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 新型コロナウイルスの感染が米国や新興国など世界各地で依然高水準のなか、徐々に経済活動の再開を模索する動きも始まっています。今後は経済活動を本格化する上で欠かせない治療薬や『ワクチン』の登場が期待されます。『ワクチン』については参入や発表が相次ぎ、開発の可能性が徐々に見え始めてきました。治療薬以上に厳しい安全性に対する要求などの課題を克服して『ワクチン』開発が進展することが期待されます。

【ポイント1】参入が相次ぎ『ワクチン』の開発が進む

 新型コロナの感染が高水準となるなか、新型コロナを克服して経済活動を本格化する上で欠かせない治療薬や『ワクチン』の登場が強く期待されています。『ワクチン』については参入企業が相次ぎ、開発の可能性が徐々に見え始めてきました。

 欧米の製薬大手、研究機関やベンチャー企業などが先行して新型コロナの『ワクチン』の開発を進めています。国内でも、2020年度の2次補正予算案に『ワクチン』を早期に実用化するための体制整備として1,455億円、開発に500億円を盛り込むなど官民をあげて『ワクチン』開発を急ぎます。

【ポイント2】国内外の企業の取り組みも進展

 大阪大学発のバイオ企業であるアンジェスは5月25日、大阪大学などと共同開発している新型コロナに対するDNA(デオキシリボ核酸)『ワクチン』について、マウスとラットへの投与によって体内にウイルスに対する抗体ができていることを確認したと発表しました。7月にも初期の臨床試験を開始し、早ければ年内にも使えるようにしたいとしています。

 塩野義製薬は4月27日、国立感染症研究所(感染研)との新型コロナウイルスの『ワクチン』の共同開発を決定したと発表しました。塩野義製薬は子会社のUMNファーマが感染研と共同で『ワクチン』の研究開発に取り組み、年内の臨床試験開始を目指します。

【今後の展開】『ワクチン』の登場時期は不透明

 欧米や国内でも参入や発表が相次ぎ『ワクチン』開発に対する期待が高まっています。ただ健康な人に投与する『ワクチン』は有効性に加えて治療薬以上の安全性が求められます。多数の人に投与すると予期せぬ副作用などが現れるリスクなどの検証は慎重に判断すべきとの見方もあり、一般の多数の人に投与できる時期については不透明感があります。こうした課題を克服して早期に『ワクチン』が登場することが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。