FX市場にもコロナバブルがやってきた

 ここ数カ月のFX市場の低変動は、多くのFXトレーダーにとって苦痛なものだった。それはグローバル規模の経済危機が主要な準備通貨(ドル、ユーロ、円、スイス・フラン、ポンド)を大体0から▲0.5%のレート間に集中させたからである。

 4月と5月は株だけが上がっている市場だったが、株のコロナバブルに押し出されるような形で、クロス円市場が円安トレンドとなり、それに引っ張られる形で今週はドル/円も大きく円安に振れている。

ドル/円(日足)

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ユーロ/円(日足)

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ポンド/円(日足)

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

豪ドル/円(日足)

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 政府と中央銀行によって金利の市場が固定されているが、FXの市場が大きなトレンドを有するには、T‐BOND(米30年国債)先物相場が大きく動く必要があるだろう。T‐BOND市場は現在無風状態である。したがって、株の上げ下げに多少反応しているのが、今のFX市場の現状である。

T-BOND先物(日足)

出所:カスタムチャート

現在の株式市場は、クラッシュの後にくるアフター・クラッシュ・ラリー(暴落後の急反発局面)のフェーズ(位相)   

 日本も米国も個人投資家の買いで相場を上げている。しかし、利食いをしないで長期保有を考えているのなら、はしごを外されるかもしれない。

NYダウ先物(日足)と順張りシグナル

出所:カスタムチャート

ドル建て日経平均(日足)と順張りシグナル 

出所:カスタムチャート

 NYダウ平均株価先物もドル建て日経平均株価先物も、日足で買いトレンド相場が展開されている。トレーディングベース(バタバタ売り買いをすること)で買い相場に乗るのは全然かまわない。ただ、現在の相場は「一生に一度の買い場」でも「10年に一度の買い場」でもないと思われる。

 経済のV字型回復予測やQEインフィニティ(無限大量的緩和)によるモラルハザード的楽観の中で、相場が長期の大底を打ったと考えるのは時期尚早だ。

 2020年の株式市場の軌道は、ここまで1929年の大恐慌相場とそっくりだ。現在の株式市場は、クラッシュの後にくるアフター・クラッシュ・ラリー(暴落後の急反発局面)のフェーズ(位相)に入っている。

NYダウ(週足)1929~1933年
 大恐慌相場を例にとると、現在の株式市場は、クラッシュの後にくるアフター・クラッシュ・ラリー(暴落後の急反発局面)のフェーズ(位相)に入っている!?

出所:World Cycles Institute

 以下は、2020年5月25日のゼロヘッジの「Retail Investors Are Crushing Hedge Funds Again(個人投資家が再びヘッジファンドを押しつぶしている)」という記事の抜粋である。これほど大挙して個人投資家が株式市場に入ってきたのは、ITバブルのピーク以来ではないだろうか?

 米国全土の個人投資家はコロナ騒動の行動自粛の中で退屈し、ロビンフッド、イートレード、シュワブのようなゼロコストのオンライン取引プラットフォームに殺到している。

 個人投資家は最もホットで勢いがある株を求め、もっとも勢いがある株は上がり続け、価格が上がる株だけではなくFAAMG(フェイスブック・アマゾン・アップル・マイクロソフト・グーグル)のようなメガキャップの株を狙う投資家を引き付けている。

ゼロコストのオンライン取引会社ロビンフッドの顧客の売買高はロックダウン後に急増!

出所:ゼロヘッジ

 日米の株式市場は「一生に一度の買い場」などと言って3月に大商いとなったが、過去のデータを見ると、大商い相場後の2番底回避の可能性は3分の1程度である。来年になればコロナ禍も収まり景気が回復するという見通しが多いが、相場が上がるとしたらむしろQEインフィニティの初期段階の今年であり、米大統領選後の相場は経済の実態悪を織り込む地獄めぐり相場になる可能性もある。

 QEインフィニティという違法行為の言い訳は、「他に代替手段がない…」である。QEインフィニティで利益を得るのは、自分たちの株を買い戻すために何十億ドルも借りた貪欲な企業、ボーナスと配当を賄うためにジャンク債務を売った企業、リスクのある債務を買った金融業者だ。

 過去も、このような詐欺と腐敗の果てしないパレードが何度も繰り返されてきた。株式市場は経済のV字型回復を織り込みに行っているが、経済はW字かL字型の回復がせいぜいといったところだろう。中央銀行は(お金の代わりに)ジョブ(仕事)を印刷できないのだから。

 実体経済悪とQEインフィニティのジャブジャブマネーのはざまで、なにがおこるかわからないのが今年の相場だ。あのウォーレン・バフェットでさえ、1-3月期に含み益の47%を失ったのである。

「リスクとは、自分が何をやっているかよくわからない時に起こるものです」
(ウォーレン・バフェット)

6月3日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、注目の米国株とFAAMG帝国相場の歩き方!

 6月3日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、紙田智弘さん(楽天証券 株式事業部)をお招きして、「投資家に人気の米国株投資」・「FAAMG(フェイスブック・アマゾン・アップル・マイクロソフト・グーグル)帝国相場の歩き方!」というテーマで話をしてみた。

 ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロード出来るので、投資の参考にしていただきたい。

6月3日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー(ラジオNIKKEI)

出所:YouTube

FAAMGとS&P500のパフォーマンス

出所:YouTube

楽天FX主催の5月28日FXセミナーの動画

 5月28日に楽天FX主催のWEBセミナーを開催しました。

 セミナー動画がYouTubeの「楽天証券チャンネル」で視聴可能です。

5月28日【ネット開催】円高圧力と政治的円安・1930年代の焼き直し相場の結末は!?

出所:YouTube

 ぜひ、ご覧ください。