働大臣は、自治体ごとに自粛要請など独自の取り組みが行われているものの、感染拡大がさらに進む場合には、再び「緊急事態宣言」を出す可能性もあり得ると示唆しています。

 すでに「あの時」とそれほど変わらない状況と考えていいかもしれません。重症者や死者が少ないという「当時との違い」を指摘する向きもありますが、コロナ感染が収束に向かっているわけではないことは確かです。

 すでにコロナ感染第一波を経験していることから、株式市場では同様のショック安はないと思われますが、個別銘柄の動きは当時と同じ傾向が強まる可能性があります。

緊急事態宣言下、追い風となった銘柄を再確認

 緊急事態宣言下、「コロナ追い風業種」として株価上昇が目立った主な個別銘柄は以下です。

  • ドラッグストア
  • 衛生品メーカー
  • 食品スーパー
  • 通販関連
  • テレワーク関連

 さらに、業績リスクが小さいと思われる「5G(第5世代移動通信システム)などに絡む優良株」にも物色の矛先が向かいました。

 追い風銘柄は利益確定売りで一時的に安くなるとすぐに買いが入り、その堅調さが評価につながり、さらに投資資金を集め、軒並み高値を更新してきた経緯があります。中には、今もその動きを継続したままの銘柄もあります。

 以下は、コロナ警戒感が広がり、人々の感染防止への意識が強くなればなるほど株価が堅調になることが予想される銘柄の例です。

コード 銘柄名 株価(円)
3141 ウエルシアホールディングス 9,730
4574 大幸薬品 2,410
8289 Olympicグループ 1,039
4477 BASE 7,300
7518 ネットワンシステムズ 4,280
6754 アンリツ 2,515
※株価データは2020年8月5日終値ベース

ウエルシアホールディングス(3141・東証1部)

 ドラッグチェーン最大手級企業です。

・ウエルシアホールディングスの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

大幸薬品(4574・東証1部)

 消毒剤「クレベリン」のメーカーです。

・大幸薬品の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

Olympicグループ(8289・東証1部)

 首都圏地盤に食品スーパーや大型ホームセンターを出店しています。

・Olympicグループの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

BASE(4477・マザーズ)

 個人、小規模ECプラットフォームの「BASE」を運営しています。

・BASEの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ネットワンシステムズ(7518・東証1部)

 ネットワークシステム構築・機器販売に強み。売り上げの約3割はNTTグループ向け。

・ネットワンシステムズの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

アンリツ(6754・東証1部)

 携帯基地局に強みを持つ計測器メーカー。5G関連株とされています。

・アンリツの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

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