主力のガス販売事業の見通し良好、新たな成長エンジンの存在も強み

現地コード 銘柄名
02688

新奧能源控股

(ENNエナジー)

株価 情報種類

90.80HKD
(7/15現在)

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 中国の天然ガス需要は新型コロナウイルス流行のあおりで年初からやや低調だが、BOCIは新規プロジェクトの貢献を理由に、新奥能源の販売伸び率が業界平均を上回るとみている。また、浙江省の規制緩和や天然ガス調達コストの低減が利益率の改善につながると予想。さらに、非中核事業の付加価値サービスおよび統合エネルギービジネスがさらなる成長エンジンとなるとの見方も示した。同社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 国家発展改革委員会(NDRC)によると、中国国内の天然ガスの見掛け消費量は5月に前年同月比9.1%増、1-5月では前年同期比4.1%増。BOCIは1-6月の伸びもほぼこの水準に落ち着くとみている。ただ、新奥能源に関しては新規プロジェクトの寄与で、国内平均を上回る伸びを達成するとの見方だ。同社は19年に、新たに都市ガス・プロジェクト30件を取得し、保有プロジェクト数を217件に増やした。20年の天然ガス小売販売目標は前年比5%増だが、BOCIはこの数字は達成可能とみている。

 20年の需要閑散期には、パイプライン経由の川上のガス供給価格が少なくとも前年同期比6%下落する見通しとなっている。エンドユーザーの負担軽減を目指す当局の方針を受け、石油メジャーのペトロチャイナ(00857)を筆頭とする川上サプライヤーが2月下旬以降、需要期の割増料金の上乗せを見送っていることが理由。その期限は6月末までとされたが、メディア報道によれば、実際には10月末まで続く可能性が高い。また、より安価な輸入LNGに対抗するため、一部では調達上乗せ分について値下げも行われているという。これに加え、浙江省が川上サプライヤーと川下のガス販売会社との直接取引を認めたことも川下部門にプラス(通常は省当局が仲介)。直接取引枠の20年の上限は30億立方メートルで、同社はうち7億-8億立方メートル分の割り当てを獲得した。こうした要因はすべて、調達費の軽減と利益率改善を後押しする要因となる。

 一方、統合エネルギー(天然ガス以外のエネルギー)部門はプロジェクト稼働件数の増加を背景に急成長を遂げており、部門売上高は20年に前年同期の2.2倍に当たる60億元に達する見込み。また、製品・サービスの多様化に伴い、付加価値サービス部門の売上高も同50%増の30億元に上る見通しという。同社の省エネサービスやガス関連製品のメンテナンスサービスは工業・商業顧客から高評価を得ている。

 BOCIは20年以降の成長加速見通しや同業他社と比べたガス管接続収入への依存度の低さを前向きに評価。同社の目標算出基準を20年予想PER(株価収益率)14倍から17倍に引き上げ、目標株価を上方修正した。新たな目標株価のバリュエーションはPEGレシオで1倍に相当する。一方、レーティング見直しにつながる潜在リスク要因として、天然ガス販売量の予想下振れや予想を下回る統合エネルギー・付加価値サービス事業の成長を挙げた。