市場の最新参入者は恐れを知らない

  現在のマーケットでゴールドとナスダックの銘柄を除くと、日足相場はおおむね調整相場の範疇にあり、急落→急騰→収縮という調整パターンの退屈な局面を迎えている。

ゴールド先物(日足)と順張り売買シグナル

出所:カスタムチャート・石原順インディケーター

 ポピュリズムもバブルも悲劇しかもたらさない。西部邁氏によれば、大衆という人種は、「わかりやすい単純模型」に簡単に飛びつく愚かな人々である。大量の人間が飛びつくものに、ろくなものがあった試しがないのである。相場の世界では、流行とかブームに乗ると、最後にはしっぺ返しが待っている。

 Forbes JAPANの報道『投資アプリ利用の20歳が自殺「-73万ドル」の残高に絶望』によると、オプション取引を始めた20歳の若者が自ら命を絶ったという。

「収入のない20歳がどうして100万ドル近くのレバレッジを割り当てられたのか?」と、彼の両親は述べ、パソコンに残された遺書には、「自分が何をしているのか全く分かっていなかった」と記されていたという。何という悲劇か…。勉強せずに投資をする事は、医師免許が無い人が手術をするようなものだ。

 筆者はプロと呼ばれる多くのトレーダーを見てきたが、生き馬の目を抜くシカゴのラサール街で生き残れる投資家はせいぜい2割である。カネを持っているというだけで、勉強しないで投資の世界に入ると、痛い目に合うのは確実である。

 デイトレーダーは何も考えずに株式を購入しており、ほとんどはお金を捨てていると、ウェルスフロントの投資責任者バートン・マルキールは今週のブログ記事で指摘した。

「新米のトレーダー軍団は、関連するリスクを気にせずに株式に新しいお金を注ぎ込み、明らかにバフェットの格言『波が引いた時に初めて誰が裸で泳いでいたか分かる』を知らない。」

 ウォーレン・バフェット、ハワード・マークス、その他の熟練の投資家たちは、ウイルスによる経済の落ち込みを心配しているため、非常に慎重であり、更には株式を売却しているが、市場の最新参入者は恐れを知らないとマルキールは言った。

「新参者のトレーダーの軍団は、関連するリスクを気にせずに株式に新しいお金を注ぎ込み、明らかにバフェットの格言を知らない。」

 マルキールは、ほぼすべての個人投資家が、時間の経過とともに損失を被るだろうとし、彼の主張を支持する3つの研究を引用した:

  • チャールズ・シュワブのアクティブトレーダーはこの6年間、低コストのインデックスファンドを大幅に下回った。
  • 台湾のトレーダーで一貫して15年間低コストETFを打ち負かしたのは1%未満であり、80%の人は損をした。
  • ブラジルのデイトレーダーの97%はお金を失い、わずか1%がその国の最低賃金よりも多く稼いだ。

出所:「デイトレーダーと真の投資家を混同しないでほしい」プリンストンのエコノミストはウォーレン・バフェットとハワード・マークスは時間の経過とともに勝利するだろうと言う。(2020年6月10日 ビジネスインサイダー)

 個⼈投資家がバブル相場につぎ込んでいいのは失ってもいいお⾦だけである。相場が思ったように動いていないなら、様⼦⾒でいい。そして相場の世界で多数派になってはいけない。「⼈の⾏く裏に道あり花の山」である。

株式市場と現実のかい離は次の修正が近いことを示唆している

出所:ゼロヘッジ

企業収益はどんどん下がっている一方で、株は上昇している。ワニの口だ。

出所:ゼロヘッジ

 相場で一番大切なことは、大きな損をしないことだ。大きな損をすると、投資効率が死んでしまうからだ。だから、相場とは何かといわれれば、ストップロスが全てである。

7月1日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

 7月1日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、永倉弘昭さん(FX 事業部長)をお招きして、為替相場見通しと実践売買の手法について、かなり突っ込んだ話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。

米国では収入の上位10%が株式市場の88%を所有し下位90%がわずか12%を所有

出所:YouTube

為替相場見通しと実践売買のテクニカル

出所:YouTube

 ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロード出来るので、投資の参考にしていただきたい。

7月1日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー(ラジオNIKKEI)

出所:YouTube

【6月30日楽天FXセミナー動画】『負債総額26兆ドルの基軸通貨米ドル特権の揺らぎ、いずれ、円とスイスフラン高が到来か!?』

 6月30日のセミナー『負債総額26兆ドルの基軸通貨米ドル特権の揺らぎ、いずれ、円とスイスフラン高が到来か!?』がYouTubeで配信されています。

 リアルタイムで前回のセミナーを超える多くのお客様が観に来てくださいました。ありがとうございました。相場は丁半バクチではなく、確率と機会に賭ける知的なゲームです。せひ、ご覧ください。

『負債総額26兆ドルの基軸通貨米ドル特権の揺らぎ、いずれ、円とスイスフラン高が到来か!?』