基本に返って、高配当株投資!
日経平均は、コロナ危機で暴落した後、3月中旬以降は、一転して急反発が続いています。暴落後の安値圏では個人投資家の日本株買いが増えていましたので、今回、良いタイミングで投資できた方も多いと思います。
日経平均は、既に2万2,000円台まで反発していますが、私は、日本株は配当利回りや買収価値から評価してなお割安で、長期投資で良い買い場と考えています。
とは言っても、短期的にはまだ波乱が続く可能性もあります。こんな時、株式投資を始めるなら、どんな銘柄から買ったら良いでしょう。私は、まず、「割安な」「大型の」「高配当利回り」株から投資すべきと考えています。
高配当利回り株への長期投資は、株式投資で最初に学ぶべき、基本中の基本です。株式投資とはそもそも会社に資本を提供し、その見返りに会社からあがる利益の一部を配当金として受け取るものです。
「いいタイミングで株を売ったり買ったりすること」ばかりにとらわれず、株が安くなった時に、高配当株を買ってじっくり長期で保有することを考えた方が良いと思います。
銘柄の選び方として、今日は米国でかつて有名になったことがある「ダウの犬」と呼ばれる手法をご紹介します。
「ダウの犬」戦略とは
米国で有名になった投資手法です。投資方法は極めてシンプルです。
(1) NYダウ採用銘柄(30銘柄)を配当利回りの高い順に並べ、上位10銘柄を選ぶ。その10銘柄を等金額で買う
(2) 1年後に、もう一度NYダウ採用の配当利回り上位10社をスクリーニング。1年前に投資した銘柄で、上位10社から外れた銘柄を売却。代わりに新規に上位10社に入った銘柄を買う
(3) その後も1年ごとに、上記の方法でリバランス(銘柄入れ替え)を続ける
たったこれだけのシンプルな投資方法で、NYダウを上回るパフォーマンスが挙げられることが多かったので、「ダウの犬」戦略は有名になりました。
「ダウの犬」を日本株に応用すると?
このシンプルな方法は、日本株にも応用可能です。
NYダウは米国に上場する時価総額の大きい銘柄30から構成されています。日本で言えば、時価総額上位30社から構成される「コア30」と言う指数があります。その構成銘柄から配当利回りの高い10銘柄を選べば、「ダウの犬」と同様の戦略をとることができます。
コア30に属する銘柄のうち、今期配当予想を開示している16社から、配当利回りの高い10銘柄を選んだのが、以下の表です。
東証1部コア30採用銘柄のうち、配当利回り上位10社:6月2日時点
NO | コード | 銘柄名 | 業種 | 配当 利回り |
6月2日 株価 :円 |
1株当たり 配当金 :円 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2914 | 日本たばこ産業 | 食品 | 7.1% | 2,168.5 | 154 |
2 | 8316 | 三井住友FG | 銀行 | 6.0% | 3,169.0 | 190 |
3 | 8306 | 三菱UFJ FG | 銀行 | 5.6% | 443.0 | 25 |
4 | 8411 | みずほFG | 銀行 | 5.6% | 134.3 | 8 |
5 | 8058 | 三菱商事 | 商社 | 5.4% | 2,488.0 | 134 |
6 | 8031 | 三井物産 | 商社 | 4.7% | 1,693.5 | 80 |
7 | 4502 | 武田薬品工業 | 医薬品 | 4.3% | 4,159.0 | 180 |
8 | 8766 | 東京海上HD | 損保 | 4.3% | 4,628.0 | 200 |
9 | 9437 | NTTドコモ | 通信 | 4.1% | 2,948.5 | 120 |
10 | 9432 | NTT | 通信 | 4.1% | 2,468.0 | 100 |
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(今期会社予想)を6月2日株価で割って算出。今期とは、日本たばこ産業のみ2020年12月期、他は2021年3月期 |
実際にポートフォリオを作ってみる
それでは、上記の10銘柄を使って、実際にポートフォリオを組んでみましょう。
完全に10銘柄に同額を投資することはできないため、なるべく等金額になるように作ったのが、以下のポートフォリオです。全体の金額は約264万円です。このポートフォリオの平均配当利回りは5.0%です。
東証1部コア30銘柄から作った「ダウの犬」ポートフォリオ(平均配当利回り5.0%)
次に、非課税で投資できるNISA(ニーサ、少額投資非課税制度:年間の投資枠は120万円)で、投資できるように、投資金額を118万円に抑えて作ったのが、以下のポートフォリオです。このポートフォリオの平均配当利回りも5.0%です。
ダウの犬ポートフォリオから、118万円で買えるように5銘柄に絞ったポートフォリオ(平均配当利回り5.0%)
上記はあくまでも1つの例に過ぎません。投資金額を変えれば、他にもさまざまな投資の組み合わせが可能です。
投資信託で「高配当ファンド」を選んで買うのもいいですが、まとまった資金があるなら、こんなふうに自ら「手作りファンド」をつくるように、個別銘柄を買って長期保有するのも良いと思います。
なお、このように自分でポートフォリオを組むときに1つ注意点があります。「同じバスケットにすべての卵を入れるな」という投資格言があります。単一のリスクを取りすぎないよう、分散投資せよという意味です。同じ業種の銘柄ばかりでなく、いろいろな業種に分散投資した方が良いと思います。
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