コロナ・ショック後に上場来高値を更新した数々の銘柄。それらは総じて高PER(株価収益率)です。果たして新たに投資しても大丈夫なのでしょうか?

コロナ・ショックでも高値更新銘柄

 今年2~3月の「コロナ・ショック」後の反発。日経平均株価もかなり戻しましたが、個別銘柄をみると、上場来高値を更新する銘柄が相次ぎました。

 例えば次のような銘柄が、コロナ・ショック後に上場来高値を更新しています。

神戸物産(3038)
GMOクラウド(3788)
エムスリー(2413)
日本M&Aセンター(2127)
HENNGE(4475)
オプティム(3694)
メドレー(4480)
マクアケ(4479)

成長株は概して高PERだが…

 成長株は概してPERが高い傾向があります。なぜなら、将来の成長性を考慮すれば、現時点での利益で計算したPERが高くとも、将来予想される利益で計算したPERが高くなければ投資に値すると考えるからです。

 例えば、PER60倍の銘柄であれば、投資家が5年後に利益が今の3倍になると考えているならば、5年後の利益で計算したPERは60倍÷3=20倍になります。それならば買うことができる、となるわけです。

 上記の銘柄でいえば、7月17日時点の株価で計算すると(以下も同様)神戸物産は52.7倍、GMOクラウドは71.6倍になっています。

 確かにPERは高いですが、業績が今後も伸び続けるという前提で考えれば、それほど不自然な数値ではないと筆者は感じます。ただ、適正数値かと言われると分からないというのが正直なところです。

PERが100倍を大きく超える銘柄は成長株なのか?

 他方、上記で挙げた銘柄のうち、マクアケのPERは261.6倍、メドレーは303.3倍、オプティムは362.6倍、HENNGEは497.3倍と驚異的な数値になっています。

 成長著しい銘柄であれば時折100倍を超えるようなものも見受けられますが、さすがにPERが300倍、400倍にもなると成長株としての評価とは言えない状況です。

 このように、PERが異様に高い銘柄は、確かに今後の業績の向上という切り口で買われる側面はあるものの、将来の大化けという期待が先行した「テーマ株」という位置づけでとらえた方がいいでしょう。

 なお、今期に限っていえば、上記のうちエムスリーや日本M&Aセンターは今期の業績予想を発表していないため、PERを計算することができません。この場合は、前期の実績値や、会社四季報の予想数値などを参考にすることになります。

高PER株の注意点

 こうした高PER株に対しては、株価がいつ天井をつけて急落してもいいという覚悟をもって投資することを心掛けましょう。

 特にPERが異常に高いテーマ株については、例えば決算発表をきっかけにして、株価が急落するということも見受けられます。そこで、決算発表直前の新規買いは控えたり、1つの銘柄に投資資金を集中させないようにするなどして、可能な限りリスクを軽減・分散させるのが無難です。

 成長株についてもやはり将来の成長期待から高いPERがついているわけですから、決算発表の数値次第では株価が大きく変動することは留意すべきです。

 個人的には、「高PERだから買えない、危険」とは思いません。実際、筆者自身も高PER株に対して普通に投資しています。でも、高PER株は何かのきっかけにより株価が急落する可能性が他の銘柄より高いので、売却や損切りのルールはしっかりと決めておくべきだと思います。

 売るべき時に売らずに我慢して持ち続けると、多額の含み損を抱えた塩漬け株になってしまう危険性が高いと認識しつつ、投資するようにしてください。