ある日突然持ち株数が10分の1に!

 皆さんは株式併合を知っていますか? 詳しく知らないという方もいらっしゃると思います。

 これを知らないと突然自分の持っている株数が減ってしまい、びっくりすることになります。そうならないよう、基礎知識をつけておきましょう。

 高配当で個人投資家に人気のみずほフィナンシャルグループ(8411)が、10月1日に10:1の株式併合、つまり10株を1株にする株式併合を行います。

 10株を1株にするということは、9月30日の時点で1,000株持っていた人は10月1日から100株、100株持っていた人は10株になることを意味します。

株数は減っても価値は変わらない

 でもご安心ください。1,000株が100株になったからといって、株式の価値も10分の1になるわけではありません。10株を1株にする株式併合を行えば、株価は10倍になりますので、トータルでみた株式の価値は変わりません。

 仮に、株式併合直前の9月30日の終値が200円として、この株を1,000株持っていると、株式併合前後で株の価値は次のようになります。

・9月30日:200円×1,000株=200,000円
・10月1日:2,000円×100株=200,000円

 このように、株数が減った分、株価が上昇してつじつま合わせをしますので、株式市場が開いている時間での株価の変動を無視すれば、トータルでは200,000円のまま変わりません。

株式併合による注意点

 株式併合により「単元未満株」が発生した場合は注意が必要です。

 株式市場では、個別銘柄は通常100株単位で取引がされています。この100株のことを「1単元」と呼びます。そして、この1単元に満たない株は、「単元未満株」と呼ばれ、株式市場で取引することはできません。

 例えば、みずほフィナンシャルグループ株を1,200株持っていたとすると、10株を1株にする株式併合により、120株となります。

 このうち、100株は「単元株」として証券取引所で売買できますが、残り20株は「単元未満株」となってしまいます。

 この単元未満株が発生した場合は、通常「そのまま持ち続ける」「単元未満株のまま売却」「単元株になるまで買い増す」の3つの対応となります。

 単元未満株になったとしても、そのまま持ち続けることはできますし、配当金をもらうこともできます。ただし、株主優待の「優待獲得株数」に達しない場合、優待がもらえなくなります。

 また、売却したい場合は証券会社が買い取りをしてくれます。買い増して単元株にしたい場合も、証券会社に連絡して買い増し請求を行います(買い増し請求は受け付けない場合もあるようです)。

 なお、単元株を購入して、保有する単元未満株の買取請求をおこなうことで、買増請求と同様の効果を得ることができます。
>>楽天証券よくある質問「単元未満株を買い増して単元株にすることできますか?」

売買単価が上昇して売買しにくくなるというデメリットも

 このように、株式併合が行われると、株式トータルでの価値は変わらないものの、単元未満株が発生することにより売買に多少の手間や制約が生じます。

 そして、個人投資家にとって影響があるもう1つの点が、「売買単価が上昇してしまう」ということです。

 株式併合前の株価が200円であれば、200円×100株=20,000円で購入することができたものが、10株を1株にする株式併合後は、2,000円×100株=200,000円が購入に必要となってしまいます。

 ただ、企業にとっては、売買単価が低くなり過ぎると個人投資家の株主が増え、株主管理コストが上昇してしまうという悩みがあり、株式併合によりこれを抑えたいという切実なニーズがあるのも事実です。

 そして、株価が低ければ低いほど、株式併合が行われる可能性が高くなることも知っておくとよいでしょう。

 私たち個人投資家としては、株式併合という制度があること、それによりどのような影響があるのかを知っておくことで、驚いて必要のない行動をしないように気を付けましょう。