ブレイクラインの中に三角もちあいを形成。上下どちらの意識が強い?

 7月相場入りとなった先週末7月3日(金)の日経平均は2万2,306円で取引を終えました。前週末終値(2万2,512円)からは206円安、週足ベースで3週ぶりの下落となりました。

 まずは早速、足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年7月3日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均ですが、週初の29日(月)に2万2,000円台割れとなったものの、翌30日(火)に持ち直し、その後は週末まで方向感が出ないまま、2万2,000円台でのもみあいが続きました。

 前回のレポートでは、「そろそろ株価が動き出す可能性」について指摘し、上下の「ブレイクライン」に注目しましたが、先週も日柄調整の日々を過ごし、25日と200日移動平均線の狭い範囲内での推移となりました。

 その結果として、ロシア人形のマトリョーシカのように、ブレイクラインの中に「三角もちあい」が形成される格好となっています。その三角もちあいについては先端がかなり細っているため、今週の取引で上下のどちらかに抜けそうですが、どちらにしても、上方向は25日移動平均線、下方向は200日移動平均線をトライし、そして、ブレイクラインまでの動きと勢いが出てくるかが今週の焦点になります。

 では、上方向と下方向のどちらの意識が強いかと言えば、現時点では下方向がやや優勢です。その理由としては、上値のブレイクラインを超えても、これまでにも紹介した2万3,000~2万4,000円台の「抵抗帯」が控えている他、三角もちあいの形状です。

■(図2)「三角もちあい」について

 

 上の図2は三角もちあいの主なパターンです。左側のパターンでは、もちあいの上放れが、そのまま直近高値超えとなるため、上昇に弾みがつくことが多いのですが、右側のパターンでは上放れても、もちあい形成時の上値が切り下がっているため、直近の戻り高値のハードルを次々と超えていく必要があり、左側のパターンと比べるとやや弱い形になります。足元で形成されている三角もちあいは右側のパターンになります。

 先ほどの抵抗帯による上値余地の意識もあるため、相場のムードを強気にさせる材料が出てこない限り、上放れたとしても、いったん2万3,000円付近での利益確定が無難かもしれません。

中長期トレンドも勢いに陰り?

 次に、週足チャートで中長期のトレンドの勢いについても見ていきます。

■(図3)日経平均(週足)とMACDの動き(2020年7月3日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 週足チャートの日経平均では、13週移動平均線がやや角度が急な上昇、52週移動平均線も緩やかな右肩上がりなのに対し、26週移動平均線が下向きと長短の方向感が入り乱れている状況です。

 また、下段のMACDは3月下旬にマイナス1,600円辺りで切り返し、その後も順調に0円ラインも上抜けるなど順調に戻り基調を描いてきました。足元でもMACDは上向きが続いていますが、MACDとシグナルの価格差を棒グラフで表したヒストグラムを見ると、やや減少傾向となっています。トレンドに勢いがあるときは、MACDが先行して動くため、シグナルとの乖離(かいり)が進んでいくのですが、最近は勢いに陰りが見えつつあるのかもしれません。

米国株市場は上値が重い

 続いて、米株市場についても見ていきます。

■(図4)米NYダウ(日足)の動き(2020年7月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の米株市場は、週末が休場のため4日間の取引でしたが、NYダウは前週末終値比で約3.2%の上昇を見せました。ただし、終値ベースでは25日と200日移動平均線を抜け切れておらず、上値の重たさも見せています。

 そのため、米株市場が強さを取り戻せるかも注目されます。今週の米国は経済指標等のイベントが少なめとなっていますが、最近の米株市場は、指標の結果が良ければ素直に好感、悪ければ政策対応期待といった具合に、「いいとこ取り」の反応で株価水準を保っていた面があるだけに、イベントの少なさによって、相場の視点が香港情勢などの政治面に向かってしまうと値動きが荒くなってしまうことも考えられます。

国内新興株市場のムード悪化に注意

 最後に、話を再び国内に戻して、新興株市場の状況も確認します。

■(図5)マザーズ指数(日足)とMACDの動き(2020年7月3日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図5はマザーズ指数の日足チャートとMACDの動きです。

 先週末のマザーズ指数終値977.85ポイントとなり、前週末終値(1047.36ポイント)比で約6.6%安と大きく下落しました。これにより週足ベースで12週続いた連騰記録が途絶えた格好です。また、株価が25日移動平均線を明確に下抜けた他、5日と25日移動平均線とのデッド・クロスも出現しており、チャートがやや崩れた印象です。

 下段のMACDも下向きが続いているため、早い段階で持ち直すことができないと、下落が加速し、市場のムードが悪化してしまう可能性があるため、今週は新興株市場の動きについても留意しておく必要がありそうです。