本レポートでは、主要な暗号資産であるビットコインとイーサリアムの今後の動向を、価格推移、騰落率、相関関係の3つの項目で、株や通貨と比較をしながら考えます。

価格推移:3月に“新型コロナショック”で下落するも、6月に今年の高値水準まで反発

 まずは、この半年間のビットコインとイーサリアム、日経225とマザーズ指数(主要株価指数)、ドル円(通貨)の価格の推移を確認します。

図:ビットコインとイーサリアム、各種銘柄の価格推移(2020年1月6日を100として指数化)(日足、終値)

出所:楽天ウォレットおよび、マーケットスピードⅡ、同CXのデータをもとに筆者作成

 ビットコイン、イーサリアムはともに、今年(2020年)1月から2月半ばまで上昇しましたが、他の銘柄と同様、“新型コロナショック”で下落しました。しかし、3月半ばに底打ちし、反発局面に入りました。6月23日(火)時点で、年初の水準を上回っています。ビットコインは102万円近辺、イーサリアムは2万6,000円近辺です(6月23日現在)。

 2020年1月6日を100とした上記のグラフより、新型コロナショック後の反発局面で、株価、通貨、暗号資産の3つのうち、暗号資産が最も大きく反発したことがわかります。

 また、これから成長が期待される企業向けの株式市場の1つであるマザーズ市場の全体的な値動きの傾向を示す“マザーズ指数”の値動きは、成熟して規模が大きくなった企業の全体的な値動きを示す“日経225”よりも、大きくなる傾向があります(ただし、同じ日本の株価指数ですので、価格推移における山と谷のタイミングは、おおむね同じです)。

 この半年間のビットコインとイーサリアムの関係は、これら2つの株価指数の関係に似ています。ビットコインに比べれば売買の規模が小さい傾向があるイーサリアムの値動きは、上がる時も下がる時も、ビットコインより大きく動く傾向があり、かつ同じ暗号資産であるため、山と谷のタイミングはおおむね同じです。

 これらの点から、投資という点で考えれば、大規模なショック後の株価の反発局面では、株価指数よりも暗号資産が、そして、暗号資産の中でもビットコインよりもイーサリアムの方が「有利」と言えるかもしれません。

騰落率:非常時の“新たな期待の置き所”か!?他銘柄よりも比較的大きく上昇

 以下は、暗号資産、主要株価指数、通貨、コモディティ(商品)の4ジャンルの合計12銘柄の年初来の騰落率です。この中で年初からの上昇率が最も高かったのは、イーサリアムで、次がビットコインでした。

 先ほどは、暗号資産と主要株価指数と通貨の価格推移を確認しましたが、コモディティ(商品)を加えた騰落率からも、この半年間の暗号資産の上昇が目立ったことが確認できます。

図:ビットコインとイーサリアム、各種銘柄の騰落率 (2020年1月6日と6月23日を比較)

出所:楽天ウォレットおよび、マーケットスピードⅡ、同CXのデータをもとに筆者作成

 この半年間、世界の幅広い地域に新型コロナウイルスの感染が拡大しました。2月半ばから3月に半ばにかけては、たくさんの金融商品の価格が急落した“新型コロナショック”が発生しました。まさに未曽有の、人類が経験したことがない半年間だったわけです。

 この間、世界景気が悪化して消費が減少したことから、原油や天然ゴム、プラチナやパラジウムなどの原材料・素材の価格が下落しました。そして、景気悪化を受けて、一部の主要株価指数も下落しました。

 一方、イーサリアムは+68.6%、ビットコインは+24.8%、上昇しました。大規模な景気悪化が進行して、多くの銘柄が下落した中で、目立った上昇を見せた暗号資産は、投資家たちの“新たな期待の置き所”として、物色された可能性があります。

 危機が発生している時は特に、暗号資産は一目置かれる存在なのだと、考えられます。

相関関係:ビットコインの値動きの方向性は、比較的、株価と銀と似ていた

 この半年間、ビットコインの値動きは比較的、株価の値動きに似ていました。また、株価に似た動きをした貴金属の“銀”にも似ていました。

図:ビットコインとイーサリアム、各種銘柄の相関係数 (2020年1月6日から6月23日)

出所:楽天ウォレットおよび、マーケットスピードⅡ、同CXのデータをもとに筆者作成

 相関係数は、2つの対象物の関係性を数値化したもので、+1と-1の間で決まります。+1に近ければ、2つの対象物の関係は正(連動するように動いていること。相関)、-1に近ければ、関係は負(正反対に動いていること。逆相関)、0に近ければ2つの対象物は、関りがないこと(無相関)を意味します。

 具体的には、

0~+0.3(-0.3):ほぼ無相関
+0.3~+0.5(-0.3~-0.5):弱い相関(逆相関)
+0.5~+0.7(-0.5~-0.7):相関あり(逆相関あり)
+0.7~+0.9(-0.7~-0.9):強い相関(強い逆相関)
+0.9以上(-0.9以下):非常に強い相関(非常に強い逆相関)

 となります。

 相関係数は、具体的に言えば“方向性”がどれだけ近しいかを示すため、値動きの程度(騰落率)はどうあれ、上昇(下落)する時にどれくらい一緒に(正反対に)上昇(下落)したかを示しています。

 この半年間の、ビットコインと日経225の相関係数は+0.78、マザーズ指数も+0.78、銀は+0.76でした。この関係から、ビットコインの値動きを考える上で、“株価の動向”を重視すべきだと言えそうです。

 また先述のとおり、ビットコインとイーサリアムは、比較的同じタイミングで山と谷を描く傾向があることから、イーサリアムの値動きを考える上でも、株価の動向は重要なヒントになると言えます。

 暗号資産に投資をする場合は、当然、損益の源泉である暗号資産自体の価格に注目することが非常に重要ですが、暗号資産の価格推移に似ている主要な株価指数の値動きに、注意を払うことも重要だと言えます。

株価上昇時、暗号資産、中でも変動率が比較的高い、イーサリアムに注目

 ビットコインとイーサリアムについて、価格推移、騰落率、相関関係の3つの視点で、主要な株価指数、通貨、コモディティ(商品)と比較をし、この半年間を振り返りました。

 まとめれば、以下のようになります。

【1】大規模なショック後の株価の反発局面では、株価指数よりも暗号資産が、暗号資産の中では、ビットコインよりもイーサリアムの方が有利になる可能性がある(価格推移より)

【2】危機発生時に、多数の金融商品の中でも、暗号資産は一目置かれる可能性がある(騰落率より)

【3】暗号資産に投資をする場合は、損益の源泉である暗号資産自体の価格以外に、暗号資産の価格推移に似ることがある、主要な株価指数の値動きにも、注意を払うことが必要(相関関係より)

 今後の暗号資産のお取引に役立てば幸いです。

※本レポ-トでは、特にことわりがない限り、円建て(価格の単位が円)の銘柄を参照しています。

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