外為市場のテクニカル分析
6月24日のラジオNIKKEIの番組『楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー』で取り上げたが、昨年来のドル/円のトレンドレスな動きの中で有効にワークしているテクニカルは、ストキャスティクスを使った逆張り売買である。
下のチャートは、ドル/円の日足に「ストキャスティクスの逆張りシグナル」をプロットしたものだ。白い丸でかこったシグナルは逆張りが成功したシグナル、赤い丸でかこったシグナルは逆張りが失敗して損切りになったシグナルである。
当然のことながら、全てのシグナルが当たるようなテクニカル指標は存在しない。しかしながら、ストップロス注文を入れることによって、逆張りシグナルも相場の実戦で使える道具になるのである。
ドル/円(日足)ストキャスティクスの逆張り売買シグナル
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現在の円相場の日足は、ADXと標準偏差ボラティリティがピークアウトし、典型的な調整レンジ相場となっている。順張り投資家は次のトレンドの発生を「待つ」局面である。
豪ドル/円(日足)ADXと標準偏差がピークアウトし、典型的な調整レンジ相場に…
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ(赤)
中段:ADX(黄)・標準偏差ボラティリティ(青)
下段:トレンドシグナル:買いトレンド(赤)・売りトレンド(黄)
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メキシコペソ/円(日足)ADXと標準偏差がピークアウトし、典型的な調整レンジ相場に…
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ(赤)
中段:ADX(黄)・標準偏差ボラティリティ(青)
下段:トレンドシグナル:買いトレンド(赤)・売りトレンド(黄)
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FRB のマネタリーベース(資金供給量)は横ばいに…
FRB(米連邦準備制度理事会) のマネタリーベース(資金供給量)は、3 月以降のQEインフィニティ(無限大量的緩和)で爆発的な急増をみせていたが、テクニカル的な要因から現在は横ばいとなっている。株価もそれに伴い上値が重くなっているようだ。
S&P500と連銀のバランスシートの推移
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NYダウ(日足)
上段:ADX(赤)・標準偏差ボラティリティ(青)
下段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ(赤)
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個人投資家がバブル相場につぎ込んでいいのは失ってもいいお金だけである
ラジオやブログ「石原順の日々の泡」で、投資アプリ「ロビンフッド(Robinhood)」で取引きするデイトレーダーのことをとりあげてきたが、Forbes JAPANの報道、『投資アプリ利用の20歳が自殺「-73万ドル」の残高に絶望』によると、オプション取引を始めた20歳の若者が自ら命を絶ったという。「収入のない20歳がどうして100万ドル近くのレバレッジを割り当てられたのか?」と、彼の両親は述べ、パソコンに残された遺書には、「自分が何をしているのか全く分かっていなかった」と記されていたという。
何という悲劇か…。勉強せずに投資をする事は、医師免許が無い人が手術をするようなものだ。にわかデイトレーダーは何も考えずに株式を購入しており、ほとんどはお金を捨てている。
個人投資家がバブル相場につぎ込んでいいのは、失ってもいいお金だけである。そもそも、大多数の人間が飛びつくものに、ろくなものがあったためしがないのである。流行とかブームに乗ると、最後にはしっぺ返しが待っている。
「FRBに逆らうな」は、その通りだが、今や政治家の手先的な仕手筋と化した中央銀行に提灯をつけた個人投資家は定期的にふるい落とされる。
パンデミックの中の市場の狂気
以下はNYタイムズのポール・クルーグマンのコラム『パンデミックの中の市場の狂気―なぜ投資家は慌ててジャンクを買うのか?』の抜粋である。
この数年が経過し、Hertzは再びNo.1になった。市場シェアではない:そのレンタカー会社はEnterprise(レンタカー会社)に程遠く引き離されて2位だ。しかし、Hertzは、Covid-19のこの時代に株式市場を席巻した狂気を象徴するナンバー1の見せ物となっている-その狂気はものすごく害となる。その理由は株価自体が重要だからではなく、ドナルド・トランプと彼の手下が株式市場を彼らの成功の尺度とするからだ。
