日経平均株価は持ち合いの動きが続く一方、個別銘柄の値動きはバラバラです。局地的なバブルの様相をみせるなか、個人投資家はここからどう立ち回ればよいのでしょうか。
日経平均株価は25日移動平均線がらみの動きが続く
世界中で再び新型コロナウイルスの感染が拡大していますが、株式マーケットはおおむね堅調です。
日経平均株価は1万6,500円割れの安値から2万3,000円超えまで一気に反発した後、1カ月ほどもみ合いの動きとなっています。
マザーズ指数に至っては、コロナ・ショック前の水準を超え、2019年の高値までも突破したあと、高値圏でのもみ合いです。
ただ、個別銘柄をみると、新型コロナウイルスが業績に悪影響を及ぼす銘柄を中心に、下降トレンドの弱い値動きが続いています。
コロナ・ショック前の水準どころか上場来高値を更新する銘柄も
一部の銘柄は上昇トレンドを続け、非常に強い値動きとなっています。
その多くは、新型コロナウイルスの影響を受けないか、逆に業績にプラスに作用する成長株、もしくは新型コロナウイルス関連のテーマ株です。
例えば、次のような銘柄はコロナ・ショック前の水準をはるかに超え、上場来高値を更新するまで上昇しています。
ITバブル時のような「局地的バブル」の可能性
この動きは、日本株だけではなく、米国株においても顕著です。ナスダック総合指数は1万ポイントを超え、史上最高値を更新しています。それをけん引するのが米国を代表するIT企業4社(Google(現アルファベット)・Apple・Facebook・Amazon)のいわゆる「GAFA」。特にアマゾン・ドット・コムはコロナ・ショック前の水準をはるかに上回る驚異的な上昇となっています。
バブル相場にもいろいろありますが、大きく分けると「全体的バブル」と「局地的バブル」の2つがあります。
「全体的バブル」とは、ほとんどすべての銘柄の株価が上昇するもので、まさに株さえ持っていれば恩恵を受けることができます。日本では2005年や2013年前半がそれに当てはまります。
もう1つの「局地的バブル」とは、一部の銘柄のみが大きく上昇するものの、それ以外の銘柄は上昇せず、逆に下落してしまうというものです。典型例が2000年前後のITバブルです。
最近の国内外の株価の動向をみていると、どうも現状はITバブルのような「局地的バブル」が生じているように感じます。
現に、下降トレンドの弱い銘柄が多数を占める中、上で挙げた銘柄に加え、ITバブル時に大きく上昇した銘柄が、今も強く買われているという事実があるのです。例えば日本オラクル(4716)、伊藤忠テクノソリューションズ(4739)などです。
バブルに乗るか・乗らないかの判断が求められる
私たち個人投資家としては、この「局地的バブル」に乗るのか乗らないのかの判断が求められていると思います。
上場来高値を更新する強い銘柄に、ある程度乗れていれば、上昇トレンドが続く限り保有を継続して利益を伸ばしていくのが得策です。バブルであるならば、できるだけ長く引っ張ることで大きな利益を得ることができるからです。
株価が上昇を続ける強い銘柄に乗ることができていないなら、今から「乗る」「乗らない」の判断が求められます。
強い銘柄はすでにかなり株価が上昇していて、割高なものが多いのが実態です。一方、バブルがまだ継続してさらに株価が大きく上昇する可能性もあります。
「乗る」のだとしたら多額の損失を出さないよう徹底したリスク管理が求められ、「乗らない」のなら今後バブルが継続したとしてもあきらめる覚悟が求められます。
できるだけリスクを抑えるための銘柄選びや売買タイミングは
バブルにこれから「乗る」ならば、リスクを抑えるために次のようなことに注意すべきと筆者は考えます。
まず、強い銘柄の中には増収増益が続いていて業績の裏付けがあるものもあれば、テーマ株として期待感先行で株価が上昇し、PER(株価収益率)などでは説明のつかない水準にまで達しているものもあります。
そしてバブル崩壊となったときにより大きく下落するのは後者の方です。したがって、しっかりと業績を把握し、好業績が続いている銘柄から選択するのがよいと思います。
また、3月決算企業であればこれから第1四半期決算が発表されます。この第1四半期決算は、新型コロナウイルスが各企業の業績にどの程度影響があったのかを示すとても重要なものになります。
もし好業績期待で株価が上昇していた銘柄が、第1四半期決算の結果が悪かったとなれば、失望売りで株価が急落する可能性もあります。
したがって、決算発表の直前に買うことはかなりリスクが高いと感じます。
あとは、投資可能資金の大部分を使って買うのではなく、例えば4分の1とか3分の1程度に抑えておけば、もし株価が天井をつけて下落に転じたとしても、致命的なダメージは回避できます。
バブル相場は大きな利益と大きな損失が紙一重です。だからこそ、リスク管理と撤退ルールの設定をしっかりと行ったうえで、マーケットに取り組むようにしてください。
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