新型コロナウイルスによる影響で収入が減った家庭は少なくないでしょう。1人10万円支給の特別定額給付金や売上が減少した個人事業主に最大100万円支給される持続化給付金の話などはよく耳にしますが、実は他にも家計を支援する制度がいろいろあります。

 今回は家計がピンチのときの支援制度について説明します。

無断で未納・滞納は絶対にやめて!申請すれば猶予可能な10の支払い

 新型コロナウイルスの影響で支払いが難しくなった場合、申請すれば支払いを一定期間猶予してくれるものがあります。

(1)電気
(2)ガス
(3)水道
(4)携帯電話
(5)NHK受信料
(6)生命保険

 これらの事業者は新型コロナウイルスの影響を受けた契約者に支払いを猶予する措置を行っています。例えば東京都水道局の場合、お客さまセンターへ電話で申し出るとその日から最長で4カ月支払いを猶予してくれます。条件や猶予期間は事業者によって異なります。それぞれ契約している事業者へ問い合わせてみましょう。

(7)奨学金

 減収などにより奨学金の返済が困難となった場合、月々の返還額の減額や返還期限を猶予してくれます。手続き先は日本学生支援機構となります。まずは奨学金相談センターへ問い合わせてみましょう。

(8)家賃、住宅ローン

 住居確保給付金制度を利用すると一定期間家賃の補助を受けることができます。収入、金融資産、就職意欲等の条件を満たした場合、世帯人数に応じて5万2,000~8万1,000円の家賃金額を上限に大家、不動産媒介業者への代理納付という形で支給されます。手続き先は各自治体のサポートセンターとなります。インターネットで「住居確保給付金(お住まいの自治体名)」で検索してみてください。

 住宅ローンの返済が困難となっている場合には住宅ローンを組んでいる金融機関に相談しましょう。返済期間を延長したり、返済額を減額したりすることができます。

(9)社会保険料
(10)税金

 新型コロナウイルスの影響により一定程度収入が下がった場合、国民健康保険、国民年金、後期高齢者医療保険料、介護保険料といった社会保険料や国税・地方税は、全額もしくは一部の免除または猶予を受けることができます。市区町村によって減免制度や申請方法などが異なりますので、お住まいの市区町村の各担当課に問い合わせてください。

 これらの10の支払いは手続きをすれば猶予してもらえます。猶予期限までに支払う必要がありますが、当面のキャッシュを確保するのには有効です。ひとまず申請し、支払いを猶予してもらった上で、家計を整えておきましょう。

消費者金融に手を出す前に、借りられる!もらえる!支援制度

 支払い猶予を申請しても生活資金が足りない! という場合、消費者金融などの高金利な貸付を利用する前に無利子や低利子で借りたり、給付を受けることができる支援制度を活用しましょう。

生命保険契約者貸付

 契約している保険の解約返戻金の範囲内で貸付を受けることができます。通常は利息がかかりますが、新型コロナウイルスの影響を鑑み、利息なしとしている保険会社もあります。審査がないため、申請してからすぐに入金されます。契約中の生命保険会社に問い合わせてみましょう。

緊急小口資金

 休業や失業などにより収入の減少があり、緊急かつ一時的な生活維持のため貸付を必要とする世帯へ無利子で20万円以内の貸付を受けることができます。申し込み先はお住まいの市区町村社会福祉協議会です。

総合支援資金(生活支援費)

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入の減少や失業などにより生活に困窮し、日常生活の維持が困難になっている世帯に対し、無利子で単身者は月額15万円以内、世帯人数2人以上は月額20万円以内で、貸付を受けることができます(※緊急小口資金と同時申し込みは不可)。申し込み先はお住まいの市区町村社会福祉協議会です。

母子及び父子福祉資金(新型コロナウイルス感染症に伴うひとり親家庭への生活資金貸付)

 ひとり親家庭を対象に事業開始資金や事業継続資金から生活資金までさまざまな目的の資金を借りることができます。市区町村によって細かい条件等は異なります。申し込み先はお住まいの市区町村社会福祉協議会です。

奨学金

 新型コロナウイルスの影響で家計が急変した場合、基準を満たすことで「緊急採用」(第1種奨学金)や「応急採用」(第2種奨学金)の奨学金を受け取ることができます。申込や詳細は在学している学校に問い合わせてください。

企業主導型ベビーシッター利用者支援事業

 自分の勤めている会社がベビーシッター割引券の承認事業主である場合、保護者が内閣府認定のベビーシッターを利用した時に対象児童×2,200円(1回あたり。多胎児2人:9,000円、多胎児3人以上:1万8,000円)の割引券が平常時は1日(回)対象児童1人につき1枚、1カ月に1家庭24枚まで支給されます。新型コロナウイルスの影響による特例措置が設けられ、上限枚数が1日5枚、1カ月に120枚に増えました。利用についてはご自身の会社に問い合わせてみましょう。

 また、個人で仕事をしている自営業者やフリーランスも企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置の対象となりました。新型コロナウイルスの影響による休校・休園などにより、ベビーシッターを利用した場合に支援を受けることができます。フリーランス協会が制度利用の際の窓口となっています。フリーランス協会への登録をすると本制度を利用することができます。

小学校休業等対応支援金

 臨時休校・休園等の影響で子どもの世話を行うために契約した仕事ができなくなった個人で仕事をする保護者に対し、就業できなかった日について1日あたり4,100円の支給が受けられます。問い合わせ先は学校等休業助成金・支援金コールセンター(0120-60-3999)です。

 いかがでしたか? 申請すれば受けられる支援制度はこんなにあります。家計がピンチになったときには落ち着いて、家計の見直しをすると同時にこれらの制度を活用しましょう。減収の割合などの条件がある場合もありますが、面倒くさがらず、まず問い合わせ先に連絡をし、対象となるか確認してみてください。