みんな注目のIPOも新型コロナウイルスで延期・中止に

 早いもので、国内株市場は7月相場入り。2020年も折り返し地点を過ぎました。日経平均株価は6月上旬に2万3,000円台に乗せる場面もありましたが、上値を伸ばしきれず、中旬以降は2万2,000円台でのもみ合いが続いています。

 そんな中、新興株市場のマザーズやジャスダックでは、6月24日からIPO(株式の新規公開)が再開。4月6日にマザーズに上場した松屋アールアンドディ(7317)以降、延期や中止が相次ぎ、久々のIPOとなります。

 そして再開後のIPOは、7月1日現在で6銘柄です。IPOといえば「公募価格に対して初値がいくらになるか?」が注目されますが、これら6銘柄の状況は次の通りです。

図1:直近IPOの状況

上場日 銘柄名(コード) 市場 公募価格 初値 騰落率 7/1終値
6月24日 コパ・コーポレーション(7689) マザーズ 2,000円 4,530円 126.5% 3,795円
6月24日 ロコガイド(4497) マザーズ 2,000円 4,605円 130.3% 5,600円
6月24日 フィーチャ(4052) マザーズ 520円 4,710円 805.8% 3,985円
6月26日 コマースワン・ホールディングス(4496) マザーズ 1,600円 6,970円 335.6% 4,680円
6月29日 エブレン(6599) JASDAQ 1,350円 5,000円 270.4% 3,975円
6月30日 グッドパッチ(7351) マザーズ 690円 2,757円 299.6% 2,550円
出所:取引所データなどを元に筆者作成

 いずれの銘柄も初値が公募価格を大きく上回っています。

幸運のIPO株。でも初値後の値動きは?

 そもそもIPO株投資の魅力は、上場する際に投資家に割り当てられる株を公募価格で買い、初値後に売ることで、大きな利益がねらえることです。例えば、昨年(2019年)は90銘柄がIPOを行いましたが、初値が公募価格を上回ったのはそのうち77銘柄ですので、かなりの勝率です。

 そのため、IPO銘柄を公募価格で手に入れるために、投資家からの買い付け申し込みが殺到し、多くの場合で抽選が行われます。つまり、公募価格でIPO株を手にできるのは幸運と言えます。

 残念ながら縁に恵まれず、公募価格で手にすることができなかった場合は、上場後の売買で利益をねらうことになるわけですが、実はIPO銘柄は初値が決まってからの値動きは、上値をさらに伸ばすこともあれば、すぐに値を下げたり、荒っぽい値動きを見せたりと、かなり不安定です。実際に、直近IPOの6銘柄を見ても、7月1日の終値で初値を上回っているのは1銘柄のみです。

 そのため、通常の取引所取引でIPO銘柄を売買するには、銘柄の選択が重要になってきます。

IPO株を見定める4つの分類体系

 ひとくちにIPO銘柄といっても、値動きからざっくり4つに分類されます(図2)。

低成長型

 それぞれを見ていくと、まず(1)低成長型ですが、例えば、不動産デベロッパーなどが挙げられます。すでに多くの銘柄が株式市場に上場していることもあり、他社との差別化が明確でない限り、競争相手と比較されやすいと言えます。

高成長型

 次の(2)高成長型がIPO後も期待できる銘柄の候補になります。IPO直後は一種のお祭り騒ぎ。そのため、お祭り後の株価が下落したり、低迷することもありますが、企業が成長を続けていれば、見直し買いが入って株価が上昇していく可能性があります。

成長終盤型

 続いて、(3)成長終盤型は、いわゆる「大型上場」と呼ばれる銘柄にある特徴です。

 IPO時にはすでに会社の規模が大きくなっている他、知名度も高いため注目度は高いのですが、その分、会社の成長は安定期に入っていると見ることもでき、さらなる株価の上昇にはこれからの成長戦略が問われます。

将来期待型

 そして、最後の(4)将来期待型は、言わば「当たるとデカい」銘柄です。次世代の技術を持つ企業やバイオ関連企業などがこれにあたります。まだ、ビジネスとして成り立っていないという弱点はありますが、かえって期待感が持続しやすく、IPO後も値を伸ばすことが多い一方、ムードが冷めてしまうと株価が急落してしまうため、注意が必要です。

図2:IPO銘柄の分類

 IPO銘柄をチェックする際には、その銘柄が図2のどこに位置するかをチェックするだけでも、その後の取引のパフォーマンスを少しでも改善させることができそうです。

 次回も引き続き、IPO株投資について解説します。