今週の予想

FRB社債購入決断で日経平均は?

 今週の日経平均株価は、NYダウ平均株価の動きに影響を受ける見込みです。先週、米雇用統計、FOMC(米連邦公開市場委員会)、国内のメジャーSQ(特別清算指数)などの大きなイベントが通過し、下値は堅めの展開となりそうです。

 米国市場では2022年末までゼロ金利と宣言され、ドルの上値は重く、円高基調に。世界的には新型コロナウイルス感染拡大が高止まりしており、第2波の動向が焦点で、日本も東京都の感染者数が増加しており、注意が必要です。日経平均の下値は先週末のザラ場安値2万1,786円が目先の下値ポイントとなりますが、ここを切ると下値模索となります。

 そんな中でFRB(米連邦準備制度理事会)は、新型コロナウイルス感染拡大への対応の一環として、SMCCF(セカンダリーマーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー)を通じた社債購入を16日から開始すると発表。これを受けて15日の米国株は上昇に転じました。

(今週の指標)日経平均株価

 先週のNYダウは新型コロナの第2次感染拡大懸念やパウエルFRB議長の労働市場の回復には時間がかかるとの発言を受け急落。これを受けて日経平均も大きく下げました。

 新型コロナウイルス感染拡大は世界的には高まっており、国内でも東京の感染者数が注目となります。日本市場の相場環境としては、メジャーSQを通過し、大きな波乱はないものの買い戻しが一巡して需給に変化が出る可能性もあります。

 日経平均株価は、今週もNYダウ平均株価の動きに影響を受ける見込みです。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 これまでの経済の早期回復「期待」ではなく、今後は、再開後の回復のペースがどの程度なのかを見極める展開となりそうです。

 そんな中、FRBは、新型コロナウイルス感染拡大への対応の一環として、SMCCFを通じた社債購入を16日から開始すると発表。これを受けて15日の米国株は上昇に転じました。

先週の結果

週半ばまで2万3,100円台を維持したが、週後半は急落

 先週の予測では、米株上昇に連動しながら戻りを試すものの、日経平均は2万3,100~2万3,600円は大きなフシ目となるため、週末の12日のメジャーSQにかけて高値波乱となって相場に変化が出てくるとしました。

 現在の上昇は各国の主要中央銀行の資金供給で生じた余剰の投資マネーが背景となっており、その代表はFRBの大規模緩和による無制限の貸出しです。そのFRBが6月11日に「米景気の回復に時間がかかる」という発言をしたことで、早い段階の景気の回復期待が後退。NYダウは▲1,861ドルの急落となり、日経平均も連動しました。 結果的には週半ばまで2万3,100円台を維持していましたが、週末は一時2万2,000円を割り込みました。

6月8日(月):米国の前週末の好調な米雇用統計を受け、NYダウが+829ドルの2万7,110ドルとなったことで、寄り付きは+258円の2万3,121円と2万3,000円台を回復。いったん伸び悩む場面がありましたが、後場には盛り返し、大引けにかけて強い動きとなり、+314円の2万3,178円と高値引けとなりました。2月21日以来の2万3,000円台回復となりました。 

9日(火):米雇用統計の驚がく的な改善からか回復期待が続き、前日のNYダウは+461ドルの2万7,572ドルと大幅上昇が続きましたが、日経平均は過熱感から利益確定売り優勢となりました。一時▲244円の2万2,933円まで下落し、売り一巡後は下げ渋って▲87円の2万3,091円と7日ぶりの反落でした。 

10日(水): FOMCの結果発表を控え、利益確定売りで前日のNYダウは▲300ドルの2万7,272ドルと7日ぶりの反落となりました。これを受けて日経平均は▲152円の2万2,939円で寄り付き、▲190円の2万2,900円まで下げました。しかし、売り一巡後は時間外の米株式先物高が支えとなってプラスに転じ、後場は一時+84円の2万3,175円まで上昇し、終値は+33円の2万3,124円で引けました。 

11日(木): FOMCの金利見通しが2022年末までゼロ金利政策維持でドル売りに拍車がかかり、前日のNYダウは▲282ドルの2万6,989ドルとなりました。これを受けて日経平均は、▲276円の2万2,848円で寄り付き、前引けは▲242円の2万2,882円となりました。しかし、後場になると時間外での米株先物が大きく下落したことで、▲652円の2万2,472円と大幅反落となりました。この日の引け後の米国市場では、前日のパウエルFRB議長の「雇用の回復には時間がかかる」という発言の他に、テキサス州はじめ、複数の州で感染者数が増加。第2次感染拡大懸念から、NYダウは▲1,861ドルの2万5,128ドルと大幅下落となりました。 

12日(金):日本市場はメジャーSQの日だったものの、前日の米市場大幅下落を受けて、日経平均は▲390円の2万2,082円で寄り付き、一時▲685円の2万1,786円と2万2,000円を割り込みました。しかし、すでに前日大きく下げていたことで、これ以上の下落はなく、後場になると日本銀行のETF(上場投資信託)買い観測もあり、一時▲122円の2万2,350円まで下げ幅を縮小。終値は▲167円の2万2,305円となりました。6月のメジャーSQ値は2万2,071円となり、日経平均の終値はSQ値を上回って引けており、少し安心というところです。

 日本市場引け後の米国市場は、荒い動き。新型コロナウイルス感染拡大懸念や、パウエルFRB議長の労働市場の回復には時間がかかるという発言で、前日の11日は3月以来の急落となりました。しかし、この日は米財務長官の「経済活動は停止させることはできない」との発言を受けて、NYダウは一時+837ドルまで上昇。しかし午後には+49ドルまで下げ幅を縮め、終値では+477ドルの2万5,605ドルと4日ぶりの反発となりました。シカゴの日経先物は+10円の2万2,150円でした。