今回の格言
「もうはまだなり、まだはもうなり」
どんな格言?
慎重すぎ?期待しすぎ?
「思い込み」と相場の行き違い
相場格言には、「投資家の売買タイミング」と「相場」の行き違いを表現するものが多く語り継がれている。
たとえば、下落相場では、「もうボトム(底値)だ」と思うときは「まだ下がる」かもしれず、「まだ下がるのでは」と思えるときは「もうボトム(底値)」かもしれない――。確かに、相場局面によって慎重さは必要だが、反転回復や上昇に備える気持ちや準備も必要だ。とはいえ、相場は森羅万象で動く。一個人の気持ちなどおかまいなしであり、そこに行き違いが生まれる。
同様に、上昇相場で「もうピーク(高値)だ」と思えるときは「まだ上値がある」かもしれず、反対に「まだ上がるのではないか」と思えるときは「もうピーク(高値)」かもしれない。
「もうはまだなり」と「まだはもうなり」はまさに表裏一体。相場という生き物に対峙するにあたっては、単一のモノサシ(指標)による判断や独善的な思い込みが当るとは限らないし、一度当たっても、次回も同様の判断や投資戦略が当る保証はない。
投資をする上では、冷静かつ謙虚な姿勢が大切、ということを示す格言とも言えるだろう。
どう投資に生かす?
2008年秋のリーマン・ショック(金融危機)や2020年春のコロナ危機で世界経済は景気後退に追い込まれ株価は大きく下落した。「まだ下落が続く」と市場が総悲観となった局面(リーマンショック後は2009年3月、コロナ危機は2020年3月)」で株式市場は底入れした。そうした場面で売りに出て機会を逸した投資家も多くいるとされる。特に相場反転局面でショート(空売り)を仕掛けるのはリスクがある。相場の上昇が続くとショート(空売り)は損失が拡大する可能性が高くなる。
株価がいったん調整しても、再び上昇トレンドを取り戻せば、「まだはもう」だったと思える可能性もある。つまり、相場局面をどこで切り取るかによって、「もう」にもなるし、「まだ」にもなるということ。相場に「絶対」はないことを肝に銘じたい。
今回のお作法
相場はつづくよ、どこまでも。
そこに「もう」も「まだ」もないし「絶対」はないことを肝に銘じよう。
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