香川睦ストラテジストが解説する相場格言
「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」
どんな格言?
みんなの意見に流されると、稼ぎそこなう
「儲けやすいタイミングは?」――投資家なら、個人もプロも関係なく知りたいはず。そのひとつの答えが、今回の格言だ。
この格言は、アメリカの著名投資家・ジョン・テンプルトン氏の言葉とされる「Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria.」の日本語訳だが、上昇相場を4つのステージにわけて解説していてわかりやすい。
具体的には、
- 市場が総悲観となった局面が、強気相場の出発点になりやすい
- 先行きに警戒感や疑い(懐疑)が残るうちは徐々に上昇(回復)を続ける
- 警戒感が薄れ楽観的になったころは、相場の天井圏が近い
- 市場が総強気や幸福感に浸っているときに、上昇相場が終わることが多い
といった流れだ。
つまり、今回のマンガのように、みんなが「あきらめモード」や総弱気に陥ったときこそ、実は大きなチャンスが潜んでいる、というわけ。相場の上昇タイミングやリターン(収益)を挙げやすい局面は、みんなの気持ち(気分)や思惑と逆、あるいはズレることが多い。市場全体のセンチメント(=群集心理)に惑わされず、相場の“居場所”を冷静に観察することが大切、というのがこの格言の意味するところだ。
どう投資に生かす?
相場の「ステージ」を冷静につかめ
逆に言えば、市場に「弱気派」が多くなった局面こそが投資のチャンスと言えるかもしれない。例えば、2008年秋にリーマン・ショック(金融危機)が発生して株価は暴落した。ただ、翌年(2009年)3月に景気後退色が濃いなかで株価は底入れ。格言にならうと、市場に「弱気」や「疑い」があるうちが「買い場」だったことが知られている。
こんな格言もある
「とり逃した経験」は次に生かせる!
今回の相場格言と似たものは他にもある。たとえば、アメリカには「Buy when there's blood in the streets.」という格言もある。訳すなら「街中に血が溢れるような総悲観こそ買い」といったところ。さらに、「Stocks climb a wall of worry.」(相場は心配の壁をよじ登る)という格言も。これらの格言からわかるのは、やはり「ピンチはチャンスであった」と同じように感じた経験がある人がたくさんいるということだ。
「ああ、あの場面がチャンスだったのか…もったいなかった」だけで終わってしまうと、次のチャンスも見逃してしまう。目の前の相場や報道、みんなの声ばかり気にしていてはダメ。いまの相場が大きなトレンドのどの辺にいるのか、まだチャンスはありそうか、そろそろ上昇局面が終わりそうか、といった視点で見ていく必要がある。
「いまの相場がどのステージにいるのか?」――流れをつかむ、冷静さが大切だ。
今回のお作法
ショックの中にこそ、チャンスが隠れている。逃しても、次がある!
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