今週の予想

2万3,100~2万3,600円の大きなフシへ。週後半はメジャーSQに向けて高値波乱も

 今週の日経平均株価は、引き続き米株上昇に連動しながら戻りを試す動きが想定されます。ナスダック総合指数に続き、NYダウ平均株価も史上最高値を更新する動きとなれば、日経平均も2万3,500円水準を期待できます。

 日経平均のチャートを見ると、2万3,100~2万3,600円は2019年後半から2020年にかけてもみ合いのゾーンがあり、ここを一発で突破するのは難しいと思われます。これまでのところ、移動平均線かい離率や騰落レシオなどのテクニカル指標は過熱し、買い有利の需給相場。これを無視して上昇していますが、今週末の12日(金)はメジャーSQ(特別清算指数)があり、週後半は高値波乱となって、相場に変化が出てくる可能性があります。

 国内の相場の変化要因としては、緊急事態宣言の解除後、新型コロナウイルス感染者増によって「東京アラート」が出されました。さらに増加するようなら再発動という可能性もあります。

 現在の市場は強気相場になっていますが、実体経済の厳しさが増すのはこれから。今の上昇は主要中央銀行の資金供給策で生じた金余りの投資マネーが背景となっており、その代表がFRB(米連邦準備制度理事会)の大規模緩和による緊急対応策の無制限の貸し出しなのです。

 今週は2万3,000円台から、さらに一段高となって総強気となれば注意です。6月8日の日経平均はちょうど、経営的には悪材料の多い仕手株が急騰している状況であり、ここでの投資は、一種のバクチであり勝った人はバクチに勝ったと思った方がよいでしょう。

 8日の日経平均は前日比+314円の2万3,178円と大幅に上昇。6日続伸し高値引けとなりました。前場は、3カ月ぶりに2万3,100円台に乗った後、利益確定売りで伸び悩むものの、後場になると盛り返し、大引けにかけて強い動きとなって高値引けとなりました。ミニバブル状態で2万3,100~2万3,600円の2019年後半から2020年初めにかけてのもみ合いのゾーンに入り、この水準から上は重たくなるところです。PER(株価収益率)から見ても割高ゾーンに入ってきています。

(今週の指標)日経平均株価

 米株高を材料に、今週も日経平均は2万3,000円ぐらいまでの上昇は可能性があります。チャートから、2万3,100~2万3,600円のゾーンは、2019年後半から2020年にかけてもみ合いが続いており、一気に抜けるのは難しいところ。これまでのところテクニカルな過熱感も無視した上昇になっていますが、週末はメジャーSQであり、週後半も高値波乱となって、来週から相場の流れに変化が起きるかもしれません。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週もFRBや政府の強力な支援策の元、経済活動再開による見通しの改善で、2万8,000ドルは心理的なフシであるものの、ここを抜けるとNYダウも史上最高値を試す可能性があります。5月米雇用統計の予想を超える改善は、景気の4月底入れの証拠となるという見方が多く、さらなる戻りが期待できるところです。気になる米中対立懸念は今のところ無視されています。

(今週の指標)ドル/円

 今週のドル/円は引き続き底堅い動きが想定されます。6月10~11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、金融政策の維持が確実視されているので、米長期金利の先安感は後退。リスク回避的なドル売りは縮小するので、やや円高の方向に向かいそうです。雇用情勢の大幅改善によって、米国経済の早期回復期待が広がっており、株高、ドル高の流れにあります。

先週の結果

先週始めに2万2,000円乗せ。その後、5日続伸し2万3,000円に接近

 先週は2万2,000円台回復で上値が重くなると想定をしていましたが、米国株式の上昇が止まらず、為替も1ドル=109円台への円安進行で、日経平均は2万3,000円を視野に入れる5日続伸となりました。NYダウの安値は6月1日の2万5,220ドル、高値は5日の2万7,338ドルで、これに連動する形で日経平均の安値は1日の2万1,898円、高値は4日の2万2,907円と2万3,000円に、あと100円弱と接近しました。

 今の相場を押し上げているのは、日米ともに過剰流動性と政府の財政出動であり、外国人の買い戻しに加え新規の買いで上昇が続いている形です。

6月1日(月):前日比+33円の2万1,910円で寄り付き後、1日から東京都が休業要請などの緩和の段階を「ステップ2」に進めたことで経済活動期待が高まり、一時+283円の2万2,161円と、2月27日以来3カ月ぶりの2万2,000円台を回復。終値でも+184円の2万2,062円と2万2,000円台を回復しました。時間外での米株先物や中国株、台湾株の上昇も支えとなりました。

2日(火):経済活動再開を好感し、1日の米国市場で3日ぶりに反発したことで先物に買いが入り、日経平均は一時+264円の2万2,326円まで上昇。その後、伸び悩んだものの、後場にも一段高となって+330円の2万2,401円まで上昇し、終値は+263円の2万2,325円と大幅続伸となりました。米中対立などの不安な問題にはほとんど反応せず需給相場の様相を示しています。

3日(水):中国国有企業が米国産大豆を購入という報道で米中悪化懸念が和らぎ、2日の米国市場では主要株価3指標そろって続伸。これにより、日経平均は+323円の2万2,649円で寄り付き、一時+493円の2万2,818円まで上昇。しかし、後場になると上げ幅を縮小し、一時+137円の2万2,462円まで下げましたが、終値では+288円の2万2,613円と3日続伸しました。

4日(木):米経済活動の再開による景気回復期待が続いている中で、米経済指標が予想以上の改善となりました。3日のNYダウは+527ドルの2万6,269ドルと続伸したことを受け、日経平均は+271円の2万2,885円で寄り付きましたが、一時100円を超える下落。しかし、売り一巡の後は大型株中心に買いが入り+81円の2万2,695円と4日続伸しました。為替が1ドル=109円台の円安になったこともサポート要因となっています。

5日(金):4日の米国株式がまちまちの動きであったことから、日経平均は▲82円の2万2,613円で寄り付き、一時▲132円の2万2,563円まで下落。後場になると時間外での米株先物の上昇と円安歩調を受け、上げに転じて+167円の2万2,863円と5日続伸しました。

 買い戻しが続いており日銀のETF(上場投資信託)買いもみられるという情報もあり、下げれば押し目買いが入る展開で方向としてはまだ上向きといえます。

 引け後の米国市場では、注目の5月米雇用統計が大幅改善となり、失業率も予想外に減少したことで経済回復期待がさらに高まり、NYダウは+829ドルの2万7,110ドル、ナスダックは一時終値ベースで史上最高値を更新しました。5月の雇用統計で非農業部門雇用者数が予想では▲800万人でしたがプラス転じ、失業率も予想の19.8%が13.3%だったことで、米ドルも1ドル=109.85円まで買われました。シカゴの日経先物は+270円の2万3,140円と2万3,000円台に乗せました。