緊急事態宣言の解除後再び増加してきた新型コロナウイルス感染確認者数。早くも第2波到来か? と指摘する人もいる中、個人投資家は波乱のマーケットでどのように乗り切ればよいのでしょうか。

感染確認者数が再び明らかに増加している

 新型コロナウイルスの感染確認者数の拡大が顕著になってきました。7月4日時点で東京都の感染確認者は3日連続で100人を超えるなど、一時の小康状態から再び明らかな増加をみせています。

 気温や湿度が高い中では感染拡大は抑えられるとの専門家の見解もありましたが、今のところは残念ながらそうはなっていないようです。

 また、国によりだいぶ状況は異なるものの、全世界的にもまだまだ感染拡大は続いています。感染確認者数は1,000万人を超え、死亡者数も50万人超となっています。

マーケットのこれまでの反応はどうだったか?

 マーケットのこれまでの動きは、2月から3月中旬にかけては、新型コロナウイルスの恐怖やそれによる経済停滞のダメージを嫌気して、過去になかなか例を見ないほどの急激な下げに見舞われました。

 しかし底打ち後は、世界各国の異次元の金融緩和策が功を奏し、新型コロナウイルスが収まるどころか感染拡大が続く中、株価だけはスルスルと上昇。米国ではナスダックが史上最高値を更新、日本でもマザーズ指数は今年の高値だけでなく2019年の高値さえ更新しました。

 ただ、多くの投資家は、コロナウイルスの影響が日に日に拡大していること、実体経済はボロボロであることなどを目の当たりにし、当然二番底が到来すると思っていました。そのため、今回の株価急反発に上手に乗れた人はかなり少なかったのではないかと考えられます。

アフターコロナはまだまだ先?ウィズコロナ時代の株式投資

 ここまでの状況を踏まえて、今後個人投資家はどのように株式投資を続けていけばよいのでしょうか?

 ここまでの日本株の動きを簡単にまとめると、3月中旬の底打ち以降、6月初めまではコロナウイルスの影響を受けない中小型成長株やコロナ恩恵銘柄、コロナで業績に悪影響を受ける銘柄も含め、ほぼ全ての銘柄が反発していました。

 しかし、それ以降は、業績の悪化が見込まれるコロナ悪影響銘柄は軒並み下落へ一転。3月中旬の安値すら割り込む銘柄もあります。

 つまり、6月初旬までは「アフターコロナ」を織り込んで動いていたマーケットが、その後、アフターコロナはまだ先で、「ウィズコロナ」を前提とした考え方に改めた動きになっていると筆者は感じています。

 とすれば、業績の回復がなかなか見込めない銘柄は投資対象の中心からは外し、上昇トレンドが続いている中小型成長株やコロナ恩恵銘柄を中心に据えていくのが良いのではないか、と今のところは考えています。

先行きを決めつけない!株価のトレンドが個人投資家の水先案内人

 私たち個人投資家が注意しなければならないのが「将来の決めつけ」です。

 今後考えられるのが、例えば国内で新型コロナウイルスがまん延し、感染確認者数が今までと比べものにならないほど増加したような場合です。こうなると、日本経済にもさらなる悪影響を及ぼすため、通常の思考であれば「株価など上がるはずはない」と思ってしまいがちです。

 しかし、3月中旬以降の株価の動きから、もはや足元の経済状況と株価は連動しなくなったと気づくべきです。

 もし、世界各国の異次元の金融緩和の効果より、新型コロナウイルスによる国内外の経済への影響の方がはるかに大きい、と市場参加者の多くが感じたなら、日本株も大きく値下がりすることになるでしょう。

 でもそうなるかどうかは、実際にそのときになってみないと分かりません。

 とするならば、今は株式への投資を控えて二番底到来を待って投資しよう、という考えはあまり得策ではないと思います。ここから上に行くか、下に行くか、あらかじめ正確に予測することなどできません。

 そこで、上昇トレンドの銘柄は保有を続け、下降トレンドの銘柄は保有しないようにすれば、もし上に行った場合は株価上昇の恩恵を受けることができますし、下に行った場合は速やかに売却することで損失を防ぐことができます。

 将来を決めつけると、それが外れたときのダメージが大きくなります。新型コロナウイルスの影響が今後どれだけ拡大するのかを今から正確に予測することなどできませんし、ましてや足元の景気悪化による経済への悪影響と金融緩和による株価上昇圧力のどちらが勝るかなど、予測するだけ無駄なように感じます。

 将来を決めつけて行動することをやめ、株価のトレンドという水先案内人に従って行動することで、結果として利益に結びつき、大きな損失を回避することにつながるはずです。