※Hertz Global Holdings Inc(ハーツ・グローバル・ホールディングス)は米国のレンタカー事業持株会社。子会社を通じて、「ハーツ」「ダラー」「スリフティー」「ファイヤーフライ」の事業所名で米国内外で乗用車、クロスオーバー車、軽トラックを貸し出す。また、商用トラックのリース、車両管理サービスのほか、産業機器や建設機械のレンタルを行う。本社はニュージャージー州。
Hertzについて:先月、大きな負債を抱え、パンデミックの中で事業が急落した同社は、チャプター11を申請した。これは、債務再編を行いながら会社を運営し続ける倒産の一形態だ。
チャプター11を申請した企業はしばしば生き残るが、その株主は通常すべて投資金を失う。だから、Hertz株は多かれ少なかれ価値がなくなるべきだった。
確かに、Hertzの株価は2月の20ドル以上から6月上旬には1ドル未満に下落した。しかし、その後、変なことが起こった:投資家は突然、株式に資金を積み上げ、株価は500%以上押し上げられた。そして、Hertzは -破産中なのだが!- 更に株式を発行して資金を調達する計画を発表した。
Hertzの物語は、より広範な現象の一例に過ぎなかった。5月中旬から木曜日の突然の急落の間に起こった株価の上昇は、かなりの部分、非常に疑わしい企業群に慌てて投資した投資家によってもたらされた-ある業界ウォッチャーは「がらくたへの逃避」と呼んだ。
ハーツ・グローバル・ホールディングス(日足)
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株式市場は実体経済とはあまり相関がないが、最近は実体とはほとんど相関が無いようだ。
ロバート・シラー、これらに関する世界有数の専門家は、資産バブルは、事実上、自然発生したポンジスキーム(ねずみ講的な詐欺のスキーム)だと指摘している。最初の投資家は、その後で投資した投資家によって株価が上がり、その結果、もっと多くの人が株式を購入するので投資収益を得る。宴は何かが新しいお金の流れを遮断するまで続き、突然すべてがクラッシュする。
そして今、バブルは破裂している可能性がある。しかしそんなことはどうでも良い。
「政府はいつでも、パーティーには遅れてやってくる。彼らが起こった問題に対処しなければ、同じことが再び起こる可能性がある。
一方、彼らは安全を過信し、大きな危機がふたたび発生することはないと思っている。もちろんそんなことはない。次の危機はまったく違った形で起こり、同じ規模で発生する可能性があるのである。
同じように、1つのイベントのリスクをなくし、それによって将来的なリスクを避けることはできない。それでは解決にならない。重要なのは真のリスクを理解し、きちんと管理することである。リスクが大きすぎるのであれば、ポジションを小さくせよ。」
と、米著名投資家のペリー・カウフマンは述べている。目先の流行に飛びつくマイオピック(近視眼的)な投資をしていると、高い授業料を払うことになるだろう。
6月24日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
6月24日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、永倉弘昭さん(FX事業部長)をお招きして、「負債総額26兆ドルの基軸通貨米ドル特権の揺らぎ」というテーマで話をしてみた。
個人投資家のドル/円ポジション
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ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロード出来るので、投資の参考にしていただきたい。
6月24日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー(ラジオNIKKEI)
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6月30日(火)18時から【楽天FXセミナー】「負債総額26兆ドルの基軸通貨米ドル特権の揺らぎ、いずれ、円とスイスフラン高が到来か!?」
6月30日(火)の18時から【楽天FXセミナー】「負債総額26兆ドルの基軸通貨米ドル特権の揺らぎ、いずれ、円とスイスフラン高が到来か!?」を開催します。 お申込みは不要です。時間になりましたら、こちらよりご参加ください。お聞き逃しなく!(リンク先:YouTubeページ)
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