信用取引は誰でもできない?
前回までのあらすじ
タケル ボクは26歳の営業マン。会社を作って、尊敬するティム・クックみたいな大富豪になりたい! どんな会社が稼げるかウオッチする目的と、起業資金を増やすために株式投資をはじめて3年。だけど今、持っている株式のほとんどが売り時を逃して、下がりっぱなし。伸びそうなR株を見つけたのに、資金があと少し足りない……。
――こんな悩みを抱えたタケルは、信用取引を指南するというドーシタ師範に誘われ、「信用取引はじめて道場」に通うことになった。そしていよいよ信用取引の実践を学ぶことに…。
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タケル ドーシタ師範、いよいよ信用取引の実践編ですね。ワクワクするな~。まずは銘柄を探すんですか? ボク、さっそく売り建て取引をやってみたいので、下落しそうな銘柄を選んで、準備してきました。株が下がることを喜ぶなんて、不思議ですが。
ドーシタ師範 準備といえば、信用取引の口座は開設しているか?
タケル 信用取引の口座? ネット証券で口座を開設して、株式取引はしていますよ。
ドーシタ師範 信用取引をするには、基本の総合取引口座を持っている他に、信用取引専用の口座を開かなければならない。
タケル 信用取引専用? 専用の口座開設が必要とは知らなかった。
ドーシタ師範 以前も言ったが、信用取引をするには、相応の知識と経験が必要なのだ。信用取引は現物取引よりリスクが高い。そこで証券会社ではお客を守るため、取引に応じた審査をしている。この審査をクリアした者だけが、信用取引をすることができるのだ。4つ目の虎の巻を授けよう。
ドーシタ師範 ちなみに楽天証券を例にすると、次のような基準をクリアしなければならない。
☑総合取引口座または法人口座を開設している
☑インターネットを利用できる環境にある
☑自分のメールアドレスを持っている
☑登録済みの電話番号にいつでも連絡をとることができる
☑今まで、信用取引か、一定の現物株式取引の投資経験がある
☑金融資産が100万円以上ある
☑年齢が80歳未満である
タケル ボクはクリアしています。では早速開設を申し込みしてみます。
信用取引シミュレーションなら誰でもできる!
ドーシタ師範 信用取引口座開設の審査が終われば、連絡がくる。申し込みから数日だが、これを待つ間に、信用取引の注文の出し方を予習してみるか。楽天証券には、信用取引初心者にうってつけのツール「信用シミュレーション」がある。実際の取引は、ウェブサイトやアプリでできるが、それぞれ画面表示が異なるから、「信用シミュレーション」では取引の流れを眺める程度でもいいから、一度試してみるといい。
(1)ログイン後のPCウェブ画面で[国内株式]をクリック
(2)[詳細はこちら]をクリック
(3)[振替入金額]に最低保証金額[300,000]円以上を入力し、[銘柄を選択]をクリック
(4)開いたポップアップ画面で銘柄を選ぶ
ドーシタ師範 どうだ。シミュレーションではあるが、『[1]建玉合計』を見ると、信用取引が成立したことが分かる。「建玉(たてぎょく)」を現物取引に当てはめて言えば持っている株のことで、信用取引では資金や株を借りた取引分があることを指す。取引が一巡していない未決済分がある状態なのだ。虎の巻1で教えたが「信用取引の株式は永遠に持っていることはできず、決められた期日までに取引を一巡させることがルール」。信用取引は、例えるなら箱根駅伝のように必ず往復がセットだ。未決済分があるということは「復路」が残っている状態だ。
信用取引は箱根駅伝のようなもの?
タケル な、なるほど。
ドーシタ師範 信用取引は独特の用語が飛び交うから、あせらず覚えていけばいい。また、信用取引をスタートすることを「新規建て(しんきだて)」または「新規注文」という。新規建ては「往路」の取引だ。「復路」の取引は「返済注文」という。証券会社から借りた資金や株式を返す意味を表す言葉だな。
信用取引の一巡の流れ
タケル 株価はリアルだし、たくさん注文しようかな。
ドーシタ師範 もちろん、資金に余裕があれば注文はたくさんしてもいい。しかし、虎の巻1でも教えたが、「復路」の返済注文取引は期限がある。この管理がおろそかにならないように。あらかじめ決められた期日の前営業日までに未決済分の建玉の返済注文取引を終えなかった場合、自動的に、証券会社によって決済されることになる。
タケル わかりました。駅伝で言えば、足切りですね。
ドーシタ師範 ところで、信用取引で一番注意しなければならないのが、『[4]保証金率』だ。
タケル 『296.00%』と表示されています。
ドーシタ師範 とても重要なので、次回説明しよう。
――【5の巻】へ続く
信用取引はじめて道場
この連載では、信用取引をスタートするために必要な準備と、株式の売買一巡するために求められる知識とテクニックを身につけてもらうことを目的にしています。
「信用取引は難しくて、よく分からない」という人にもできるだけやさしく、信用取引のメリットとデメリット、そして手数料などのコスト、さらには特有の言葉遣いの解説をします。現物取引はしているけれど、信用取引はやったことがない人が自分で銘柄を選び、取引一巡するまでをナビゲートします。
そして、信用取引が力を発揮するのはどんな局面なのか、上手な信用取引の仕方などの技を主人公とともに学び、株式取引のレベルアップをしていきましょう。
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