人気投資ブロガーに聞く割安成長株の投資戦略!

 株式には、成長株(グロース)、割安株(バリュー)をねらって投資する戦略がある。どこに狙いを定めるべきか。百戦錬磨の投資ブロガーが自らの投資戦術を余すことなく紹介する。

 今回は、不人気割安株を発掘して幅広く分散投資しているDAIBOUCHOU(だいぼうちょう)さんが、その投資戦略を語った。

不人気業種・不動産業に芽吹いた成長企業への投資で大成功 

 株式投資を始めた2000年当初は、豊富な現預金などを保有するわりに株価が安い「資産バリュー株」を狙う投資スタイルだったというDAIBOUCHOUさん。当時、不人気産業だったパチスロメーカーのサミー(現セガサミーHD ・6460)もバリュー株として投資していたが、売り出し中のパチスロ機が大ヒットしたこともあり急成長。株価が大きく上昇する経験を味わった。

「この成功体験を機に、不人気=割安と、業績の伸びを両取りできれば、株価上昇を享受しつつ、万一、予想に反して業績がしぼんでも、もともと割安なので株価の下落も大きくなくダメージが少ない」(DAIBOUCHOUさん)という割安×成長株戦略に目覚めた。

「地味に稼ぐ成長企業を先回りして買う」という、そのスタイルが見事開花したのが、2002年頃の金融危機で株価が低迷していた新興不動産株への集中投資だった。

 金融危機の最中にIPO(株式の新規公開)した新興のマンション・デベロッパーのフージャースHD(3284)、当時はまだ新業種だった不動産ファンド運用で一時、業界を席巻したアーバンコーポレイション(2008年破綻)、アセット・マネジャーズ・ホールディングス(現いちごHD・2337)などへ、信用取引も使い集中投資。数々のテンバガー(株価10倍株)も獲得し、たった数年で資産を10億円まで増やした「伝説の成功体験」はいまだに個人投資家でも有名だ。

「2002年当時といえば、不動産業は極度の不人気業種で借金が多いことから株価も割安で放置されていました。しかし、そんな中でも業績が伸び続けたり、新たな不動産ファンド運用というビジネスモデルに業態転換して、急成長していた新興の不動産会社がたくさんありました。人気がない業種の中で人知れず業績成長を遂げている会社を買う、というスタイルを確立できました」とDAIBOUCHOUさんは振り返る。

一時的な減益や特損、不祥事で売られたところを逆張り! 

 その後、テンバガーを達成した不動産ファンド関連株は、2007年に米国で勃発したサブプライムローン問題の余波を受けて、経営破綻したり、筆頭株主が変わったりして、バブルが崩壊。DAIBOUCHOUさんも大きな損失をこうむることとなった。

 そこで投資スタイルを調整。アベノミクス相場以降は「人気がない、人気テーマでない」タイプ、「一時的な損失、不採算案件で売られた」タイプという2種類の銘柄に幅広く分散投資。「守りながらも攻めて着実に増やす」という新たな「サイクル投資法」を開発したDAIBOUCHOUさん。

「赤字の不動産仲介FC(フランチャイズ)を買収して業績に不安定感があった集合住宅向けITネットワーク敷設事業のギガプライズ(3830)、2015年に経営者のインサイダー取引疑惑や業績下方修正で株価が急落した神戸物産(3038)、不採算案件の発生で2015年6月期に減益を発表し株価が下落した連結会計システムのアバント(3836)などを割安度、業績自体は堅調、成長持続をアピールする中期経営計画の発表などを理由に底値買いしました。そして、業績がV字回復したり、急拡大することで株価も上昇。大きく利益を出すことができました」(DAIBOUCHOUさん)

「一時的な業績不振」や「不祥事」「M&A(企業の買収・合併)の失敗や既存事業撤退にともなう特別損失の計上」といった負の要素で株価が急落した銘柄を観察。これらの銘柄に今後、業績成長する要素があると確信すれば、逆張りもいとわず底値買いするというのがDAIBOUCHOUさんの投資スタイルだ。

 いまや「ピカピカの成長株」といえる「業務スーパー」の神戸物産だが、DAIBOUCHOUさんが投資を始めた時点では「経営者のインサイダー取引疑惑(不起訴)や為替デリバティブによる特別損失の計上で株価も陰の極みでした。でも『業務スーパー』を訪れるお客は、経営陣のインサイダー取引疑惑など気にせず、来店・購入を続けていて、業績自体は絶好調でした」。

 逆境にあり、株価も低迷した企業の中に、今後、業績が回復し、成長持続の要素があるかどうか、徹底的に分析できたからこその大成功といえるだろう。

 上場後、赤字続きで下落していたライフネット生命保険(7157)への投資では、赤字拡大より新規契約獲得を優先する新社長の就任で業績成長が見込めると逆張り投資して見事、成功。「経営陣の交代」や「事業の一角に急成長しそうな部門がある」といった期待感も銘柄発掘の決め手になるようだ。

株式投資は最高の知的ゲーム。自分の考えをしっかり持つ

 むろん、キャッシュレス決済のウェルネット(2428)のように「一時的」と思っていた業績悪化が長く続いてしまうケースもある。また、証券業界向けシステム開発のトレードワークス(3997)は、結果的にIPO時点の業績が一番よく、あとは下がるだけという「上場ピーク案件」となり、損切り。業績不振だった企業が一転して、業績成長を続けられるかどうかの判断は確かに難しいところ。

 DAIBOUCHOUさんの場合、投資当初は割安で株価の下落余地が少ない銘柄に、幅広く分散投資することで、そのリスクを回避しているようだ。

「大事なことは、自分で銘柄を調べて、自分で投資判断を下すことです。自分の考えがないと失敗したときに反省することができず、改善ができません。株式投資はある意味、知的ゲームとして最高峰。トライアンドエラーや計画→実行→評価→改善というPDCAサイクルを回しながら、自分に合った投資の仕方を見つけることが大切だと思います」と話すDAIBOUCHOUさんは、ツイッターなどで有名投資家の保有株をチェックしたり、「チャートリスト」というツールで新高値をつけた勢いのある銘柄を監視するなど、相場観察を決して怠らない。

 折しも、株式相場はコロナ・ショックもあって、DAIBOUCHOUさんの好きな相場低迷期に突入。すでに一部の銘柄には猛烈なリバウンド上昇が来ているものの、まだまだチャンスはあるはず。

「コロナ禍の長期化は不安ですが、金融緩和の追い風やビジネス社会のIT化、効率化の流れもあって、世の中には大変革が起こっています。その変革が追い風と思える会社に投資したいですね」とDAIBOUCHOUさんは今後の展望を語った。

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DAIBOUCHOUさんプロフィール

 2000年に株式投資を開始。当時のITバブル崩壊を資産バリュー株で回避し、不動産株への集中投資&信用取引で、元手200万円をわずか数年で10億円にした伝説の持ち主。10年前に起きたリーマン・ショックで一時、資産は激減するものの、その経験を踏まえて株式投資の手法を見直し。「守りながらも攻めて着実に増やす」という新しい「サイクル投資法」を開発。最近は不動産投資と割安成長株への幅広い分散投資を同時並行で行っている。著書に『DAIBOUCHOU式 新・サイクル投資法』(宝島社)など。

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