「NISA」「つみたてNISA」制度のおさらい

 皆さんは、「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」を使っていますか。

 NISAには2つあり「一般NISA」は、主に個別銘柄に投資する個人投資家を税優遇する制度、「つみたてNISA」は長期に投資信託に積み立て投資する個人投資家を優遇する制度です。

 年間40万円×最長20年(合計800万円)の上限の中で、投資信託の分配金や売却(解約)益が非課税となります。

※投資対象となるのはあらかじめ定められた投資信託のみ。また、積み立て投資専用です。同じ年に通常のNISAとつみたてNISAを重複して適用することはできません。

積み立て投資の優勢が発揮されるには前提条件がある

 ファイナンシャルプランナーの多くは、投資初心者に積み立て投資を推奨します。それは過去の経験やデータから、定期的な積み立て投資は、資産を増やすことができていたからです。

 ところが、例えば今回のコロナ・ショックで怖くなって積み立てをストップしてしまったり、積み立て額を減額してしまうと、上記の経験則が崩れてしまいます。

 つまり、長い期間定期的に積み立てて運用することで効果を発揮するのは、マーケットがどんなに上がろうと、どんなに下がろうと、ずっと同じ金額を積み立てて投資し続けるという前提があってこそなのです。

 途中で運用をストップしたり、金額を減額したりすると、過去の経験則とは異なる結果となってしまう可能性が高まってしまいます。

積み立て投資が向いている人・いない人

 筆者も積み立て投資を行っていますが、大部分は株(個別銘柄)への投資です。なぜなら、筆者は積み立て投資に向いていないのです。

 積み立て投資に向いているタイプ、それは「良い意味で鈍感」であること。株価の動きが気にならないタイプ、もしくは気にしたくない人が適している投資手法なのです。

 逆に、株価が大きく下落したからといって積み立てを辞めたり、解約したりしてしまい、株価が大きく上昇したのをみてあわてて再開する、というようなタイプの人には積み立て投資は向いていません。

 今回のコロナ・ショックで「怖くて投資信託を持ち続けることなんてできない。増してや毎月積み立てを続けるなんて無理!」と実感した方は、積み立て投資ではなく、例えば筆者が実践しているような、個別銘柄に対してタイミングを計って売買するような方法の方が向いているかもしれません。

積み立ては再開しても大丈夫

「今回のコロナ・ショックは投資を始めて間もなかったのであわてて積み立てをストップしてしまったが、それでは積み立て投資はうまくいかないことが分かった。これからは継続して積み立てをしていきたい」と思った方もいらっしゃると思います。

 確かに、投資の知識もあまりないままに積み立て投資をなんとなく始めると、株価の急落に驚いてしまいます。でも、積み立て投資には株価がいくら変動しても動じない精神力・鈍感力が必要だと分かれば、その後は淡々と積み立てを続けることができるでしょう。

 これから再開しても大丈夫か、という質問には「影響はありません」と即答します。

 もし、つみたてNISAで年間40万円×20年積み立てる予定だった人が、1年間積み立て続けたところでコロナ・ショックにびっくりして積み立てを半年間ストップしたとしたらどうでしょうか?

 積み立て額だけを見ても、トータルで800万円積み立てるうちの、まだ40万円分しか積み立てていません。この程度の金額であれば、株価が大きく上がろうが下がろうが、長期的にはほとんど影響がないことが分かります。

 今回のコロナ・ショックは、いわば積み立て投資が自分に向いているかどうかを見極める試金石だったかもしれません。

 いずれにせよ、積み立て投資をするのであれば、株価の上昇も下落も一喜一憂せず、本当に淡々と積み立てを続ける、この簡単なようで意外と難しい作業の継続が求められることを改めて認識してください。