今週の予想

今週は、2万2,200~2万2,700円のレンジの上限を試す展開へ

 今週も先週の流れである新型コロナウイルス感染者数増加への懸念と、経済正常化による経済回復期待から、日経平均株価は2万2,200~2万2,700円のレンジの中で、上値を試す動きが想定されます。

 先週、ETF(上場投資信託)の分配金支払いのための換金売りが終わり、ETFが正常化するため、買いが入って日経平均の下値を支えることになります。

 一方、日経平均の上値は、米国市場で今週発表される、金融関連株の決算が最悪と予想されており、予想より決算がよければ株価の上昇要因となり、日本株のサポート要因に。また、米金融株が上昇すれば日本の銀行株にもプラス要因となって、TOPIX(東証株価指数)が買い直されることになります。日経平均は2万2,200~2万2,700円の上値のレンジ(7月7日の2万2,742円)を上に抜いても、2万3,000円水準からは上値のフシがあり上値は重くなります。

 今週の警戒される悪材料は、東京の新型コロナウイルス感染者数がさらに増加すると、緊急事態宣言の可能性が再燃し、上値は重くなります。一方でワクチン開発に進展があれば買い材料となります。米国の経済指標も今のところ予想を上回っているものが多く、株価の上昇要因となっています。日経平均は、レンジの上限でもみ合いながら上値を試すという展開になるかもしれません。

 13日の日経平均は、先週末の米国株高を受け+301円で寄り付き、徐々に上げ幅を拡大し、前場は+386円でした。後場になると時間外の米株先物が引き続いて上昇が続き、上海株式の上昇も支えとなって、日経平均は+493円の2万2,784円と高値引けとなりました。国内に好材料があるというわけでもなく、ETFの分配金支払いに伴う換金売りも終わったことで需給面での重しがなくなっていることが一つの要因です。

今週の指標:日経平均株価

 先週、チャートでは売り型から短期の買い型が出ています。

 今週の日経平均は、東京の新型コロナウイルス感染者数の増加がカギを握りますが、戻りを試す場面は米株高と感染者の減少がポイントで、その場合は先週のコメントで書いたように、6月9日の2万3,185円に対する二番天井を目指すことになります。

 一方で感染者の増加が続けば2万2,000~2万2,700円の中でのもみ合いが続くことになります。ただし、米国は金融株の決算が始まり、最悪の決算が予想されていますが、結果的に予想を上回れば金融株が上昇し、そしてNYダウ平均株価の上昇、さらに日本の銀行株上昇となって、レンジを上に抜けることも考えられます。しかし2万3,000円水準から上はフシとなっており、上値は重いと思われます。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週は決算シーズンに入り、銀行の決算に注目が集まることになります。第2四半期の銀行決算は最悪の結果が想定されており、予想よりも悪化していれば、相場は下落の方へ、逆に予想ほど悪くなければ反発ということも考えられます。ただし最悪となっても、今回の危機は金融に端を発したものではないため、回復は早いと思われます。また、新型コロナウイルスのワクチン開発に好材料が出ればサポート要因になりますが、NYダウの2万7,000ドル水準は上値が重いところです。

今週の指標:ドル/円

 今週のドル/円は、米国で新型コロナウイルスの感染拡大が強まれば、安全逃避のドル買いが想定されます。現時点では、新型コロナウイルスの感染拡大で都市封鎖などの強力な経済制限措置が導入される可能性は低いため、ドルが大きく売られるようなことはありませんが、一方で米国の経済指標が改善すれば基本的にドル買い材料となるため、ドルは底堅い動きとなりそうです。1ドル=106~108円のレンジを想定。

先週の結果

先週初めは大きく上昇。その後は上値重く、前週比▲15円の2万2,290円で引ける

 先週は、週初めに大きく下げたことで戻りを試すことになるものの、戻りを試し終わった後は、感染拡大に要注意としました。そして、前週に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大増加懸念と経済正常化からの景気回復期待が入り交じり、2万2,000~2万2,700円の中でのもみ合いを想定しました。

 結果的に、米国のナスダック総合指数が史上最高値を更新していることで、日経平均は値がさハイテク株を中心に買われ、一部に連動する指数が買われて、高値は2万2,742円に。4日連続で200人を超える東京都の感染拡大を嫌気し、週末の終値は2万2,285円まで下げて2万2,290円でした。

7月6日(月):日経平均は+34円の2万2,341円で寄り付いた後、時間外での米株先物の上昇と円安が支えとなり、先物の買いを交えて上げ幅を拡大。前場は一時+353円の2万2,659円まで上昇しました。後場になると上海株式やハンセン株の上昇がサポートし、一時+427円の2万2,734円まで上げ幅を拡大。終値は+407円の2万2,714円と大幅に3日続伸し、全33業種全てが上昇しました。 

7日(火):前日の米国市場はNYダウが+459ドル高、ナスダックは連日の最高値更新となっていましたが、日経平均はすでに前日に織り込んで上昇しており、▲64円の2万2,649円で寄り付きました。その後、一時▲174円の2万2,540円まで下げ、終値は▲99円の2万2,614円と4日ぶりの反落となりました。 

8日(水):新型コロナウイルス感染拡大が続いていることを嫌気し、前日の米国市場でNYダウが▲396ドル、ナスダック総合指数、S&P500種株価指数も6日ぶりの反落。これに日経平均も連動し、売り先行に。後場になると先物に断続的な売りが出て、下げ幅を拡大する展開となりました。TOPIXは200日移動平均線と25日移動平均線を下回ったままでしたが、この日は日経平均も再び25日移動平均線を割り込んできました。ETFの換金売りも出て上値は重い展開が続いています。 

9日(木):前日の米国市場が主要3指標そろって反発。ナスダックが最高値を更新したことで、日経平均はハイテク株やファミリーマートのストップ高もあり、日経平均は堅調な動きで+90円と3日ぶりの反発となりました。しかし、これは相変わらず指数だけの上昇であり、値下がり銘柄数は1,496銘柄、値上がり銘柄数は594銘柄となっていました。この日は東京都の感染者数が220人以上となって、手仕舞い売りを誘いました。 

10日(金):前日の米国市場は、NYダウ▲361ドル、ナスダック+55ポイントと最高値更新とマチマチの動きとなったことで、日経平均も+5円で寄り付いて方向感のない展開に。前引けは▲52円の2万2,476円でしたが、後場になると株価先物に断続的に売りが出て一段安となりました。そして、昨日に続き東京都の新型コロナウイルス感染者が240人を超えたことで、大引け間際に▲244円の2万2,285円まで下落し、終値は▲238円の2万2,290円となりました。為替も株価が下がるとリスク回避の円買いとなって1ドル=106円台後半の円高となっていました。

 東京市場引け後の米国市場は、新型コロナウイルス感染拡大は続いているものの、治療薬やワクチン開発への期待が高まりました。景気敏感株中心に買われ、NYダウは+369ドルの2万6,075ドル、ナスダック+69ポイントの1万617ポイントと最高値更新、S&P500は+32ポイントの3,185ポイントと全面高に。為替は6月生産者物価指数が予想を下回ったことで、低金利の長期化の思惑からドルが売られ、円は一時1ドル=106.65円の円高となりました。しかし、シカゴの日経先物は+310円の2万2,600円となっていました。