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日本の株式市場は、新型コロナ感染拡大を懸念して、3月に急落し、その後各国の金融・財政政策や経済活動再開の動きなどを評価して、急反転しています。こうした中、日経平均株価をTOPIX(東証株価指数)で割り、両指数の相対的な強さを示す『NT倍率』は、3月19日には12.89倍に急低下しましたが、6月10日には14.23倍まで急回復しました。この背景には何があったのでしょうか。
【ポイント1】『NT倍率』は6月上旬に14.23倍まで上昇
株式市場が大幅に下落する中、『NT倍率』は3月9日の14.18倍から3月19日には12.89倍まで急低下し、6月10日には14.23倍に急上昇しています。その背景にはコロナ感染拡大などを懸念して過度に積みあがった日経平均先物などでのショートポジションの買戻しなどが加速したことなどがあります。
【ポイント2】『NT倍率』の急上昇は日経平均先物の買戻しが一因
過度に積みあがった日経平均先物売りの買戻しが集中したことに加え、6月12日のSQ(先物・オプション取引を決済するための特別清算指数)日に向けたポジション整理も『NT倍率』上昇を加速させる要因となりました。また日経平均株価で構成比率の高い東京エレクトロン、アドバンテストなどの半導体製造装置銘柄の大幅な株価上昇も一因となりました。
日本銀行が3月にETFの購入目標額を12兆円に倍増したことも背景の一つです。その後、TOPIX買いが増えるとの思惑から「日経平均売り・TOPIX買い」が活発化しました。ただ過去日銀がTOPIXの割合を高めると発表した時と同様、『NT倍率』の低下も一時的で、「日経平均売り・TOPIX買い」は巻き戻されました。
【今後の展開】『NT倍率』は高水準継続の方向
『NT倍率』は10倍以下だった2005年から上昇傾向にあり、現在の14.2倍は最高水準にあります。また、今回の『NT倍率』の上昇は複数の要因の相乗効果から増幅された面があります。ただし、▲5.58億株のネット裁定残高などからみると日経平均先物の売りはなお高水準にあると考えられ、今後日経平均先物が買い戻されるとみられることから同倍率の上昇トレンドが変わる可能性は小さいとみられます。なお、日経平均株価は構成比上位20銘柄で50%を上回り、それらの影響を受けやすいため、高い変動率は続くと思われます。
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