プレミアムコンテンツ需要の高まりが追い風、EC事業も新段階に

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

 474.20HKD
(6/23現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 テンセントは強力なゲームのラインナップや効率的な動画、実況配信コンテンツを強みに、ネット娯楽サービス最大手としての地位を固めており、BOCIは新型コロナウイルスを契機としたプレミアムコンテンツ需要の高まりが大きな追い風になるとみている。また、中国版LINE「微信」やミニアプリ「小程序」の膨大なトラフィックを生かした「ビデオアカウント」「微信小商店(ミニショップ)」といった新サービスが、広告やクラウド、企業向けサービスの成長を後押しするとの見方。目標株価を引き上げた上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続し、同社をネットセクターの20年下期のトップピック銘柄と位置付けている。

    中国では新型コロナの流行を背景に、オフラインからオンラインに娯楽行動がシフトし、プレミアムコンテンツ需要が増加した。BOCIによれば、その恩恵を最大限に受けるのが、ゲームや動画、実況配信、さらに音楽、文学に至るまで豊富なコンテンツを抱えるテンセント。DAU(デイリーアクティブユーザー)当たりの1日平均利用時間数は19年に平均6時間だったが、20年2月には7.6時間まで上昇。また、DMU(月間データ使用量)は5月に平均10.02GBに達し、前月の9.34GB、コロナ前の19年12月の8.59GBから上向いた。BOCIは20年下期も、プレミアムコンテンツに対する旺盛な需要が続くとみている。

「微信」のMAU(月間アクティブユーザー)12億人に加え、微信内のミニアプリ「小程序」のDAU3億人超、さらに「ビデオアカウント」の同2億人のトラフィックは急増しており、BOCIは「微信」がネット通販志向のソーシャルネットワーキングコミュニティーとしての性質をさらに強めているとの見方。今後はビデオアカウントとSaaSベースの「微信小商店」(20年6月に試験開始)が、広告、フィンテック、企業向けサービス、クラウドなど各事業の売り上げ増を加速させるとの見通しを示した。

    BOCIはソーシャル広告、フィンテック・企業向けサービスの収入見通しを引き上げたのに伴い、20-22年の予想売上高を2.6%、2%、2.5%引き上げ、予想純利益(非GAAP)を4.1%、4.6%、5.2%増額修正した。

    また、フィンテック事業の目標PER(株価収益率)を25倍から30倍に引き上げるなどの変更を加えた上で、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を大きく上方修正した。4月に株式引受権を行使し、ゲーム実況配信大手の虎牙(ナスダック:HUYA)の議決権を50.1%に引き上げたことを受け、今回、虎牙をSOTPモデルに追加している。

    一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、ネット娯楽全般やショート動画市場で後発組との競争が激化していることや、ゲームの運営リスクを挙げている。