過去3ヵ月の推移と今回の予想値

  6月 7月 8月 9月(予想)
失業率 4.4% 4.3% 4.4% 4.4%
非農業部門雇用者 23.1万人 18.9万人 15.6万人 7.7万人
平均時給(前月比) +0.2% +0.3% +0.1% +0.3%
平均時給(前年比) +2.5% +2.5% +2.5% +2.5%
ドル円 (終値) 113.10 109.84 109.56  
ユーロ円 (終値) 129.17 130.10 130.66  

 

ハリケーンの影響は?

 今回9月の米雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が+7.7万人(前回+15.6万人)、失業率4.4%(前回4.4%)が市場予想になっています。また、平均労働賃金の予想は、前月比+0.3%(前回+0.1%)。

 

 今回、NFPの予想が大きく落ち込んでいるのは、米国を襲ったハリケーン「ハービー」と「イルマ」の影響によるものです。ただ、幸いにもハリケーンのダメージは当初懸念されていたほど深刻ではないとの報告も上がっています。イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長も、先月のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の会見で、「影響は一時的」と楽観的で、数ヵ月後には回復するだろうと述べています。

平均労働賃金は伸びているか?

 すると、今回も注目は、平均労働賃金の伸び具合ということになります。イエレン議長を悩ませているのは、「雇用がタイトになっているのに、賃金が上がらない」こと。しかし、この問題は米国に限ったことではなく、日銀をはじめ世界の主要中央銀行が解くことができずにいる「エニグマ」です。

 

 とはいえ、労働賃金が上がらなければ、FRBが利上げしないのかというと、そんなことはありません。今回の雇用統計の結果がどうであれ、米国が12月に利上げすることは、ほぼ確実と見られています。

 

今後の米国の利上げは、雇用統計次第

 イエレン議長は利上げの理由として、「低金利を長期間継続することには副作用がある」ため、「インフレが2%に達するまで金利を据え置くのは賢明ではない」ことを掲げています。ただ、同時に、「米国の雇用市場の強さが、近い将来インフレを目標値まで押し上げるだろう」と述べています。

 

 インフレはすぐに追いつくから、先に利上げしても問題ない、というのがイエレン議長の主張と考えることができます。ということは、平均労働賃金の上昇を含めて、雇用市場が強さを維持することが、FOMCが利上げを継続するための前提条件だといえます。

 

 労働市場がハリケーン被害からの回復に手間取ったり、あるいはこのまま力を失くしたりした場合、FOMCの来年以降の利上げ見通しが後退する可能性が大きくなります。日米金利差を前提とした、ドル高/円安トレンドにも影響が出ることになるでしょう。

 

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