“コロナ後”の成長を楽観、イベント再開や人気ゲーム投入が追い風に

 BOCIは新型コロナウイルスの収束に伴う全国的な外出禁止措置の解除に伴い、ゲームのライブストリーミング業界が再び成長軌道を回復するとみている。eスポーツトーナメントの延期で、4-6月も利幅縮小圧力が続く可能性を指摘しながらも、ユーザーの利用時間が正常化し、MAU(月間アクティブユーザー数)が上向くとの見方。さらに20年下期には、新規のゲームタイトルの投入が、有力プラットフォームの闘魚(DouYu International:DOYU US)、虎牙(Huya Inc:HUYA US)の追い風になるとみる。一方、虎牙に対する闘魚の株価のディスカウント率は、この先、闘魚の成長や営業効率の改善を受けて縮小に向かうとの見方。闘魚の目標株価を引き上げる半面、虎牙の目標株価を引き下げ、両銘柄の株価の先行きに対していずれも強気見通しを付与した。相対的な値ごろ感を理由に、闘魚をより選好するとしている。

 BOCIは“コロナ後” のゲームライブストリーミング業界について、以下の見通しを示している。【1】インターネットカフェ(実店舗)の営業再開に伴い、PC利用のMAUが段階的に回復に向かう。スマートフォンなどモバイル利用のMAUも、プロモーションイベントやeスポーツトーナメントの再開で成長の勢いが続く。【2】人気作品『アラド戦記』(DnF)と『リーグ・オブ・レジェンド』(LOL)のモバイル版が20年下期にも投入される可能性があり、そうなれば、ライブ配信プラットフォーム全体の伸びを後押しする。【3】トーナメント版権やゲーム配信、ストリーマー(ゲームプレイ動画の配信者)に対するマネジメントといった点で、川上のゲームパブリッシャー(発売元)との連携強化が進み、業界の集約化が加速。結果的に大手プラットフォームの追い風となる。【4】ユーザーの時間の使い方が平常時に戻り、ショートビデオアプリとの比較で、利用時間数の伸びが正常化。安定成長路線を回復する。

 川上のゲームパブリッシャーは19年半ば以降、ゲームストリーミング業界の慣行の標準化に向け、積極的に関与し始めた。こうした状況は業界全体の理性的な競争環境を整え、大手のプラットフォームに有利となる。パブリッシャー最大手のテンセント(00700)は20年4月3日、オプションを行使し、虎牙の議決権の50.1%(希薄化後)を確保、同社を子会社化したが、BOCIは虎牙、闘魚ともに、テンセントの傘下にある点に注目(虎牙に対しては経済的持ち分36.9%、実質的な議決権50.9%)、(闘魚に対しては経済的持ち分、議決権ともに37.2%)。将来的な集約化の可能性が高いとみている。

 BOCIは収益成長面の弾力性や、力強いキャッシュポジション、キャッシュフローなどを理由に、ゲームライブストリーミング銘柄に対して強気。一方、潜在リスク要因としては、MAUや課金ユーザー数、ユーザー1人当たり収入などの伸びが予想を下回る可能性と、コンテンツに対する規制強化の可能性を挙げている。