2020年の運用成績が厳しい、という個人投資家は多いようです。でも、その原因が分かれば、修正することも可能。だからこそ、まずは成績が伸びない理由を知ることからはじめましょう。

2020年の運用成績

 筆者は、個人投資家全体の運用成績の状況を知るため、「信用評価損益率」というものをチェックしています。

 これによると、今年初めが▲11%ほどだったのが、コロナ・ショックで▲31%まで下落しました。しかし、その後の反発で7月22日時点では▲17%まで戻っています。

 コロナ・ショックで持ち株を売らずに我慢して持ち続けた場合は、およそ6%のマイナスということです。ですが、もしコロナ・ショックの終盤で投げ売りして4月以降の反発に乗れなければ、▲30%とか▲50%の方もいると思います。

 このように、2020年は個人投資家にとってかなり厳しい年になったと言ってよいでしょう。

筆者の今年の運用成績は

 筆者の2020年の運用成績は、今のところ+30%ほどとなっています。これは、筆者自身が得意な相場環境であったことも大きいですが、やはり最も重要な点は「株価のトレンドにしっかり乗れた」からだと思っています。

 特に6月中旬以降は、株価が上昇する銘柄と下落する銘柄とが明確に分かれる二極化相場が進展しました。まるで2000年頃に起きたITバブルのとき、IT関連の一部銘柄だけ株価がぐんぐん上昇し、それ以外の銘柄は全く上昇しなかったことを思い出させる動きでした。

 おそらく多くの方が、6月初旬までは結構良い運用成績を残せたと思います。それは、ほぼ全ての銘柄が上昇したからです。

 ところが、6月中旬以降は二極化相場で株価が上昇する銘柄を見つけて上昇トレンドに乗って利益を伸ばす、ということをしなければ、厳しい運用成績を余儀なくされてしまいました。

 つまり、好調な運用成績をあげるためのポイントは「上がる株を見つけられたか」そして「利益を伸ばすことができたか」です。

上がる株を見つけ利益を伸ばすために

 ポイントは2点ありました。1点目は、二極化相場です。6月中旬以降、何でも上がる状況から、一部の強い銘柄だけに資金が集中して上昇を続けていて、それ以外の銘柄は値下がりするという状況に転じたことに気づく必要がありました。

 筆者が気づいた理由は、保有する「強くない銘柄」が次々と25日移動平均線を割り込んできたからです。一方、保有する「強い銘柄」は上昇を続けていたので、これは二極化相場に戻るな、と感じることができました。

 2点目は、伸びる銘柄を安易に売らないことです。強い銘柄に乗ることができても、少しの利益ですぐに下りてしまったら、運用成績を伸ばすことはできません。

 強い銘柄の中には、PER(株価収益率)が異様に高いものも数多くありました。それを「さすがに割高」と感じて少しの利益で売ってしまっては、その後の大きな上昇を取ることができなかったのです。

 筆者はこの点、いくら割高だろうがバブルだろうが、25日移動平均線を上回って上昇トレンドが続く限りは保有を続けていたので、利益を伸ばすことができました。

自分には手が合わないと思ったら無理しないことも重要

「高い運用成績が出せているのは、株式投資がうまいからだ」と思う方もいると思いますが、決してそんなことはありません。筆者が高い運用成績を出せている大きな理由は、「筆者の投資手法とマーケットの動きとがうまくはまった」からです。

 筆者と異なる投資手法をされている方の中には、全く手が合わない相場環境に感じた方も多かったのではないでしょうか。

 実はそういう「手が合わない」状態のとき、無理に投資手法を変えて相場環境に合わせようとすると、逆にうまくいかないことが多いです。やはり、慣れないことはするべきではありません。

 例えば、筆者にとって2018年は、かなり厳しい年でした。2018年1・2月ごろに、筆者が主力投資先としている成長株が軒並み天井をつけ、下げに転じてしまったからです。

 そのとき筆者は、成長株以外の例えば割安株に積極的にシフトしようとは思いませんでした。なぜなら、筆者が得意とするのは成長株であり、それ以外の株に手を出すとうまくいかないと強く感じていたからです。

バフェットでも運用成績がさえない時期があった

 こんなときは、「成長株が上昇しないのは仕方ない」と諦め、じっとしていました。無理やいつもと違うことをして余計な損失を作ることだけは避けようと思っていました。

 あの相場の神様ウォーレン・バフェットも、ITバブルのときは自らが投資している銘柄が全く上がらず、「バフェットも潮時だな」と言われたりもしました。しかしその後の運用成績をみれば、一時的にパフォーマンスが悪化する時期はあったものの、長い目で見れば全然問題なかったことが良く分かります。

 自分の投資手法と手が合わないために運用成績が伸び悩んでいるのであれば、下手に軌道修正しようとせず、手が合う相場環境になるまで無理をせず待つ方が、結果的にうまくいくように思います。

 ただ、いつまでたっても運用成績が伸びないという場合は、根本的に正しいやり方ができていない可能性が高いので、速やかに改善すべきです。