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理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター(スパコン)『富岳』は、今年6月に2011年の「京」以来となる計算速度1位など世界ランキングで「4冠」を獲得する快挙を達成しました。また前回の「京」の教訓を生かして、『富岳』は使いやすさが大きく改善された模様です。スパコンは産業競争力や安全保障なども左右するため、米国や中国などで激しい開発競争が繰り広げられています。
【ポイント1】『富岳』が4部門で世界一に
スパコンはその時代の一般的なコンピューターでは解くことが困難な大規模で高度な科学技術計算を高速に行うことができ、主に研究機関や企業などで使われています。
『富岳』は、高速コンピューターに関する国際専門家会議が今年6月に発表したランキングの最新版で、計算速度のほか、実際のシミュレーションやAIの計算性能を測る指標など、計4部門で首位となりました。計算速度は2位の米IBMの「Summit(サミット)」に2倍以上の差をつけています。
【ポイント2】使いやすさを重視
前回首位をとった「京」はCPU(中央演算処理装置)や基本ソフト(OS)の仕様から「使い勝手が悪い」との声が聞かれました。『富岳』はこの反省を生かし、使いやすさや多様なアプリケーションに対応できることなどを重視して開発されました。
富士通が設計・開発した高性能の専用のCPUを15万個以上そろえ、使いやすさに加えて、効率よく通信するネットワークで結んで最適に制御して大量の計算を瞬時にできるようにしました。
『富岳』が最初に取り組んだテーマが、新型コロナウイルス対策であり、どうやったら感染が防げるかといったシミュレーションを行いました。また京都大学では、『富岳』を用い、新型コロナウイルスの治療薬の候補となる物質を数十種類発見したと発表しました。
【今後の展開】『富岳』の活用により産業競争力などの底上げを期待
『富岳』は2011年に首位だった「京」が1年かかる計算を数日でできる計算能力をもちます。『富岳』が取り組んだ使いやすさの改善により、期待される用途先は創薬や遺伝子分析、地震や気候変動など多岐にわたります。海外に対して優位性のあるスパコン『富岳』を最大限活用して、産業競争力の向上や防災機能の底上げなどにつなげていくことが期待されます。
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